紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

ナズーリンの星っていくつあるの?(7)

「あくまで自分を卑下しますか。

それならば問います。

私と貴方の体が入れ替わっていたとしたら同じような感情を抱けますか?」

とんでもないことを言い出したな、まったく。

私がご主人の超絶肉体、ご主人が私の半端な幼女体型、ということか?

あーん、どんなんだか。

むっ、待てよ、それって、それって! スゴそうだぞ!

今と同じように察しが悪く、うっかりさん。

失敗ばかりで、その度【ごめんなさい】と涙ぐみ、小さな体をますます小さくして震えるのか! 私の姿で。

そして私はご主人の姿を持って【仕方ないな、次は気をつけるのだよ】と包み込むように抱しめるのか!

うっかり転んで汚れたときは、お風呂で綺麗にしてあげるのだ、嫌がっても無駄だよ。

何せ私の方が遙かに大きく、強いのだから!

本気で嫌がるなら無理はしないが、優しく包み込んであげれば私の豊かな胸の中、プチプチ文句を言いながらも拒みはしないだろう、きっと。

怒ったときは叩いてくるかもしれない、小さな手でペチペチと。

そんなのぜんぜん痛くないね。

でも可愛い。

ふおおーっ! たまらん! これはこれで良いではないか!

素晴らしい発想だ! 来世はかくありたいぞ!

「ナズーリン、分かったようですね。貴方は姿形にとらわれているのです。

私の言いたいこ『ご主人! スゴいぞ! 私のエロスの幅がまた広がった! さすがだ! 恐れ入った! 何というエロス! 貴方はすでに私を越えておられる!』

「ふぇ、なんですか? またエロスですか?」

「その発想、堪能させていただいた。ごちそうさまでした」

「も、もしかして逆効果?」

「いやいや、入れ替えモノか。参りましたな」

「このままウヤムヤですか?」

「とまぁ、白い星はこんな感じだね。分かってくれたかな」

「うー、納得できませんが、貴方のこだわりが尋常ではないことは、何となく分かりました」

本当に納得してないな、これだけ丁寧に説明したのになぁ。

まぁ、色々と脱線はしてしまったが、ご主人の気持ちが少し分かっただけでも、大収穫だな。

今夜は眠れないよ、星。

でも折角だから、もう一つの星も話したい。

聞いて欲しいな。だってこっちの方が大事なんだもの。

それに今日の雰囲気なら思いの丈を伝えられそうな気がする。

気合いを入れろナズーリン、勝負どころが来たぞ、あ、今日は勝負下着じゃなかったな、って、そもそも私、勝負下着持ってないよ。

今日は裾がほつれたネズミ色の猿股だ、やだ、涙出そう。

ああ、こんな私でも、少しは可愛く見せたいたいよう!

でも、この体型で勝負下着とは、それも滑稽だな。

上は付けてもしょうがないんだから、下で勝負しないと。

高価だがショートドロワぐらい手に入れておこう、ご主人は気にしないと思うけど、出来ればうんとドキドキさせたい。

私だって恋の駆け引きを満喫したい乙女なのだ。

おっと、また脱線した。ご主人が心配している。

「黒い星は私の主観だ。はっきり言って、私の好みなのだよ。

【いい女指標】と言っても良い」

「いきなり話題が変わるんですか!」

ご主人にとってはいきなりだろうが、私は順番通りだ。

「顔の造作、体各部の均衡、肌艶、立ち居振る舞い、目線のくれ方、仕草、芳香、基本的な性質、物言い、声質、包容力、危険な香り、癒され度合い、保護欲のかき立てられ具合、その他諸々、総合力で判断される、私、ナズーリンの純然たる【好み】の度合いだ!!」

膝立ちになり、両手を広げ、目を剥いて宣言する。効果音が欲しい。

「好みですか、貴方は好きな人がこんなにたくさんいるのですね」

あれ、えらく冷たい声だな。

いつのまに回収したのか、幻想郷縁起をパラッパラッとめくりながら言われた。

こちらを見もしない。

あっ、これってパルパルだ、うん、嫉妬だ。しっとそうなのだ。

これは予想以上に期待して良いんじゃないかな?

