紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

ナズーリンデスク! スクープです!(2)

場の雰囲気を見かねて寅丸が口を挟む、

「お二人さん、もうその辺になさいませ。お店の迷惑になりますよ?」

きっ、と振り返った射命丸文。

「命蓮寺の寅丸さん、ですね? 口出しは無用に願いますよ」

主人の忠言を無視されたナズーリンが黙っているはずもない。

「射命丸どの、久しぶりだね。

話を聞かせてもらったが、いいがかりではないのかな?

各々方の写真、アングルはほぼ同じだが、撮っている時間帯が違うようだよ、陰影を見ればわかるだろう?

射命丸どの、あまり下らんことに突っかかって狭量を晒すと、女っぷりが下がってしまうよ。

せっかくの星の数が減ってしまうことになるな」

ナズーリンは話しながら鴉天狗二人の間に、すっと、割って入り、射命丸に正対する。

「は? 星の数? なんですか? それ」

「おっとと、それはこちらの話だ。

新聞大会とやらが近いのだろう? 気が高ぶるのは分からんでもないがね」

「アナタには関係の無いことよ!」

営業用の【ガラスの仮面】が砕けた。

ニヤっと笑うナズーリン、底意地の悪そうな顔。

「射命丸どの、今回の内容は(花果子念報)の方が面白いよ」

「なんですって!?」

「一読者の感想さ、見てくれは派手な(文々。新聞)だが、じっくり読むには中身が薄すぎるね。

(花果子念報)の方が暇人ウケはするよ」

小柄なネズミ妖怪を睨みつける鴉天狗。

「へぇー、アナタは新聞の善し悪しが分かるんだぁ?」

完全に見下した物言い。

「これでも私は前の世界でたくさん新聞を読んでいたのさ。

その善し悪し、多少はわかっているつもりなんだがね?」

「素人のくせに、それで分かったつもりなの?」

「素人か。

でも、読むのも、面白さを判断するのも、その素人たちがほとんどだよ?」

そうだろう? とばかりに口元を意地悪くゆがめて首を傾げてみせる。

「ふん! それでも(花果子念報)はダメ新聞よ!」

「(花果子念報)も、まぁ、もう一息だがね。

しかし、私が肩入れすれば、新聞大会でのランキング入りもたやすいと思うよ」

「ア、アナタ、舐めすぎじゃない!? ふざけないでよ!」

何年も挑み続けているのに、かすりもしない【ランキング入り】。

それを素人がこんなに軽く言うのは許しがたい。

「ならば賭けてみるかね? 発行部数と人気投票だったか?

キミの新聞と、(花果子念報)、どちらがランキングで勝るかを」

現時点では、どちらもランキング入りを果たせていない。

順位を競うも何もないのだが、積年の目標には違いなく、文としては、食いつかないわけにはいかない。

「ふーん、面白いじゃない。それで、勝者の報酬は?」

「キミが勝ったら、寅丸星のセミヌードを独占スクープさせてやろう。

言っておくが、寅丸星の肢体は、異変を起こしかねんほどの爆発力がある。

保証しよう【セクシーダイナマイトが百五十屯】(小○旭)とは彼女のことだ。

幻想郷が上を下への大騒ぎになるぞ」

口をパクパクさせている寅丸星。

「あるいは、キミが知りたがっている情報、どんなことでも一つ、調べよう。

私は調査・探索のエキスパートだからね。できないことはほとんどないよ」

文はこの条件を、特に後半の条件を吟味している。

知りたいことはいくらでもある、自分では手が出せない案件も多い。

このネズミ妖怪の調査能力が別格であることは聞き及んでいる。

本当に情報を得られるなら悪くない条件だ。

返答を逡巡している文に対し、ナズーリンは反対側の条件を告げる。

「キミが負けたら、下着を穿かずに遊覧飛行をお願いするかな。

私は少し後ろを飛んで見物させてもらおうか。

私を少しでも振り切ったら、その都度に見物客を増やすからそのつもりで。

あるいは【山菜と果物の女体盛り】も良いな。

『痛ーい!』

『おっと間違えてしなったな、これは葡萄じゃなかったのか、あっはっは』

って感じかな。ふむふむ」

見る見る顔が赤らみ、目を剥く射命丸。

「それとも、わかめ酒かな」

「なによ! わかめ酒って!?」

「わかめ酒を知らないのか? 新聞記者のくせに。自分で調べたまえ」

「し、知らない訳じゃないけど、なんでそんなことしなくちゃならないのよ!」

「負けること前提での交渉かね? ならば少しゆるくしてあげようか?」

わざとらしく哀れむような表情を作ったナズーリン。

「そんなことない! 必要ない!」

「まぁ、お互い、なんでも一つだけ言うことを聞く、としておくかね?

よろしいな?

はたてどのもよろしいね?」

はたてはうなずいた。

二人の応酬の間、姫海棠はたては、ナズーリンの背中、特に腰の辺りを凝視していた。

ナズーリンの右手は、腰の後ろに回されていて、はたてにだけ見えている。

手の甲を見せ、人差し指と薬指を軽く曲げ、あいだの中指を何度も深く折り曲げている。

中指が頭とすると、両手をついて土下座を繰り返すように見える。

何か訴えている。

文との余裕のあるやりとりとは裏腹に、なにやら必死な指の動き。

それを見て取ったはたては少し考えた後、二人の応酬を黙って見届けることにした。

どちらにせよ、このままでは収拾がつかないのだから。

そしてナズーリンの提案にうなずいた。

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