紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

教えて!ナズーリン先生!(7)

「そうか、やはりスケベだったか。上白沢慧音、ただ者ではなかったな」

私の話を聞いて感心しているナズーリン。

外出していたナズと妹紅さんが戻り、今はお二人で晩御飯の支度をなさっています。

晩御飯は水炊きだそうです。

豆腐、下茹でした筍、キノコ、青菜、そして鶏肉をお手製のぽん酢醤油だれ(ごま油入り)で食べるそうです。

今日は食べ過ぎちゃいます、でも、一日くらい良いですよね。

私はナズに慧音さんとのやりとりを掻い摘んで話しているところです。

「相手として不足はないな、ドスケベめ。

実践面でやや遅れをとってしまっているが、なあに、見ておれよ、すぐ追いついてやるさ、ふふん」

不敵に笑うナズーリン。

あの、カッコつけても全然ダメなんですけど、追いつくって、なにをどうするつもりなんでしょうか?

私ですかぁ?

もー、肝心なのはそこではないでしょう?

「相思相愛か。それにしても迂遠なことだな、スケベのくせに」

もー、気になるのはそこだけなんですか?

「しかし、妹紅どのがあんなに可愛いとは。

悲しい過去を乗り越え、生来の素朴で清廉、一途な心根が今すべての枷から解き放たれ迸っている、なんと可憐な少女なのだろう。

この私が見誤っていたとは情けない。

黒星四つは確実! もう一息で五つだ!」

「ナズーリン?」

「う、うむ、星の話はもう無し、だったね。うっかりしていたよ、うん」

もー、いい加減、真面目に話してくださいよ。

私の顔をチラッと見たナズーリンは、優しく微笑んで軽く頷きました。

これでやっと普通です、もー、脱線しすぎです。

「異変絡みで巫女達がこの人里へやってきたそうだ。

妹紅どのへ向かいそうになった連中を、慧音どのが体を張って止めようとしたそうだよ。

結局、誤解だったようだが、それでも、あの、妖怪から見てもバケモノのような連中を単身で止めようとしたのだ。

【あの人間には指一本触れさせない!】とね。

妹紅どのは、後からそのことを聞いて、嬉しくて眠れなかったそうだ。

自分の気持ちが、はっきり分かったのもそのときだと言っておられた。

妹紅どのは強いよ、慧音どのよりはるかにね。

先ほど、妖怪退治に明け暮れていた時分のことを少し聞いたのだよ。

ヒトの身では耐えられないような強大な妖術や禁呪、相討ち前提の危険な呪法をたくさん身につけている。

不死の体だからこそ出来たことだが。

スペカ戦でなければ、ご主人でも勝てないと思う」

ナズーリンの【強さ】見極めは、誤ったことがありません。

「もし、戦うことになったら、問答無用で不意打ちをかけるのだ。

宝塔の力を最大にして一気に焼き付くせ、消滅させたまえ。

そして再生するわずかの隙に、全力で逃げるのだ。まともに戦ってはいけない。

それでも追われて戦うのなら、持久戦に持ち込むのだ。

中距離を維持し、術を撃たせろ。大技の隙を縫って直接打撃だ。

術を凌ぎながら体力を削るしかない。

体力が尽きて根負けするまで粘るのだ。

焦ってこちらから不用意に仕掛けてはならないよ。

自沈覚悟の凶悪な呪方に巻き込まれるのがオチだ。

武神の顕現であるご主人の体力はほぼ無限、焦らなければ【負けない】はずだ」

「ナズーリン」

「あ、ああ、すまない。どうも癖が抜けないね」

ナズーリンは、力あるモノと接したとき、敵対した場合の対処を常に考えています。

今までの生活がそうでしたから。

この幻想郷ではもう必要ないことなのに。

ごめんなさい、私がもっともっと強ければこんな苦労はさせなかったのに。

「まぁ、そのくらい強い妹紅どのだ。

もちろん慧音どのも分かっているのだろう、自分より妹紅どの方が強いことを。

それでも、立ちふさがったのだ、及ばずとも盾になりたかったのだろう。

あれほど理性的で、冷静なヒトが無意味と分かっていても自分を止められなかったのだ。

本当に彼女が大事なのだね、なかなか出来ることではないよ」

うんうんと頷きながら自分で納得しています。

「ナズーリン、貴方も私の盾になってくれましたよね」

はっとしたナズーリン、あら、忘れちゃってたんですか?