他の女を評価する私に嫉妬、それも結構あからさまに。

うわい、ひやほ、うれし。

浮かれている場合ではなかったな。

このまま放置してはマズい。

しかし、私の思いはここに集約されているのだから、間違いなく分かってもらわないと。

正念場だぞ、愛の戦士ナズーリン、抜かるなよ。

「確かに私の好みだが、【好きな人】とは聞き捨てならないな。
好みと好き、似ているようで違う、違うんだ。

だって好きなのは『好みの人が貴方に言い寄ってきたら、好きになっちゃうんじゃないですか!? その程度の違いなんですよ!』

おおう、パル度数がはね上がったな、なんだかむずがゆいうれしさだよん。

へふー、もう少し引っ張りたいなん。

「ご主人、ここで全部終わりにするかい?」

ちょっとだけ意地悪しちゃおうかな。

「えっ、いえ、だって貴方が、好みなんて言うからです! 私、悪くないもん!」

がひょーん、【もん!】ときたぞ!

この娘はどこまで行くのか、手が届かなくなりそうだよ。可愛さ無限大だ。

いつもと違う展開で、あちこちの防御が緩んでいるのか。

なんだか色々チャンスのような気がする。

落ち着けナズーリン! じっくり行くぞ!

「うん、そうだね。ご主人は何も悪くないよ。私の説明が悪かったんだよね?

だからもうちょっと聞いてくれるよね?」

本日二度目のお願いフェイス。

「うぇ、うー、おねだりは今日はこれで最後ですよ、もうっ!」

濫用は良くないな、おねだりとバレている。

しかし【今日はこれで最後】か、明日はリセットしてくれるんだね。

やはり私には甘いんだなぁ、ああ、鳩尾のあたりがくすぐったい。

これは私のささやかな【幸せ】と勘定して良いよね。

「女体を探求してきた私が、苦心して基準を設け、その性状を分類し、個別評価するのは当然の帰結だよ。

ただ【ああ良いなぁ】【いまひとつかなぁ】【おっぱい大きいなぁ】【一晩お願いしたいなぁ】では単なるバカ好きモノだ」

「すごい言い切り方ですけど、どれほど違いがあるんでしょうか?」

えー、そんなこと言うの? ねぇ、ホントに分からないの? 私、くじけそうだよう。

「ご、ご主人、違うよ、明らかに違うよ、学術的探求は記録するものだ。

後続のために、無駄な回り道をさせないための指標になりうるものだ。

やっているときはそこまで考えないがね。

だから私の記録もいつの日か誰かの役に立つ日が来るかもしれない」

「そーですね。えー、そーですね。ホントにそーですね」

ご主人、まだご機嫌ナナメだな。

「学術的側面も認めてくれるね? そうしてもらわないと、話が進まないのだが」

「聞くと約束しましたからね。どーぞ進めてくださいな」

あれま冷たい。

しかし、今のうちにキチンと説明せねば。

「顔の造作一つ取ってみても、細かい観察が必要だ。

多分に好みの領域だろうが、目の大きさ、瞳の色、唇の厚み、歯並び、鼻の高さ、小鼻の膨らみ、頬骨の出具合、顎の形、喜怒哀楽の表情、その際、どこがどのように崩れるのか、輝くのか、笑ったときどのくらい口が開くのか、怒ったとき目元はどうなるのか、眉間の皺はどんなか、涙はこぼれ方は、と確認すべき点は多い」

ご主人が顔を逸らしてしまった。

見つめすぎたか。

「もちろん、仕草や、言動など他の点も確認事項は多い。

それぞれが重なり、絡み合い、個性を紡ぎだしていくのだよ、無限の組み合わせだ。

具体的に見ていった方が早い。黒い星は、多い方から見ていこう。

多い方が、まぁ私の【好み】と言うことになるが、【好み】についてはひとまず横へ置いておいて欲しい」

横を向いたままで、チロっと睨まれた。

まだ怒っているな。

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