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超戦士(ハイパー)・シンデレラ(4)

迎えの馬車に意気揚々と乗り込んだ三人を見送ったシンデレラ。

(武闘会……私も行きたかったなあ)

シンデレラはポロリと涙をこぼしました。

いえ、あの、舞踏会ですからね?

お願いしますから、そこの勘違いは早めに是正してください。

そうでないと違う路線の話になってしまいますから。

「そこの娘さん、何故泣いているのですか?」

突然声をかけられビックリ。

シンデレラが振り向くと妙齢の女性が立っていました。

物腰は上品な若奥様風。

しかし、その出で立ちが何と言うかその……

思いっ切りの盛り髪はどうやって染めたのか分からないほど複雑な色合い。

金と紫がらせん状に絡まり、ゴージャスなティアラがザクザク刺さっています。

首にはワンポイントのジェムをあしらったチョーカーが蠱惑的ですね。

このあたりまではなんとかフォローできるのですがメイクがその……

まつげびーっしり、瞬きしたら風が起きそうです。

シャドウは……赤みの強い紫、そう、purpleです。

ルージュはオレンジ色ですか……

チーク、結構乗せてますね……

恐らく元はとても美人なのになんだか残念でなりません。

胸も十分に強調したデザインで、谷間も少しサービスしています(当社比30%増)。

肘まである白い手袋、おへそもガッツリ御開帳です。

フリフリのミニスカートは緑色、真っ赤なロングブーツ。

全体のイメージはオーバーランしてしまったセー●ー戦士でしょうか。

手にしているステッキの意匠がいかにも玩具っぽくて、些か痛い感じがしないでもありません。

野球で例えるなら、意表をついた、まさかのツーストライクからのスクイズでしょうか。

サインを見落としていた三塁ランナーが慌てて本塁突入してクロスプレイになっちゃって大変微妙なタイミング。

ギリギリセーフ、いや、審判によってはアウトを宣告するかもの際どいタイミング。

いずれにせよ判定を巡って両軍ベンチが入り乱れること必定の混沌具合です。

全体のバランスが微妙すぎます。

ミゼラブルです。

若奥様はシンデレラのリアクションを待っているようです。

「えと、アナタはどなた? ……ですか?」

シンデレラは恐る恐る問いかけました。

若奥様は『良くぞ聞いてくれました』とばかりに嬉しそうに頷きました。

まあ、そう聞いてくれなきゃ名乗りにくいですからね。

真横にしたピースサインを右目に軽く当てました。

キュピーンって、……なんの効果音です?

「私の名は! 魔法少女【セイント・ビャクレーン】です!」

魔法……少女……?

これは困りましたね。

……うわあ、満面の笑顔ですよ。

この瞬間を切り取って絵にしたら題名は【ザ・ご満悦】でしょうか。

ご本人的には大変に満足なさっているようなので、外野がとやかく言うことは憚られますね。

シンデレラは実に複雑な表情で視線を外しました。

気持ちは分かります、作者も同じ気持ちですから。

「娘さん、どうしたのですか?

一体、貴方に何があったのですか?」

いやいや、それはそっくりそのまま貴方に伺いたいことでございます。

あの、……綺麗ですよ。

その、まあ、美しいですよね。

そこのところは間違いありませんよ?

でも、何故でしょう? 大事な何かがポロポロと壊れていってます。

誰かこの崩壊を止めてくれませんか?

「一応言っておく。

儂は止めたんじゃぞ」

腕組みをしたままゆっくり近づいてのは眼鏡をかけたお姉さん。

「儂は【マミゾー】じゃ。

助手のようなモンじゃが、後で馬車の御者をやる予定になっておる」

「御者ですか?」

不思議そうなシンデレラ。

「おっと、ネタバレしてしもうた、忘れてくれ。

この魔法使い【まじかるひじりん】はこんな見てくれだが魔力は申し分ない」

若奥様が眼鏡のお姉さんにステッキをビュッと突きつけました。

「……【マミゾー】、また間違えましたね?

【セイント・ビャクレーン】ですよ。

次、間違えたら、荷電一本足頭突きの三連発ですからね?」

大木金太郎ですか。

【マミゾー】は顔をしかめました。

身体強化魔法でタングステン並の硬さになった頭突き、しかも強電撃属性のおまけつき。

まるで雷神トールの鎚です、想像しただけでもチビリそうです。

「いや……それは勘弁して欲しい。

えーと、つまり魔力には全く問題はない。

間違いなく大魔法使いじゃから相談してみると良いと言いたかったんじゃ」

そう言っているあいだも【セイント・ビャクレーン】は、五秒おきに決めポーズを変え、キュピキュピーンとカメラ目線をくださっています。

ホントに、ホントーーーに……楽しそうです。

トホホホ……

「日頃は色々と我慢しておるのじゃろう。

こんな機会でもなければ羽目を外すことなどできなかったから……

うむ、つまり、ここは勘弁してやって欲しいんじゃ、どうかな?」

【マミゾー】はボリボリと頭を掻きながら申し訳なさそうに言いました。

魔法少女【セイント・ビャクレーン】……

皆さん、ここは一つ、受け入れるといたしましょう!

よろしいですね!? QXですね!?

そうしないと話が進みませんし。

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