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白雪姫?(1)

「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」

「そりゃまぁ、白雪姫だろうね」

魔法の鏡【ナズーリン】が素っ気なく答えました。
しばし無言のお妃様【雲居一輪】。

「お妃様? なんとか言いたまえ、話が続かないじゃないか」

「……やっぱりイヤ」

「は?」

「だって今度は私が主役だって言ってたじゃない!
なんでまたこんな役なんだよ! 交代! チェンジよおー!」

お妃様【雲居一輪】は、髪を振り乱して叫んでいます。

「おいおい、収拾がつかないからくじ引きで決めただろ?
いまさらわがまま言うなよ」

「イヤなものはイヤなの!
もし、このままなら白雪姫【寅丸星】のおデコに毒りんごを思いっ切りぶつけてやるから!」

「正気かい? はぁ、始末に負えんな」

普段は冷静で公明正大な一輪さんがまるで駄々っ子です。
(この辺の経緯は”超戦士シンデレラ”をご参照願います)

「イヤったらイヤーー!」

--しばらくお待ちください--

「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」

「それはもちろん、お妃様、貴方です」

配役を一部変更して再スタートのようです。

魔法の鏡【ナズーリン】の答えに無言のお妃様【寅丸星】。

「うん? もう一回言おうか? 貴方こそがこの世で最も美しい」

「……えっと、ここは確か『それは白雪姫です』では?」

「私は嘘は言えないよ。
貴方の髪は陽光と闇、相容れぬはずの陰陽が互いを讃え合う金と黒。
貴方の瞳は慈愛と情熱、さらには叡智を湛える唯一対の魅惑の宝石。
貴方の唇はこの世に咲くどんな薔薇の花びらよりも柔らかく可憐だ。
ああ、心配だ、私はとても心配だ。
その美しさはこの世の嫉妬と羨望を一身に集めてしまうだろう。
美の神から呪いをかけられてしまったらどうしょう。
だが、間違いない、貴方こそがこの世で最も美しいのだ」

台本に無いセリフを熱く、熱く語る魔法の鏡。

「あの、その、とても嬉しいのですが、お話が進まないですよ」

お妃様、お顔が真っ赤です。

「それがどうした、些細なことだよ。
ねえ、その顔、もっとよく見せておくれ」

「あん、触っちゃダメですよ、アナタ、今は鏡なんですから」

「固いこと言わないで……良いでしょ?」

「ダメです、ダメですよぅ…… こんな明るいところじゃ……」

「キスだけだよ……良いでしょ?」

「ホントに? キスだけですよ?」

「ふふふ……多分ね」

「あ、あふん、うそつきぃ、そこはダメぇ……」

ここは放っておいて話を進めましょう。

お話の途中から始まってしまいましたが、白雪姫の物語です。

後添いとしてやってきたお妃様(原作初版では実母)は何でも答えられる魔法の鏡を持っていました。
はじめの頃は世界一の美貌を保証されご満悦でしたが、年頃になった義娘の白雪姫にその位置を奪われ激怒します。
家来の狩人【雲山】に白雪姫を殺害し証拠として肝臓を切り取ってくるするように命令しました。
しかし不憫に思った狩人はこっそり森に逃がし、猪の肝臓を取って帰りました。
お妃様はその肝臓を料理させ満足そうに平らげました、原作怖い怖い。

「ハイホー♪ ハイホー♪ ランラランララー♪」

森に住む7人の妖怪、もとい小人たちです。
一列縦隊でてくてく歩いています。

マミゾウ、ぬえ、ムラサ、こいし、小傘、響子。
おや? 一人足りませんね?

「今回は地味な役じゃの」

「やっぱりさー、さるかに合戦の方が良かったんじゃん?」

「ぬえ、それだとアンタがさる役になると思うよ」

マミゾウ、ぬえ、ムラサは早くも脱線しています。
小人役はそれなりに頭数は必要ですが一人一人はさして重要ではありませんから、気楽なものです。

「さきほど一輪が随分とゴリ押ししていたようじゃが」

「お芝居始まってんのに役を交代なんておかしいじゃん」

「前回の”シンデレラ”がよっぽど気に入らなかったんでしょ」

「まったく…… 根は真面目で気立ての良い娘なんじゃがの」

「聖が王子様だからだろうけど、必死すぎて引くわー」

「今回私たちはのんびり参加でOKだよね?」

「そう願いたいもんじゃ」

前回は最もハードな役を押しつけられたマミゾウさんが呟きました。

「はいほおおーー! はいほおおおおーー!」

「ぱいぽー ぱいぽー ぱいぽのしゅーりんがん」

「ちょっと響子 声が大きすぎるよ。
こいしさん、歌詞が少し違うよ」

こちらは更にお気楽な三人。
フリーダムクイーン古明地こいしが最近になって加わったので若干ツッコミ側にシフトしている小傘なのでした。

「ぜえ、ぜえ、ふー」

7人目の小人【ナズーリン】が息急き切ってかけつけ、列の最後尾に追いつきました。

「おや? ナズーリン どうしたの?」

ムラサが問いかけました。

「ぜえ、はあ ……どうもこうも私は7人目の小人だろうが」

賢将は今回二役のようです。

「7人も6人も大差ないんだから無理しなくてもいいのに」

「ぜえ、ふひゅー ……随分な言いようだな」

「大体さー 7人というのも後付けの設定でしょ?」

確かにそうなんですけどね。

「キミたちだけだとグダグダになって進まないだろう?
だから私が掛け持ちすることになったんだよ」

「ふ~ん それはご苦労さんなこったねー」

ぬえがまったく心を込めずに言いました。

森をさまよっていた白雪姫【雲居一輪】は小人たちの住処にたどり着きました。
留守をいいことに勝手に侵入し、パンとスープをむさぼり、ベッドに転がり込んで眠ってしまいました。
まったくもって傍若無人な振る舞いですが、仕方ないでしょう。
とっても空腹でくたくたに疲れていたのですから。

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