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超戦士(ハイパー)・シンデレラ(7)

一方、お城では舞踏会が始まっておりました。

ダンスフロアより高いところに設えられたスペースではこの国の王様と二人の王子様がヒラヒラと踊っている美姫たちを眺めています。

「どうだね、気に入った娘はいたかね?」

ナズーリン国王が王子たちにたずねました。

「キレーなヒトばかりだよねー」

左右、異なる色の瞳が印象的な【コガッサ】王子はうれしそうです。

「みーんなとお友達になりたいなー!」

【キョーコ】王子は犬耳をパタパタさせています。

二人とも小柄で愛らしい女の子の王子様です。

承知しております、すでに設定が破綻しています。

でも、気にしないでください。

「ねえ、ちちうえ」

「なんだね?」

いえ、ここも気にしないでください。

【コガッサ】王子がたずねているんです。

「男のヒトもたくさん来てるよね? 女のヒトだけじゃないんだね」

「そうだ、独身男性も大勢招いている。

キミたちの嫁探しが目的ではあるが、独り身の男女に出会いの場を提供する狙いもあるんだよ。

長い目で見れば国の繁栄に必要なことだからね」

「ふーん」

「まぁ、キミたちが良い伴侶に巡り会えれば僥倖だと思ってはいるが」

「わたしのお嫁さーーん!?」

【キョーコ】王子の元気の良い大声。

「【キョーコ】! 王子たるものむやみに大きな声を出すものではない!

あー……もう、皆がこっちを見ているじゃないか」

元気溌剌、大声がウリの【キョーコ】王子の発言は会場中に轟き渡りました。

そして公にはしていなかった今回のホントの狙いがバレてしまいました。

娘達を中心に『やっぱり噂通り』とか『玉の輿』とかざわついています。

国王はこめかみを押さえています。

「やれやれだな。

しかし、本筋からハズレた訳じゃないから、まぁいいか」

特にフォローは入れないようです、まぁいいでしょう。

「そんな訳で今夜はキミたちが主役だ。

気に入った娘がいればとりあえず踊ってみると良かろう。

だが、軽々しく婚姻の話をしてはいけないよ?

此度はアタリをつけるだけで十分だからね」

「はいはーい」

「おっけー! まっかせてー!」

「……どうも今一つ不安だな。

いいかね、いずれは国を治める立場となるキミたちは慎重に妃を選ばなければならないんだよ」

「どんなふうに?」

「まず共産主義者や民主主義者はお引き取り願おう。

なにせ我々は絶対君主なのだからね。

思想的に極端な偏向があってはならないし、退廃的な生活感、浪費癖はもってのほかだ。

高等教育を受けていることが望ましいが、社会学者は絶対にいかん!」

「ぜんぜんわかんないよ」

不審気な【コガッサ】王子。

「そして際立った美人も不可だ」

「えー? キレイなヒトがなんでダメなのー!?」

こちらは不思議そうな【キョーコ】王子。

「必要以上の美しさは諍いの原因になりかねない。

トロイア戦争が良い例だ。

当時の各国の真意はともかく、一人の美女を巡って大戦争が起こってしまったのだ。

他にも美しい女性を我がものとしようと繰り広げられた愚行は枚挙に暇がない。

つまり、他人が妬むほどの美姫を娶るとロクなことがないのだ」

ポケッとしてる二人の王子。

「だから心身共に健全であれば見た目は平凡で良い。

そのうえで利発で明朗快活で心根が優しく、自分をしっかり持っていながら控えめであれば申し分ない。

加えて責任感があり、広い見識と洞察力に秀でていれば尚良い」

「そんなヒト滅多にいないよ」

【コガッサ】王子のツッコミはもっともだと思います。

そんなヒトいたら紹介して欲しいです。

「とは言ったものの、近隣諸国へのアッピールも必要だ。

分かりやすく言うと、キミたちの好みでそこそこの娘を選んで良いと言うことだ」

これまでの大げさな前振りはなんだったのでしょう。

犬耳の王子が頭を抱えました。

「うー! 分かんなくなったー!!」

そうでしょうね。

「性癖に関してはかなり寛容なつもりだが、死体しか相手にできない、糞尿にしか興味がない等々ドン引き系アブノーマルは施政者の伴侶として受け入れられるものではない」

王様、二人の王子がドン引きしていますよ。

「む……オホン。

これは余計なことだったようだ、キミらにはまだ早すぎた」

軽く咳払いして気まずそうにしている国王。

ホント余計なことだと思います。

「先ほどの黒髪の姉妹はどうだ?

水色と赤黒のドレスがよく似合っていた」

話をゴマカそうとしています。

「あ、うん、一緒にいたら楽しいかも」

「そうそう! キレイだったー!」

この王子様達、あまり集中力がないので簡単にゴマカされちゃいます。

国の未来が心配です。

「なるべくたくさんの娘達と踊りたまえ。

王族として臣民へのサービスの意味合いもあるからね」

「はーい」×2

パタパタとフロアへ降りていきました。

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