紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

ナズーリンデスク! スクープです!(5)

翌日、文は今回の敵の情報を集めるため、主要な場所で聞き込みを開始した。

最初は意外と情報の集まる博麗神社。

「ナズーリンですって? アンタ、【あの御方】のなにを知りたいの?」

「あ、あの御方、って?」

博麗霊夢の第一声は、文が用意していた【対応例】の枠外だった。

「あの御方は、よく参拝に来るわよ。

お賽銭、たっぷり持ってね。

普通のお賽銭は【かろーん、かこかこかこーん】だけど、あの御方のは【じゃんばらりんりーん!!】って感じ。

もちろん小銭ばっかだけど、量がスゴいのよ。

初めてあの音を聞いた時は異変かと思ったわ」

参拝の作法として、それはどうなのか、は置いておくとして。

「そして必ず手土産を持ってきてくれるの。

お手製の和菓子。主人ってヒトが作っているらしいけど、おいしいのよー。

礼儀正しく挨拶してくれるしね」

「それだけで【あの御方】扱いなんですか?」

「たっぷりのお賽銭、おいしい手土産、礼儀正しい態度、それに無駄に長居しない。

至高の参拝客よ。私の中では【あの御方】なの。

それに素敵なお世辞も言ってくれるわ」

「お世辞? ですか?」

霊夢は祈るように手を組み、やや低い声で、

『幻想郷の守護者が、斯様に儚げで麗しい方とは。失礼、驚いてしまいました。

その優美で華奢な御手で平和を守っておられるのか。

ああ、なんと健気なことでしょう』

『その気品、優雅さ、巫女さまは、実はどこぞの姫君なのでしょう?

私にだけこっそり真相を教えてはくれまいか?』

『仏門に帰依している身でありながら、信仰の心柱が大きく揺らいでしまう。

罪という言葉から無縁なはずの巫女さまの、唯一の罪はそのお姿でございましょう。

その罪、どのように償うおつもりか?』

「なんだか、鳥肌が立ちますね」

心底嫌そうな顔。

「いーのよ、お互いお世辞と分かって遊んでるんだから。

それに、言われて嫌じゃないし」

「きっと下心がありますよ」

「あるわよ。本人が言っていたもの」

「は?」

「私だって、変だと思ったわよ。だから、どうしてって聞いたら、

【この幻想郷において、博麗の巫女さまの力は最強。その絶対者に媚びへつらっているのです。有事の際、力を貸していただこうという下心の元、参拝に訪れています】ってね。

いっそ清々しいわ」

あきれ顔の文。

そこまであからさまに告げられては、逆に何かたくらんでいる様にも思えてしまう。

「あら、噂をすれば影ね。あの御方が来たわよ」

慌てて隠れる射命丸。

竹箒を引っつかみ、さも、今まで掃除をしていたかの様によそおう霊夢。

階段を昇りきったナズーリンが霊夢を認めた。

「博麗の巫女さま、ご機嫌麗しゅうございます。今日も御精が出ますね」

爽やかな笑顔で会釈。

「こんにちわ、ナズーリンさん。ようこそお出でなさいました」

霊夢はにっこりした後、口元を引き締め、目を精一杯開き、可愛い顔を作っている。

ナズーリンの参拝。

じゃんばらりんりーん

博麗の巫女は恍惚の表情。

やや上を向き、半眼のまま、肩をぶるっと振るわせ【はふー】

「巫女さま、本日は芋ようかんを持参いたしました。

どうぞお納めください。

此度の品、先月のものより、些か黒ずんで見えますが、ご心配は無用です。

主人が甘みに少々工夫を凝らしました。

手製の黒蜜を加えております。

見た目はやや暗くなりましたが、芋本来の甘みに加え、黒蜜のほんの少しの甘苦さは、緑茶との相性がよいこと請け合いです。

是非ご賞味ください」

穏やかに微笑んで手渡す。

「お心遣い、いつもありがとうございます」

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