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魔法使いナズーリン! 放てマスタースパーク!!(5)

その日の夕方、ご主人が真剣な面持ちで話しかけてきた。

「魔理沙さん、どうにかならないのでしょうか?」

漠然とした丸投げの質問だが、言いたいことは分かる。

付き合い長いし。

「聖の指導を真面目に受け続ければ、多少はましになると思うよ。多少だがね。

聖のような存在になる覚悟があればまだしも、短期間で魔法力だけの底上げは難しいな。

彼女は天才肌ではない。地道な努力でここまでになったのだろうし。

一日二日で即効性のある方法はすぐには思いつかないよ」

「でも、このままでは魔理沙さんの心が朽ちてしまいそうな気がします」

そこまでのことはないと思うけど。

ちょっと大げさな気がするが、このヒトの勘は侮れないんだよな。

近い将来、そうなるかもしれないのか?

「確かに、霊夢どのと並んで、幻想郷の未来を左右する人物の一人だとは思う。

相応の実力もある。 しかし、今が限界であることも確かだ。

それでも、ご主人がなんでそこまで肩入れするのか理解できないね」

困り顔のご主人に追い討ちをかける。

「ご主人が本当に困っているなら、私は必ず何とかする。

でも、今回はどうなんだね?

魔理沙どののことで、ご主人がホントに困ることがあるのかな?」

眉間にしわがより、さらに困り顔。

分かっているんだけどね。

このヒト、こういうことを見過ごせないんだ。

でも、私に負担をかけるのも気がひけているんだ。

だからホントに困っているんだ。

それでも今回は自分で考えてもらわなきゃ。

しばらく黙考していたが、ゆっくりと顔を上げた。

真面目な顔で、

「ではこういうのはいかがでしょう?

私【半分】ほど困っています、ですから、ナズーリン【半分】だけ助けてください」

噴き出しちゃったよ。

なんだそのトンチ回答は、真面目な顔してさ。

面白いヒトだなー。

たまにトンでもないこと言うよね、長い付き合いなのに、ちっとも飽きないよ。

今回はご主人の勝ちだ。

しかし、このヒトの無理難題には慣れているが、今回は難度が高いなぁ。

やれやれ。

「聖、私も見学させて欲しいんだが」

天馬壱式の失敗から一週間後、ようやく身につけた身体強化魔法を使って今日これから、博麗霊夢に挑むと聞いた。

聖は付き添いだそうなので、便乗させてもらうことにした。

策を練るにしても、あらためて魔理沙の戦いぶりを見ておく必要があると思ったから。

我々三人が博麗神社につくと、巫女はまず私に目を留め、微笑んだ。

ありゃ、期待されているよな、でもゴメン。

「霊夢どの、本日は参拝ではないんだ。弾幕ごっこの見学なんだ」

申し訳なさそうに告げた。

この神社に来るときはそれなりに支度をしてくるのだが、今回はちょっと違うからね。

それを聞いた巫女は一瞬残念そうな顔をしたが、【巫女さま】ではなく【霊夢どの】と呼んだことで状況を察してくれたのだと思う。

「まぁいいわ」

と普段の素っ気ない口調で言った。

そして、ニヤっと笑った。

次来る時にはお賽銭、お土産ともに奮発せねばなるまいなぁ。

二人の弾幕戦が始まる。

魔理沙が押している。

以前見たときよりも明らかに動きが良い。

新しい魔法の効果は予想以上だ。

だが、最後に霊夢が逆転勝ちした。

惜しかった、と見えるが、全力の魔理沙に対し、余裕のある霊夢。

惜しい勝負を演出しているようにも見える。

圧倒的な火力や、不可解な技を使うわけではない。

移動速度も普通だ、魔理沙のほうがずっと速い。

しかし、攻撃が当たるようで当たらない、とにかく当たらない。

回避動作に無駄がない。

弾に気づいていないのでは?ってくらい何気なく避ける。

あとちょっと、工夫すれば当たるんじゃないか、勝てるんじゃないか、と見える。

だが、仮にその弾幕濃度を倍にしても、きっと同じようにかわされるのだろう。

そしてまた、あとちょっとだったと思うのだろう。

だから霊夢に敗れたモノたちは【次こそは】と挑み、次も【あと一息】というところで敗れるのだろう。

異変解決で戦う博麗霊夢は反則級に強い。

幻想郷を背負って本気で戦えば絶対、そう、絶対に負けないそうだ。

必殺確定の初見殺し弾幕や、最終局面の狂ったような弾幕さえも鼻歌交じりにかわしてしまう。

普段の弾幕ごっこは、彼女にとっては暇つぶし程度なのだろう。

まぁ、異変解決も暇つぶしなのかもしれないが。

魔理沙、本当にこいつに勝つつもりなら、先は長そうだぞ。

今の戦いを見ていて、いくつか気がついたが、スペカ戦のルールに則り、かつ【美しく】となると、策は限られてくるな。

ご主人、結構難しいよー。

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