紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

快傑!ナズーリン!!(7)

「説明させていただきます。

フランドール様は、お食事の後、お嬢様のお部屋に招かれるのを、ことのほか喜んでいらっしゃいます。

お姉さまがこうおっしゃったとか、お姉さまがこんなことを教えてくれたとか、後日、嬉しそうに話してくださいます。

それが、お嬢様が隣のお部屋の支度を始められてから、隣室に違和感を覚えていらっしゃいました。

そのことを私にお尋ねになられたとき、とても不安そうでございました。

【お姉さまは隣のお部屋で何か楽しそうなことをなさっている。

でも私には言ってくれない】と」

そんな、そんなことでフランを不安にさせていただなんて。

「フランはとても鋭いんだぜ。

レミリアが二人で居るときに隣の部屋に向けた嬉しそうな【気】を感じとったんだ、きっと」

魔理沙が真剣な表情で告げた。

おそらく正解なのだろう。

「今の妹様にはキチンと説明するべきだと思ったからです。

誤解が生じ、手遅れになる前にお話すべきだと。

きっとご理解いただけると信じてすべてを申し上げました」

咲夜は私たちにとって良かれと思ったことは、越権してでも実行する。

そしてその判断は誤ったことが無い。

「お嬢様からフランドール様への贈り物です、と申し上げました。

フランドール様を驚かせようと内緒で準備なさっていること、お嬢様がお一人でなさっていることも申し上げました」

「ファインプレーね」

アリスの賞賛の言葉に私も心で首肯する。

本当に、へたに誤解されていたら取り返しの無いことになっていたかもしれない。

「フランドール様はそれを受け、自分も何かお姉さまに贈り物をしたい、と言っておられました」

「それはいつの話かね?」

ナズーリンがすかさず問うてきた。

「一週間前のお食事会より二日前です。

その前日、お嬢様のお部屋に招待されたことを話していただいているときです」

「そして【好きなもの】の話か。

ふむ、おおよそ情報は出揃ったかな」

腕組みして一息、寅丸に顔を向け、軽いウインク。

それを見た寅丸は、パァーっと顔をほころばせる。

なに、このむかつくサイン。

「最終確認だ。

レミリアどの、欠けていたのは何色の羽根だったかな?」

は? 今更なにを?

それでも私が思い出そうとしていると、

「貴方たちの種族は特にそうだろうが、色覚を持つモノたちの一番注意を引く色は?」

「そりゃ赤だろう」

答えたのは魔理沙だった。

そうだ、なぜ欠けているのにすぐ気づいたのか。

一番印象的な【赤】が無かったからだ。

【好きな花】【でも手に出来ない】【無くなっていた赤い宝石羽根】【贈り物】【細工物】

これまで出てきた単語が一瞬で繋がり、形になる。

まさか、そんな、なんてことを!

「枯れない真紅のバラですね!」

寅丸星が立ち上がって言い放った。

ナズーリンは薄く笑っている。

教師が、正解を導き出した愛弟子に対し浮かべるような、優しい微笑だった。

「妹さんは、贈り物を作ってらっしゃるんですね!?

きっとお姉さんを驚かせようとなさっているのでしょう。

お部屋のプレゼントに併せようとなさっているんですね。素敵です!」

「でも、そんなことがあるわけがないわ、そんなことしちゃダメよ」

私は分からなくなっていた。

フラン、あのコったら。

そんなことしなくていいのに。

私なんかのために、自分の身を削るなんて、そんなのダメよ、ダメなのよ。

フランの【能力】を微細に制御すれば、あの【宝石羽根】は精緻な細工物になるかもしれない。

でもそれはきっと、とても繊細で、至難の作業なはず。

それに、本当にそこまでしているのだろうか。

私たちの思い過ごしではないのか?

「でも、本当にそんなことをしようとしているのか?」

魔理沙の問いは私の疑問そのものだ。

それに対して咲夜が告げた。

「【好きなもの】のお話の翌日、この世に一本だけの特別な【レミリア・スカーレットのバラ】を用意するとおっしゃっていました。

申し訳ございません、そのときはなんのことか分かりませんでしたので」

早く言えよ、結構大事なことなのに。でもこれで間違いないだろう。

ナズーリンがニッコリしながら、

「あと何日かかるか分からんが、妹君は【宝石羽根】が再生するまでは出てこないだろう。

それに、細工の目途がつくまでは」

「待ってあげなさいよ。これも素敵な贈り物ですもの」

アリスが優しく微笑んだ。

分かっているわよ、どいつもこいつも、言われるまでもないのに、もう。

「レミリアさんも気づかない振りをしてあげましょうね。

お部屋の仕度を済ませて、待ってあげましょう。

その日はきっと素敵なプレゼント交換になりますよ」

どうしてこの色々と抜けている大女は赤の他人のことなのにこんなに嬉しそうにできるのだろう。

うっすらと涙さえ浮かべている。

「ちょっと考えれば分かったことだったのね。大騒ぎして情けないわ」

赤の他人を巻き込んでしまった不甲斐なさ。

フランの想いに気づかなかった不甲斐なさ。

泣けてくるわ。

「待ちたまえレミリアどの。

貴方は妹君の羽根が欠けたことに気づき、憂いた。

たった一人の妹の体に異常を認め、心配して慌て、恥も外聞も気にせず他者に助けを求める姉。

情けないことなどなにもない。

貴方は大切な妹のために出来得ることをやったのだ。

家族として、姉として、まっこと正しいと思う。

そして姉の情愛に応えたいと、自分もなにかしたいと、思案の末、我が身を削るにいたった妹君、愛おしかろう。

レミリアどの、フランドールどの、お二人姉妹の絆、しかと、見せていただいた。

眼福ならぬ心福を頂戴した。

これもなにかの縁、お二人が危急の際は、このナズーリン、微力ながら支援させていただく所存だ」

席を立ち、深々と頭を垂れた。

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