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快傑!ナズーリン!!(6)

話が進みそうで進まないじゃない。

いや、全然進んでいない。

寅丸星の再登場は混乱に拍車をかけただけなのか。

この混乱を横目にアリスが【せめてあのくらい言えないのかしら】とか【はっきり言ってくれたら私だって】とか、ブツブツ言っている。

コイツはコイツでマイペースね。

ナズーリンは寅丸を抱きながら小声で何か言っている。

私とフランの名や宝石羽根のことが漏れ聞こえる。

状況を説明しながら気を逸らそうとしているのかしら。

一段落したらしく、こちらを向いた。

「私たちのことは気遣い無用だ。進めよう。質問を再開したい」

毅然と言い放ったナズーリン。

しかし、気遣い無用って言われてもねぇ。

寅丸を胸に抱いたままなので、どうにも緊張感が伝わってこないし。

魔理沙は【星? 星五つって?】と呟きながら、ぼんやりとお菓子を食べているし。

アリスは魔理沙がこぼす菓子の欠けらを気にしているようだし。

咲夜は、まぁ、いつも通りか。

「先ほども気にはなっていた。

一週間前の食事会でなにがあったのか、なにを話したのか、覚えている限りでかまわない、レミリアどの、話してくれるかな?」

寅丸から身を離し、席に付く。

「食事自体はいつも通りだったわ。

会話も特に変わったことは、あ、【好きなもの】の話をしたわね」

フランから振ってきた話だ。

【お姉さまの好きな食べ物は何?】【好きな服は?】【好きな花は?】【好きな動物は?】

「印象に残っているのは【花】の話かしら」

「ほう? レミリアどのの好きな花とは?」

そんなことまで話さなくてはならないのかな?

でも、聞いて欲しい自分もいる。

「バラの花よ。嫌いだけれど、本当は好き、そんな話をしたわ。

知っているでしょう? 私たち吸血鬼が触れると、バラは枯れてしまうの。

だから嫌いなんだけれど、でも本当は好きなの」

怪訝顔の魔法使い二人。

【探し屋】の表情は変わらない。

「その豪華な花弁、その色、棘をまとった姿。

真紅のバラを初めて見たとき、これは【私の花】だと確信したの」

あ、ちょっと恥ずかしいかも。

「真紅のバラ、なるほど貴方にこそふさわしい花かも知れんね。

その姿に自身を映せども、触れることの叶わないもどかしさ、なんとも歪で清雅な縁だね」

う、なに、この台詞。

気障ったらしいはずなのに、胸が絞り上げられた。

それに、この涼やかで優しい表情、タイミング良すぎ、いえ、悪すぎ。

計算づくのはずなのに、こんちくしょう、もっと言って!

「良い話だが、次、行こうか」

ぐぉ、流しやがったぞ、この変態ネズミ!

うー、まぁ仕方ないわね。

「妹君が【好きなものは?】と聞いて、レミリアどのが答える。

そのやり取りの中で一番長かったのは?」

「それはさっきも言った【花】の話よ」

「その話の中で妹君が【止まった】のは、話のどこでだ?」

止まった? なんのこと?

私が意味を掴みかねて首をかしげていると、

「【バラの花は私たち吸血鬼が触れると枯れてしまう】【真紅のバラは私の花】の二箇所です」

咲夜が答えた。

「この二回、フランドール様は、お嬢様のお答えを聞いて【少し】考えておいででした」

時間を操れる咲夜でしか気づけなかったのだろうか。

咲夜に向かって薄っすらと笑い、軽く頷くナズーリン。

一瞬、片眉を上げてから会釈を返す咲夜。

なに、この【分かっている同士】っぽいやりとり、面白くないわね。

ほら、寅丸だって口がへの字じゃない。

「ご家族の仲のことで恐縮だが、レミリアどのと妹君の関係は以前とは、随分と違ってきているように見受ける。

これも差し支えの無い範囲で話していただけると手掛かりになりそうだ。いかがかな?」

私も今回の事件と、最近のフランとの関係が局外とは思っていない。

全部話してみよう。

ここにいるものたちは真摯に聞いてくれるはずだ。

「穏やかになってきたの。いえ、元々優しい娘なの。

もう大丈夫、万が一、なにかあっても私が必ず何とかするわ。

私はフランともっと一緒にいたい、もっと話をしたい、もっと喜びを分かち合いたい。

だから私の居室の隣にフランの部屋を用意しているの。

少しずつ内装を整え、家具を運び込んでいるの。

一月以上前から少しずつ準備をしているのよ。

私自身の手だけでやっているから、時間がかかってしまうけど、これは私がしたいことだから。

驚かせようと思っているから、あのコには内緒なんだけどね」

「素敵」

アリスだった。

「素敵な贈り物よ、レミリア。

きっとびっくりするでしょうね」

魔理沙もうんうんと頷いている。

私が心底やりたいことだったから、他人の評価はどうでも良かったけれど、この贈り物は結構良さそうってことよね?

フランの驚く顔が目に浮かぶわ。

「フランドール様はご存知でいらっしゃいます」

咲夜の砲丸が飛んできた

「えっなぜ!? どうして知っているのよ!?」

自分でも驚くほどの大声だった。

「私が話したからです」

「咲夜! 【フランには内緒】と言ったはずよ!

おまえ、自分がしたことが分かっているの?

理由をおっしゃい!」

これはいくら咲夜でもシャレにならない。

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