紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

白雪姫?(4)

「白雪姫が何か言ってるみたいだよ」

「大方、あてが外れて焦っとるんじゃろ」

「姫役をモノにするのに必死でロクに台本見てなかったんじゃないの?」

「憐れというか笑えるというか……」

小人だちは王子様の願いを聞き届け、白雪姫の身柄を渡すことにしました。

「とりあえず外に出さないとね」

「そんじゃ運ぼうか」

「両側から持つなら偶数人が良いだろう。
私は先導するとしよう」

ここでナズーリンが台本に無い提案をしました。

(なんだが嫌な予感がするんだよな)

残った6人が『せーのっ!』と棺を持ち上げました。

「え? そっちに行くの?」

「こっちからでしょ?」

「まだ動かないでよ! ちょっと持ちかえるから」

「あ! ダメだって!」

ズゴンッ

アクリルの棺の片側が派手に落ちました。
よりによって姫の頭部側です。
加えて言うなら今回は先程よりはるかに落差があります。

白雪姫は棺の中で後ろ頭を両手で抱え歯を食いしばっています。
大事に至らなくて良かったですが、かなーーり痛そうです。
声も出ません。

「やっべ……またやっちゃったよ……」

「こりゃマズい、どエラくマズいのぉ」

「二度目だよ? どうする?」

「一輪さん怒るかな?」

「怒るだろうね、通常の三倍は確実だ、賭けてもいいよ」

(やっぱりこんなことになったか。
だが、今回、私は完全にノータッチだから責められる筋合いはないな、良し良し)

このあたりが『ずるいネズミ』と言われる所以ですね。

「はわわわわ」

「ど、どーーしよーーー!?」

「ねぇムラサぁ、逃げよっか?」

「そうだね……ややや、それはさすがにダメだよ」

なんとか踏み止まった小人のキャプテン。

「落ち着けぃ 皆の衆!」

小人の親分が場を静めました。

「こんな時のためにわしらには切り札があるじゃろうが!」

小人たちが期待を込めてマミゾウを見つめます。

「ナズーリン、知恵を出せ、なんとかせい!」

「えーー!? 私?」

「おぬし、知恵者を自称するならこの場を収めて見せい!」

タヌキからネズミへ無茶振りバトンが渡りました。

「頼むよ賢将さん!」

「任せたよ天才!」

「ちえものーーー!」

「いいトコ見せてよ変態!」

「今、変態って言ったの誰だ!?」

「気にしない気にしない」

「ったく、こんな時だけ……」

「アンタたちぃ~~」

白雪姫が棺の蓋を開け、ゆらりと起き上がってきました。
墓場から蘇った魔物そのものです。

(くっ! こうなったら強引にハッピーエンドへ突入だ!)

「奇跡だ! 何という奇跡だ!
白雪姫が生き返った! ばんざいーーい!」

(ほら、早く!)

ナズーリンが叫び、皆に目で合図をします。
その意図を汲んだ小人たち。

「ばんざーい! ばんざーい! ばんずあああい!」×6

原作では白雪姫を棺をかついでいた家来のひとりが木につまずき、棺が揺れた拍子に白雪姫は喉に詰まっていたリンゴのかけらを吐き出し、息を吹き返すらしいので結果オーライでしょう。

ナズーリンは呆気にとられている白雪姫を尻目に王子【聖白蓮】に近寄ります。

「王子様! 白雪姫が愛の力で生き返りました!
さあ、早くその腕に抱いてあげてください!」

王子はすかさず白雪姫に歩み寄り、その手を取りました。
ここでようやくお芝居の筋を思い出した白雪姫【雲居一輪】。

「まあ、私は、いったいどこにいるのでしょう?」

不思議そうに辺りを見回す白雪姫に王子は言いました。

「白雪姫、貴方は私のそばにいるのですよ」

最大級の笑顔。
それは水ポケ一輪に対する特大電撃、効果は抜群です。

「貴方の事は、この私が一生お守りします。
どうか私の城(寺)へ来て、私と結婚してくださいませんか?」

白雪姫は、王子にこくりとうなずきました。

「はい、貴方の国(寺)へ連れて行ってくださいまし」

「かしこまりました」

王子は流れるような仕草で姫君を抱き上げました。
完全無欠の”お姫様だっこ”です。
そして再び電撃スマイルが炸裂しました。

「……しあわせ」

滅多に見せない白雪姫【一輪】の心からの笑顔でした。

「白雪姫ばんざーい! 王子様ばんざーい!」×7

「ふーー 何とかなったみたいじゃの」

「やれやれ危なかったー」

「一輪、泣きそうだったね」

「よかった、よかったー!」

「これ 何のお話だったの?」

「……こいしさん、後で教えてあげるから」

一方、お城に戻ってきた魔法の鏡【ナズーリン】
お妃様【寅丸星】とおしゃべりしています。

「原作ではこの後お妃様は真っ赤に焼けた鉄の靴を履かされ、死ぬまで踊らされるんだよ」

「えええー! そんなのイヤですよ!」

「安心したまえ、私がそんなことを許すものか」

「ふふふ そうでしたね、貴方がいてくれたら心配ないですよね」

「その通り、万事お任せあれ」

「最後に一つ聞いてみようかしら?
……鏡よ鏡 この世で私にふさわしいのは誰?」

「うふふふ この私以外にいるとでも?」

「あは いーえ、いるはずありません」

「では、さっさと逃げ出すことにしよう」

「良いんでしょうか?」

「構うものか、愛の逃避行と洒落込もうか」

「ええ 喜んで」

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ナズ:今回も雲山はチョイ役だったね。

寅丸:気の毒ですね。

ナズ:しかしセリフがなあ、都度、一輪の解説を挟むのも変だしなあ。

寅丸:セリフの少ない役ならどうです?

ナズ:セリフが少ない主役級か……

寅丸:あ! あるじゃないですか!

ナズ:ほう? 例えば?

寅丸:【人魚姫】ですよ! あれならほとんどしゃべる必要がありません。

ナズ:え? 雲山が人魚姫なの?

寅丸:そうです。

ナズ:んー、この件はもう少し慎重に検討したほうが良いと思うんだがね。

寅丸:ダメですか?

ナズ:いや、ダメというかなんというか……

※次回 雲山主役の【人魚姫】に乞うご期待!(多分書かない→そんなの書けない)

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