紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

ナズーリンデスク! スクープです!(12)

「次は全裸です。うつ伏せに寝ていただきましょう。

お尻だけは半分ほど布で覆いますが、割れ目はバッチリ見せちゃいましょう。

撮影角度は正面、やや上から。頭の上にお尻の割れ目がこなくちゃいけません。

肘を付いて上半身を起こしてもらい、胸のボリュームを強調します。

先っちょだけがシーツに埋まっています。

少し怖い顔をしてカメラを睨んでもらいますね。

アオリは【お布団を返さないと、おこっちゃいますよ?】です」

「はぁぁ、あー、うん。 そうか、そうなのかぁ、うん、そうだよね」

「デスク? どーしたんですか?」

「あの、や、やっぱり【返さないと】マズいのかな?

返さなかったら、ど、どうなるのかな?」

「ホント、どーしたんですか?」

「お、おこられてしまうのかな? どんな風におこっちゃうのかな?

もしかして、そのまんまの姿で飛びかかってきちゃうのかな!?」

「デースークー、もしもーし、おーーい!」

桃源郷に旅立とうとするナズーリンを引き戻す。

「お? お? おお、すまん。

う、うむ、しかし、はたて君の妄想は危険極まりないな、この私が翻弄されるとは。

だが、その妄想力、いや想像力は悪くない。

よし、今のような発想で、あと20ポーズほど、詳細に表現した文章を私に提出するように。

アオリも忘れずにね」

「それ、なにに使うんですかぁ?」

はたては少し不審気にしてみせるが、用途はお見通し。

「もちろん、キミの表現力の訓練だよ。もちろんだとも、うん」

「んー、でも、デスクは恋人だから、よくご存知なんでしょ?」

「それとこれとは別だ、そんなセクシーポーズは、たやすくは見せてはくれないもの。

あのヒト、スゴい恥ずかしがりなんだ」

「あー、デスクはホントに寅丸さんが大好きなんですねー」

「う、うん」

「あ、デスク! 今のその顔、超カワイーですよー、撮ってもいいですか?」

そう言いながらも、すでにシャッターは切られており、この写真は後に寅丸星に渡され、彼女の秘密の宝物になる。

「ダ、ダメだよ、やめてくれよ!」

くすくす笑うはたて。

いつもは余裕しゃくしゃくのナズーリンが押されっぱなしだった。

はたては、また少しナズーリンの近くに寄れたように思えて嬉しかった。

いくつかの資料から【バオバブの木】と断定したはたて。

ナズーリンは答えを教えなかった。

はたてはバオバブの木の追跡記事を書き続けた。

そして花が咲いた。

【そろそろ咲くかしら】

数日前、風見幽香が告げた。

つぼみの写真をみせ、都度、状況を報告していたはたてに、フラワーマスターは独り言のよう告げたのだ。

明後日のほうを見ながら、花の形状、色、大きさ、香りについてまでもをつぶやいていた。

はたては熱心に記録を取った後、深々と頭を下げ飛び去った。

その日からバオバブに張り付いたはたては、数日後の早朝、開花の瞬間をとらえた。

ナズーリンの指示で、それ以外の記事をすでに整えていたので、半刻もたたないうちに入稿した。

印刷の間、落ち着かないはたて。

「配達が勝負だ。今のうちに体を休めておくんだ」

ならば、とはたてはナズーリンに膝枕をねだった。

「気が高ぶってロクに休めません、お願いします」

「今回だけだぞ、ご主人にもしたことがないのに、まったくキミは。」

「えへへー」

「上がったぞ」

頬を撫でられ、はっと目を覚ます。

ほんの少しまどろんだだけ、と思ったが、慌てておき上がった体には驚くほど力が漲っていた。

いける、いくらでもいける。

最初の配達先は風見幽香のところだった。

【協力者への感謝、仁義を忘れること無かれ】

ナズーリンデスクから叩き込まれたセオリーに従った。

一面トップに載ったバオバブの開花写真を眺めていた幽香が顔を上げ、はたてをじっと見つめる。

「姫海棠はたて、だったわね。覚えておくわ」

そう言って視線を紙面に戻した。

数回にわたる丁寧な追跡記事、形状予想との差異、風見幽香から入手した解説、実物の写真。

バオバブの木のもとへ人里から見物客が新聞片手に押し寄せた。

他にも、青文字で綴った湖の氷精と黒白魔法使いの決闘、弾幕では勝ったが、なぞなぞ合戦で完敗した魔法使いの記事。

命蓮寺のお祭りの予告記事。

人里の惣菜屋で新発売された、ほうれん草ときのこ入り出汁巻き卵焼きの広告記事。

魔法の森の植生について、湿度と風向きの調査結果から100年後の形態を考察した解説記事。

意識してそれぞれの記事に抑揚をつけ、紙面に流れを作ったこの号は、主に人里で大きな反響を呼んだ。

この号が決定打となった。

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