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快傑!ナズーリン!!(8)

なによ、なによ、このネズミ。

偉そうに、分かった風に。

でも、歯を食いしばっていないと涙がこぼれそう。

寅丸が嬉しそうに、

「お姉さん想いの素敵な妹さんですね。

そして妹想いのお姉さんも素敵。

これからお二人は、うんと幸せになっちゃいますね!」

あっ、もうダメ。

どのくらい俯いていたのだろう、咲夜が肩を抱いていてくれていたようだけど。

顔を上げると、魔理沙とアリスが優しい笑顔を向けてくれた。

私としたことが、とんだ失態だわ。

こんな弱いところを晒してしまうなんて。

まぁ、でも、なんと心の晴れることか。

一息ついて、あの凸凹主従に目をやると、

「ご主人、嬉しそうだね。どうしたんだい?」

「それは嬉しいですよ。ナズーリンがとてもかっこよかったんですもの」

「ん? そうなのかい? 私はなにもしていないけどね」

「いーえ、素敵でした、やっぱり【快傑ナズーリン】でしたね」

「その呼び方は勘弁願いたいんだが」

そう言いながらも、口元は緩んでいる、先ほどまでとはえらい違いだ。

「それより、お風呂の件は?」

「はい、分かっていますよ。一緒に入りましょうね」

「でもご主人、前回、一緒に入ったときは洗うのも湯船も別々だったじゃないか。

色々と保養はさせてもらったが、今夜もそうなの?」

「今夜は私が洗ってあげますよ」

「え、ホント? でも、それなら私がご主人を洗ってあげるよ!」

「いーえ、今日の功労は貴方のものです。私がささやかながら労ってあげます」

「でも、でも、労いなら私がご主人を洗う方が適っているんだけど?」

「意味が分かりませんね。私が貴方を洗います。決定ですよ?」

「うー、だったら、湯船には一緒に入っていいよね?」

「二人で入ったらとても狭いですよ? それでもいいんですか?」

「いい! いいよ! それこそいいよ!」

「ふふ、へんなナズーリン」

【バンッ!】

思わずテーブルを叩いていた。

「ナズーリン! 寅丸星!」

私の怒声に背筋を伸ばす二人。

我慢して口調を抑え、

「この度のことには大変に感謝している。本当にありがとう。

後日、改めて礼をさせていただくわ、紅魔館の当主として必ず」

ここで一息入れ、力を貯める、思いっきり。

「だが、だがっ! イチャイチャするなら余所でやれーー!!!

とっとと帰れ!! この痴れモノどもーーーー!!!!!」

扉を指さす。

二人は弾かれたように席を立ち、寅丸はあたふたと、ナズーリンはヒョイヒョイと出ていった。

ああ、なにやら面白くない。

折角、心が晴れたと思ったのに、あの二人を見ていると、どうにも我慢がならなかった。

長い吐息をつきながら頭を巡らす。

咲夜と目が合った。

お茶をもらおう。

「咲『お嬢様、ご入浴はいかがいたしましょうか?』

は? いきなりなんだ?

「入浴って、いつも通りでいいでしょ? 何を今さら聞くの?」

「ではいつも通り、お体を洗わせていただきますね」

なっ!? このメイドは、なにを言い出すのか!?

アリスも魔理沙もビックリしてるじゃない!

「おまっ! おまえっ! なにを言っているのっ!

一緒に入ったことなんかないじゃないの!?」

咲夜は眉を上げ、客人二人をチラッと見た。

「まだお客様がおいででしたね。気が急いてしまいました、申し訳ありません」

深々とお辞儀。

いや、そうじゃなくて。

なんなの? なんであの二人へ対抗しようとするの?

それとも、私をからかっているの?

私が少しの間、襖脳していると、視界の端に、残っていた二人が見えた。

アリスが赤い顔でなにやら囁いて、それに魔理沙がニヤニヤしながら頷いている。

【バンッ!】

再びテーブルを叩き叫ぶ。

「オマエらも出ていけーーー!!!」

この二人もバタバタと出ていった。

再び長い吐息。

そして咲夜を睨みつける。

「咲夜、どういうつもり?」

「主従が一緒にお風呂、【あり】なのだと学びました」

しれっと言いやがったよ、コイツ。

この娘の、計算なんだか天然なんだかよく分からない言動。

いつまでたっても慣れない。目眩してきた。

こめかみを押さえて下を向いていたら、咲夜がそばまで寄ってきていた。

「妹様のこと、良かったですわね」

「そうね。【快傑ナズーリン】に感謝しなくちゃ、かしら?」

嬉しそうにしている咲夜に私も自然と顔が緩んでしまう。

まったく、コイツは仕方ないわね。

「もう一杯紅茶をもらうわ。咲夜、おまえもおかけなさい。

一緒にお茶にしましょう」

「はい、喜んでご相伴させていただきます」

とても愛くるしい笑顔の咲夜。

今夜は一緒にフランの話をたくさんしましょうか。

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此度はレミリア視点です。
エロは目一杯背伸びして妄想しないと、届かないほど薄いです。レミリアとフランドールはきっと仲良くなります。レミフラにはならないまでも、分かり合えると信じています。咲夜はお嬢様第一ですが、いつも掴みどころが無いんじゃないかと。快傑ナズーリンの登場シーン、【脱衣&変身】させたかったのですが、
それは本人の極めて強い拒否で見送りになりました。マリアリは【正道】だと思うんですが、魔理沙の浮気というよりも、
他者のアプローチを無碍にできない魔理沙がトラブルを背負い、アリスが歯軋り、
そんな構図が続きそうです。

お目通しいただき、ありがとうございました。
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紅川寅丸

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