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快傑!ナズーリン!!(3)

「今まで取れたことはないの? 羽根の生えかわりなんじゃないの?」

話の流れを修正しようとするアリスの質問。

このコは苦労性よね。

それに併せて魔理沙も、

「全部取れちゃったのか? それに、見つけたとしても、くっつくものなのか?」

それぞれ予想された疑問だ。

「そうね、さっきも言ったとおり分からないことが多いの。

今の段階でのパチュリーの調査結果と、考察を説明するわね」

紅茶に口をつけながら、パチェの報告を頭の中でおさらいする。

一族の秘密に関わることは不出とし、私自身の記憶、推測もまとめながら、ここで言うべき内容を組み立てる。

「一つ、今回取れていたのは二つか三つ。

全体のバランスから見ての話よ?

一つ、フランを含めた【鉱物質】の羽根は生えかわらないらしい。

まぁ私の羽根もそうだけど。

一つ、簡単には取れないらしい。

彼女の【宝石羽根】が取れているのは初めて見たわ。

一つ、取れたとしても消滅はしないでそのまま残るらしい。

過去に、忌まわしいモノだとして、力尽くで、もぎ取った例があって、その【石の羽根】はこの館の宝物庫のどこかにあるみたい。

一つ、鉱物としての硬度はあるが、いわゆる宝石ではないらしい。

硬質のガラス細工に近いかも。パチュリーは、材質を調べたがっていたけれど、手に入れるにはリスクが大き過ぎると言っていたわ。

削り出せば綺麗な細工物ができそうとも、まぁこれは半分冗談でしょうけど。

一つ、取れたものが再び付くのかどうか。

これは全く分からないわ。

そしてもう一つ、【再生】するということ。

私たち吸血鬼の再生能力は強いわ。

かなりひどい傷でも一晩も経てば完全に復元する。

でも【鉱物質】の羽根は材質のせいか、再生に時間がかかるらしいの。

数少ない事例では、短いときで三日、長いときは一月ほどかかっている。

フランの場合、再生にどのくらい時間がかかるのか、全く分からない」

少し間を取り、三人の反応を窺う。

魔法使い二人は、難しい顔、探脈者は特に変わったことはないが、私の目線を受けると微かに頷き、続きを促した。

「今までのことは【宝石羽根】についてのこと。

次は、なぜ取れたのか、誰が取ったのか。

そもそも簡単に取れるとは思えないし。

フランが自身の手でもぎ取ったのか、自分の意思ではずせるのか、あるいは取った犯人をかばっているのか、それも分からない。

かばう相手の見当もつかない。

いずれにせよ、フランは取れた理由と、取った相手を知っている、と私は確信しているわ。

【気づかなかった】は絶対嘘。何かを隠している」

フランに気づかれずに【宝石羽根】を持ち去るのは不可能だと思う。

衝動的に自分でもぎ取ったとも考えにくい。

破壊衝動はあったが、自傷癖はなかったから。

こうしている間にも【再生】しているかも知れないけれど、無くならないとしたら、どこかにあるはず。

おかしな輩の手に渡っていたら、と思うと我慢ができない。

だってフランの【一部】なのだから。

「貴方の【能力】はなんと言っているの?」

アリスの質問は、もっともだ。

だが、私の【運命を操る程度の能力】は、この件にはなにも干渉してこないようだ。

私にとっても大きな岐路のようだが、その行く末は全く見えないのだ。

だから首を横に振るしかない。

「分からない。でも、心がざわめくの、締め付けられるの。

なにか大きな転機のようなのだけれど分からないわ」

本当に分からない。
でも、じっとしていられないくらい心が揺さぶられている。

「取れてしまった羽根がどこにあるのか、私はとても気になるの。

再生すると分かっていても、フランの一部が行方知れずでは寝覚めが悪いわ」

他人にはこう言うしかない。

黙って聞いていたトレジャーハンターに向き直る。

「ナズーリン、貴方に来てもらったのは、こういう訳。

失われた【宝石羽根】を探し出して欲しいの」

「なるほど。それで【快傑ナズーリン】が【キュウトに見参】したわけだな」

邪気まみれの嘲笑。

真面目に聞いていたと思ったらこれだ。

アリスが小声でドヤしつけながら魔理沙の腿をぱしぱし叩いている。

「それはやめてくれ、と言ったはずだがな。

少しお灸を据えねばならんか」

ふう、とため息一つついたナズーリンが魔理沙に向き直る。

「三日前、川で魚をとっていたね? 河童娘と一緒に。

じきに水かけ遊びになり、はしゃいでいるうちに重なりあって倒れてしまったよね?

キミが上だったか?

そのまましばらく動かないままだったが、冷たくなかったのかな?

見たところ、風邪も引いていないようで、重畳なことだが」

魔理沙は目を剥いて、口をパクパクさせている。

アリスはほんの少しだけ魔理沙に目線をくれてから、スーッと無表情になった。

「一昨日は巫女と遊んでいたようだが、服を脱がすのは些かやりすぎではないかな?」

「ち、ちがう! 霊夢のヤツが私のお煎餅を服の中に隠したからだ!

つか、オマエ、ストーカーかよ!」

「私の仕事は探索だ。日々幻想郷中をかけ巡っているのだよ。

キミはどこにいても目立つからね。目を止めてしまうことも多い、ということさ」

「ど、どこまで見ていたんだよ!」

「さてね。私はそれほど暇ではないのでね」

「アリス! 誤解だ! 誤解なんだ!」

アリスに向かって両手を振り回し、叫んでいる。

「誤解もなにも、私はなにも言っていないわよ?

私になんて言って欲しいのかしら?

関係ないと思うけど?」

「なんでそんなに冷たいんだよ! 怖いんだよ!」

抑揚のほとんど無いアリスの台詞にうろたえる黒白。

ナズーリンの攻撃はまだ止まない。

「そして昨日は『やめろぉ!やめてくれぇ!ワタシが悪かった!』

「私もさきほど【やめてくれ】と言ったが、想いは同じと考えて良いのかな?

霧雨魔理沙どの?」

「うう、そ、そうだ、同じだぜ、くそっ!」

簡単に立場が逆転したわね。

情報は侮れない。

この目と耳の利くネズミと事を構えるにはこちらも覚悟が要りそうだ。

「ちなみに昨日は出掛けていないのだがね」

しれっと言い放った台詞に呆然となったお転婆娘。

「オマエ! ハメやがったな!」

「【昨日は寺で子ネズミたちと遊んでいた】と言おうとしたんだがね」

片眉をつりあげるナズーリンと、低く唸りながら睨みつける魔理沙。

なんとも瀟洒なチェイサーね。

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