「い、いや、あのときは別の目的もあったし、その、まぁ、なんだな、様子見だったかな」

頭も要領もいいくせに。

【分かっていて無駄なことをしてしまう、それを愚か者というのだ】と嘯くくせに。

私だからですよね?

私が危ないかもしれないから来てくれたんですよね?

私、少しはうぬぼれて良いんですよね?

愛しいナズーリン、いつもありがとうございます。

食事の後、ナズと慧音さんがお互いの本を見せあいながら、議論を再開しました。

けれども慧音さん、落ち着きがありません。

私や妹紅さんをチラチラ見ていますし、受け答えがおざなりになっています。

ナズーリンが気づかないわけはありません。

「慧音どの、なにやら気がかりがあるようだね」

「あ、ああ、申し訳ない」

少し下を向いて考え込んでしまった慧音さん。

妹紅さんが心配そうに覗き込みます。

顔を上げた慧音さん、なにやら力が入っています。

「ナズーリンどの、寅丸どの、お二人は【付き合っている】とうかがった。

教えを請いたい。そ、その、女性同士の付き合いとはいかなるものになるのか?

幸せへの道は奈辺にありや!? 頼む! 教えてくれ!」

頭を下げる慧音さん、私と妹紅さんはビックリ。

呼吸三つほどの後、一人、冷静なナズーリンが柔らかく告げます。

「表向き、私たちは主従だが、恋人だ。女同士だがね。

私はご主人、寅丸星を愛している。

かけがえのない伴侶であり、私の生のほとんどすべてだ。

そして寅丸星も私を愛してくれているはずだ」

私はぶんぶん頷きます。

人前で言われると恥ずかしいですが、嬉しいー!

「百聞は一見にしかず、これは真理だ。

ご主人、二人にお手本を示してあげよう、これも【授業】だ」

いきなり口づけられました!

驚き、固まった私の両頬を掴み、さらに深く!

なにをするんです!

そんな、歯の裏をごしごし舐めないでぇ、

私の舌を追い回さないでぇ、

私の唾液を啜らないで、そんな下品な音を立てて啜らないでぇ。

あん、乱暴です、乱暴なのに力が抜けていきますよぅ。

えっ!? ナズーリン!? いけません! どこに手を入れているんですか!!

小さな手が作務衣の合わせから潜り込んできて下着を掻き分けています!

きゅっきゅっと揉みながら、探しています、なにを探しているの!?

いけません、ダメですったら、ダメですよ、

「もう少し右です、あん、行き過ぎです、ちょっと戻って、あ、そっちじゃないの!」

「と、まぁ、こんな感じでお互い十分に楽しめるわけだ」

へっ?

冷めた声で我に返りました。

ナズの手はいつの間にか引っ込められていていました。

「先のことは分からない。

幸せの道とやらも分からない。

が、なにかあるはずだ、きっとある。

私は【ダウザー】だ、探し出してみせるさ。

いや、愛しいこのヒトと二人で探して行くつもりだ」

私は衣服の乱れを直しながら睨みつけますが、全然こたえていません。

ナズ、ヒドいです。

なんだかカッコ良さげなこと言っていますが、ヒドいですよー!

お二人とも目を剥いて、顔を真っ赤にしているじゃありませんか。

[←]  [小説TOP]  [↑]  [→]

PAGETOP
Copyright © 2011 東鼠回顧録 All Rights Reserved.