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教えて!ナズーリン先生!(3)

「実は、その慧音先生に呼ばれているのだよ。寺子屋で臨時講師を頼まれてね」

えー、ナズが【先生】ですか? あ、いいんじゃないですか。

もともと教え上手ですし、知識は申し分ありませんし、先生に向いているかも。

【ナズーリン先生】あは、いいですねー。

「スゴイじゃないですか。なにを教えるんですか?」

「将来のある少年少女たちに正しい性知識を伝えるのだよ」

え? 貴方、今なにを言ったの?

「なにを惚けているんだね? 私が子供たちの為に性について語るのさ。

場合によっては手取り足取り」

「ダッダメです! 絶対ダメです!!」

「ふーむ、否定する理由が分からんね。私にはその能力がないと?」

「そうではなくて! 貴方のその、性、の、知識って、あの、あの、やっぱりダメですよ!」

「納得できないね。理由を言って欲しいな。なにが不満なのかな?」

うー、なんでニヤニヤしているんでしょう。

【意地悪ナズーリン】の顔、嫌いです。

「貴方のそっちの知識って、あんまり【正しくない】と思うんです。

子供たちにはよろしくありませんよ、きっと」

「私が異常性癖だと?」

「そこまでは言ってませんよ!

ただ、ちょっと困ってしまうほど一点集中することがあって、思いっきり偏って、深みにハマっていく事があるから、刺激が強すぎる
と思うんです」

「ふさわしくない、と。

好ましくない、と。

つまりは嫌いだ、と」

うかー! なに言っているんです!?

「嫌いなんて言ってません! 私は良いんです!

貴方の偏りのある愛情も、しつこいくらい一カ所に集中するのも、なにを始めるか分からないドキドキするエッチなことも、ぜーんぶOKです!!

でも、私だけですよ! OKなのは!!」

ふぇっ、私、なにを言っちゃったんでしょう?

ナズーリンが困った顔になっています。

「ご主人、大変ありがたいが、少し話がズレたようだぞ?」

あーうう、顔が、頭が、熱いです!

とんでもないこと言っちゃいました!

「ご主人の願望はよーく分かった。

白紙委任をいただけるとは望外だったがね」

とても、とても満足げなナズーリン。

いけない、このままでは、あんなことやこんなことやそんなこと、いろいろされてしまいます!

「あの、あの、ナズーリン? ちょっと待って欲しいんですが?」

満足した顔のまま私をながめ、ふーっと軽く息をつき、いつもの優しい笑顔に戻ったナズーリン。

あっ もう大丈夫です、良かったー。

この笑顔になってくれたら、ほとんど心配いらないんです。

全部分かってくれました、たぶん、そう、たぶん。

この笑顔、大好き。

「性知識の講師の話、ウソなんだがね」

逃げるナズーリンを追いかけ、寺中を駆け回ってしまいました。

聖は困った顔をしていただけのようですが、一輪から【いい加減にしなー!】と思いっきり怒られてしまいました。

今は私の居室で二人して反省中です。

「さてご主人、話の続きだね?」

なんだか面白くありません、ナズーリンはぜんぜん悪びれていないんです。

うー、頭にきます。いつかヒィヒィ泣かせて、ゼェゼェ喘がせてやりますよ。

【ご主人、もうダメ、もう許して】って言っても許しませんからね。

あれ? 合っていますよね? 良いんですよね?

「幻想郷の地理について解説を頼まれたのだよ」

ナズーリンの一言で、現実に引き戻されました。

地理ですかー。なーんだ、至極、妥当なことですね。

だって、ナズが知らない土地なんてありませんもの、たぶん。

天狗の皆さんは確かにあちこち飛び回っておられますが、基本的にネタになりそうな場所、つまりヒトや妖怪のいるところが中心です。

ナズーリンは、失せ物だけではなく、鉱脈、水脈を探しながら、誰も行ったこともないような場所、生き物がいないような土地もじっくり調査・探索しているんですから。

何度か一緒に行動したことがありますが、【探索】ではなく【調査】のときのナズーリンは別人です。

同じ場所に何時間もじっとしていたり、

ネズミたちと駆け回りながら忙しくメモを取ったり、

見たことのない道具をあちこちに設置したり、

突然火を焚いて煙の行方をぼーっと見ていたり、

谷間に石を何個も投げ落としたり、

飛んでいけばすむところわざわざ歩いたり、

【ここで野宿だ】と言ったはずなのに自分は夜通し宙に浮いたまま日の出を待っていたり、

正直、ついていけませんし、訳が分かりませんでした。

でもきっと、大気や地脈の繋がりを確認し、植生や生き物の分布も調べているのだろうと思います。

だって、そういうことを知っていますもの、そのために色々調べているはずです。

【知識】に関わることで、ナズーリンはウソを言いませんから。

幻想郷にきて、まだ短い年月ですが、ナズーリンほど地理に詳しいモノはいません。

ええ、断言します。私は良く分かりませんが断言できます。

私の恋人は理論・知識だけでなく、自身の目で確認し、考察する探求者、賢者なのです。

だから頼りになるんです。負けないんです。

だから素敵なんです。大好きなんです。

失礼。臨時講師の話でしたね。

夜は、大きめの紙に一緒に地図を描きました、授業で使うんです。

私が勝手に色をつけていたら、ナズは【まぁいいか】と笑ってくれました。

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