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快傑!ナズーリン!!(1)

「おまえをこの館に招いた覚えはないんだけれど?」

私、レミリア・スカーレットが魔眼で睨みつけても霧雨魔理沙は怯む様子もない。

「困ったときにはお互い様だろ? 力になってやるぜ」

態度のデカさは相変わらずだ。

本来のゲストであるアリス・マーガトロイドは逆に小さくなっている。

「ごめんなさいね。出掛け際に会っちゃって、どこへ行くのかとしつこかったから、結局、全部しゃべっちゃった。

そしたら一緒に行くってきかなくて。

本当にごめんなさい」

えらく恐縮しているけど、まぁ彼女の【オマケ】は予想の範囲内だし。

それでも少しは釘を刺しておかないと。

「おまえに構っている暇はないが、大人しくしているなら見逃してやるわ」

「おうさ、ワタシは大人だからな」

そう言って、へへへと笑う。

この【オマケ】はまったく。

「なんにせよ、よく来てくれたわねアリス、じきにもう一人の客人も来るでしょう。

話はまとめてするわ。暫らく寛いでいてちょうだい。 咲夜、お茶を」

言い終わった直後には良い香りの紅茶が人数分現れた。

なんだ、暇はあるじゃないか、そう言った魔理沙をアリスが小声で窘めている。

私、咲夜、アリス、魔理沙の四人。

ここは紅魔館の、数ある応接間のうちの一つ。

大きな窓があるのはこの部屋だけだったと思う。

何せ広いのだ、この館は。

私たちは日の光を取り込むための【窓】にはあまり興味はないが、一般の客をもてなすには一番良い部屋だと思っている。

それに今宵は満月、今はこの窓から昇り始めた豊月がよく見えている。

軽いノック。

「お嬢様、お客様をお通しいたします」

あらかじめ美鈴やメイドたちには、今回の客人は即座に通すよう、言ってある。

開いた扉から入ってきたのは、やけにデカい女だった。

ウチの門番といい勝負だ。

袖も裾も長い、ゆったりとした東洋風の衣装。

黄色と黒の斑の髪、柔和な目元だが、容易くは屈しないだろう強い意志を秘めた金色の瞳。

十分に整った顔立ちと、歩く姿には品があり、単なる【美人】では括りきれない何かを持っている。

「皆様、お初にお目もじつかまつります。私、寅丸星と申します」

そう言って、深々と頭を下げた。張りのあるアルト、良い声だ。

頭に咲いている花が気にはなったが。

しかし、招いたのは彼女ではない。

私の不審気な表情を見ても寅丸星は怯まなかった。

「招かれざる客であることは承知の上です。しかしながらっ」

妙なタイミングで台詞を断ち、我々の背後に目線を移した。

「あっ!あれは何だ!」

芝居がかった仕草で皆の背後にある窓を指さす。

私を含めた全員が振り返る。

【バンッ!】 窓が開いた。

月光をバックにしたシルエットは小柄な人影。

『天が呼ぶ! 地が呼ぶ! ヒトが呼ぶ! 妖(あやかし)にだって呼ばれちゃう!

大事なものをなくしたら、どんなコだって悲しいもん!

困った時には呼んでごらん!?

愛と正義のミラクルダウザー!!

快傑っ!ナズーーリン!!

キュウトに、けっんっざーーん!!』

折れ曲がった棒を振り回しながら、なにやらキンキン声で叫んでいる。

『とうっ!』

窓辺から跳ね上がり、一回転してほとんど音も無くフロアに降り立った。

そこで、ニッコリ笑い、右手で折れ曲がった棒を突き出しながら、

『さあっ! あなたの探し物はなあに!?  私に言ってごらーん?』

そしてウインク一発。

「キャーッ! ナズーリーン! ステキーッ! カッコイイー!!!」

寅丸星ひとりが手を打ってはしゃいでいた。

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