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ナズーリンの星っていくつあるの?(8)

「星五つ、これは今のところ十六夜咲夜しかいない。

知性と意志の強さがにじみ出ている顔立ちは、基本の造作がややきつめだが、微笑むとき、困ったとき、とても柔らかく崩れる。

このギャップは一度見たなら確実に心に刻まれる。

もう一度笑わせてみたい、困らせてみたい、と欲求をかき立てられる。

体型の均衡は完成された美の一例だ、くどい説明は不用だろう」

今のご主人に、体つきのことをこれ以上話すのは、やめた方が良さそうなので省略だ。

「完璧に近い家事管理能力、細やかな気遣い、物怖じしない芯の太さ、洒脱な受け答え、控えめにしていても隠れようのない存在感、溢れんばかりの忠誠心と深い情愛、時折見せる焦点のズレた言動、いわゆる【天然気質】、誰もが夢見る理想の従者にして恋人。

十六夜咲夜に星五つだ」

一気にまくし立て、ご主人の様子をうかがってみる。

「そうですね。ええ、そうですね。本当にそうですね」

さきほどと同じ台詞だが、纏っている怒気が哀気に変わりつつある。

だが続ける。

「星四つ、アリス・マーガトロイド、容姿は最高水準、ちょっとした気配りは心憎いほどだ。何気ない仕草に品があるから、恐らくは上流階級の出だと思う。

他人に無関心だが、達観しているわけではない。

その関心が黒白魔法使いに集中しているだけのことだ」

ご主人が目を剥いた。

知らなかったのか。

「霧雨魔理沙の星付けは、今は保留だ。

三年もしたらとてつもない美女になることが分かっているからね。

あの骨格なら、もう一段階飛躍的に成長する。

背も高くなり、四肢もしなやかに成長する。乳も星三つは確実だ。

顔は丸みが少しとれ、【可愛い魔理沙ちゃん】から【すんげ綺麗な魔理沙さん】になるよ。

それに私には彼女が魔法使いとしても、精神的にも大きく成長する行程がはっきりと見える。

壁にぶつかる度に、自分の力と、彼女を慕うものたちの献身的な愛で、雄々しく、しなやかに立ち上がるだろう。

彼女は十六夜咲夜を脅かす存在になる。

アリス・マーガトロイド、時がたつほど競争率が上がっていくのに、のんびり構えていたら、その生涯最大の後悔をするだろう。

頭一つ抜けている今こそ無理矢理にでも押さえ込むべきだ。私なら絶対そうする」

ご主人は目を泳がせている。

そんなに意外だったのか?

「次に上白沢慧音、妖の身でありながら、人里の信を得ている。

ただ優しく、愛想が良いだけでは立ち行かなかっただろう。

冷徹な、時には苛烈な判断を求められた場面がたくさんあったはずだ。

なのに泰然自若、いつも笑顔を絶やさない。

歴史を背負う孤高の覚悟を表に出さない。

あれこそが【漢が惚れる漢前】だ。

ちなみに色恋も、お盛んだ、居候のもんぺ娘は近いうちに喰われる、いや、喰わされるだろう」

「そんな、そんなことって」

驚いているのか、一目瞭然だろうに。

色々隙を見せて誘いをかけては、最後の一線は不死っ娘自身に越えさせようとしている。

誘い受けを楽しもうとしているのだ。

このやりくちは【いただき】だ。

次に行くか。

「射命丸文、素晴らしい脚線だ、飛ぶ姿も美しい。

過剰なまでの行動力と人当たりの良さ、仕事に対するこだわりも真摯だ。

軽妙洒脱な会話からは高い知性と、積み重ねた経験がうかがえる。

立場上、二面性を持たざるを得ないが、今現在、熱烈恋愛中なので、言動の随所に煌めきがこぼれ出ているよね」

「恋愛中、なんですか?」

【恋愛中】に食いついたな。

一時的ではあるが、元気になりそうで良かった。

「ああ。間違いない。白狼天狗の娘と良い仲だよ」

「えっ、それって、犬、犬走、犬走椛さんですか?

でも、二人は仲が悪いって聞きましたよ?」

「甘い、甘いなご主人。

天狗社会の立場上、表だってはそういうことにしているだけだ。

初めは本当に仲が悪かったかもしれないが、今は違う。

鴉は狼にベタ惚れだし、狼は鴉を喜ばすことを最優先にしている。

私は二人が隠れて睦み合っているところを五回ほど目の当たりにしている。

間違いない、【仲が悪い】は偽装だ。

それに、白狼の、聞いている方が恥ずかしくなるような淫らな言葉責めと、時にじらし、時に強引な愛撫の技はとても勉強になったな」

「ナズーリン」

おろ、また怒気が強くなったぞ。

「覗いていたんですね? 貴方は、いつ、どこで!?」

「いや、また私の妄想だったようだね」

あわてて取り繕う。

「だって無理な話だよ。狼の嗅覚、しかも千里眼の能力を持つものには近づけないさ」

もちろん隠密行動のエキスパートたる私がたやすく見つかるわけもない。

道具や術や教訓を駆使して隠れ続けてきたのだ。

私が【存在を消す】ことに専念すれば、スキマ妖怪にだって探知されない。

ロケットおっぱいを至近で拝んだものは、そうたくさんはいないだろう。

まぁ、ご主人に言う必要はないだろうが。

「貴方の妄想は、ありそうでなさそうで、その上でありそうだから心の臓に悪いですよ」

少しはいつもの調子に戻ってきたかな。

「次なる黒星四つ、星熊勇儀と水橋パルスィはまとめて説明した方が早いな。

ご主人も地底に行った際、見ただろう? あれをバーカップルと言うのだ。

乳八仙にして黒い星四つ、総合はかなり高い。

おおらかで頼りになり、優しい心根の楽天家だ。

細かいことは期待しないで、こちらが全て面倒見てやる、と決めていれば、世話を焼くのも楽しいだろう。

危なっかしくて、意外と保護欲をかき立てられる。

こう言ってしまうと女じゃないみたいだが、どうしてどうして震えがくるほどの色気を放つときがある。

地底の宴会で皆、酔いつぶれて雑魚寝したことがあったろう?

明け方目が覚めてしまったんだよ。

ぼんやりしていたら、星熊勇儀が半身を起こしたんだ。

寝乱れた姿を直しもせずにこちらを向いて【眠れないのかい?こっちに来るか?】

ふわっと微笑みながら小さく手招きされたんだ。

もちろん冗談だったんだろうが、そのときの妖しい色香に少しの間息ができなかった。

慌てて布団を被って丸まったよ。正直まいった」

その宴会を思い出そうとしているのか、微かに眉間に皺を寄せ、唇を尖らせている。

「パル子さんは知っての通りだ。

女性体としての完成度は、結論の一つだ、それも限りなく真実に近い結論だ。

寅ちゃんとはまた違った儚げで繊細な肌質、裸体がもっとも美しいのは彼女かも知れないな。

嫉妬に狂った果てに妖怪になったと聞くが、それだけ情が深いと言うことだ。

総じて控えめだが、想い人に関係することなら、全てを投げ出す覚悟と行動が伴う。

一言でいうのはもったいないが【けなげ】なのだね。

相方が言う【パルスィはとてもとてもとてもとてもとても可愛いのさ】うん、納得だ。

魅力の相乗効果で両者、星四つだ」

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