紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

魔法使いナズーリン! 放てマスタースパーク!!(8)

「姫海棠はたて! キュウトに、け、ん、ざーん!!

さあ、お困りごとはなんですかー?

なんなりと、お申し付けっ、くっださーい!!」

半身を切りながら右手を差し出し、左手は腰、そしてお茶目にウインク。

一瞬、頭の中が真っ白になった。

そして、なんだ、このデジャヴは。

「あはははは! うははは! だはははははははー!!」

少しの間呆然としていた魔理沙が腹を抱えて笑いだした。

それを見たはたて君が、

「なんです、なんです! なにがおかしいんですかー!?」

まさか、まさかこれって。

「あー、はたて君?」

「はい、デスク、なんでしょう? あっ! 足、どうされたんですか!」

「心配には及ばないよ、それより、今のはなんなのかな?」

「はい! カッコいい登場シーンを演出したんでーす!」

「そ、そうか、ちなみに自分で考えたのかな?」

「このあいだ寅丸さんに相談したら教えてくれました。

【形が大事なこともあります】って。

結構練習したのに、笑われる意味が分かりませんよ!」

やはりそうか あーんの能天気ご主人め、トラウマをほじくり返されたぞ。

紅魔館で演じた【快傑ナズーリン、キュウトに見参!】は生涯の汚点なのに。

よりにもよって、はたて君に教えるとは! お仕置き決定だ!

いくらなんでも許せん! どうしてくれよう。

よし、両手を縛って【ナマ乳とろろ責め】だ。

かゆみで身をくねらせながら泣くさまを眺めてやろう。

【ナ、ナズ! かゆいです! じりじり、ひりひり、かゆいですよー!

先っちょが、先っちょが痛くなってきましたっ!!

許してください! おかしくなっちゃいます!! あああー!!!】

あー、うーん、やり過ぎかな。 ダメだな。

猛烈にかゆがるところを見たくもあるが、お肌が荒れたら大変だ。

それにわざわざ長芋や大和芋を調達するのも面倒だし。

ならば今夜は【首筋キスマーク20連発】だ。

それで勘弁してあげるか。とろろはキツ過ぎるよね。うん。

妄想の間も、ひぃひぃ笑っていた魔理沙が、涙をぬぐいながらようやくしゃべった。

「いやー師弟そろって笑わせてくれるぜ、まー、師匠のほうがインパクトあったけどなー。

オマエたち、お笑い芸人の師弟なのか?」

それを聞いたはたて君が魔理沙に詰め寄る。

「アナタ! ナズーリンデスクのことを分かっているんですか!?

このヒトがどれほど多才で、賢く、優しく、素敵で、頼りになって、そしてテラカワイイのか分かっているんですか?

キスしてもらったからって、いい気になり過ぎです。

全然分かっちゃいませんよ!」

「ま、まてよ! キスって、あれは違うだろ!?」

魔理沙の顔色が変わった。

あのー、テラカワイイってなに?

「キスしてもらったから、デスクの寵愛をもらえたと思っているんですか?

とんだ勘違いヤローですね、ハン、かわいそうな娘です、イタい娘ですよ」

「だからまてって、言ってんだろ!! ヒトの話を聞けって!!」

「なんですか? イタ雨カラ魔ワ理沙さん」

「ムリクリ言うなよ! 私はコイツのことなんか、何とも思っていないんだから!」

「あーら、こそばゆい。 いまどき【ツンデレ】ですか、お話になりませんね。

ホーントにイタい娘っ!」

「違うって! どうすれば分かってくれるんだよ!」

魔理沙は泣きそうだ。

「不思議ですね。アナタには負ける気がしません。

ええ、微塵も。 負ける要素が全く見あたらないのです。

聡明なナズーリンデスクは私を選びますよ、絶対。

あ、もちろん【本妻】は寅丸さんですがね。

月一通いの愛人は、この私、姫海棠はたてでキマリです。

間違いありません。

お生憎さまでしたねー、へへーん」

腰に手をあて、超見下しポーズ。

しかし、愛人って、なんなんだ。

キミ、悪酔いしているのかね。

「なーんでそんな勝負に参加しなけりゃならないんだよぉー!

しかも、負け決定で!」

些かうんざりしてきたので、割って入ることにしよう。

「はたて君、そのへんにしておきたまえ」

夢から覚めたように私に向き直るはたて君。

「あ、デスク、あの、あ、愛人とか、じょ、冗談ですから、ホント冗談ですから」

そんなに怯えるくらいなら言わなきゃいいのに。

「図書館で調べて欲しいことがあるんだ。

私の足はこの通りだし、キミはフリーパスだろう?

パチュリーどのに気に入られているようだしね。 彼女は元気にしているのかな?」

はたて君はあの変人魔女と普通に会話が出来る稀有なコなのだ。

「うーん、パチュリー館長は相変わらずですねー。

ムスッとしたまま【いらっしゃい、ゆっくりしていってね】って言うだけです。

まぁ、お茶やお菓子をすすめてくれますし、質問したら、ぼそぼそ教えてくれますけど、よく聞き取れないんですがねー」

びっくり。

それはパチュリー・ノーレッジにしては最大級のもてなしなのではないか。

はたて君は、随分と気に入られたようだな。

「魔女の道具について、このメモの項目を中心に調べてきてほしい」

「もしかして、このヒトのためなんですか?」

はたて君は、魔理沙を睨みつけながら言う。

魔理沙はキョトンとしている。

「私の興味半分、幻想郷のため半分、ってところかな。」

「デスクが少しでも興味があることならやります。

でも、あとで事情を説明してくださいますか?」

やはりこのコはイイな。

こんなドタバタしているなかでも冷静で明晰な部分をちゃんと残してある。

このコの信頼は裏切れない。

「ああ、必ずね」

「はーい、皆さーん、お夕飯ですよー」

ご主人の声が聞こえる。 もうそんな時間か。

「今日は、岩魚の塩焼きと麦ご飯、そして、とろろ汁ですよー。

とろろはたくさんありますからねー」

こ、このヒトは、私にどうしろというのか! どうして欲しいのか!

とろろ責めが望みなのか!?

翌日の昼前、はたて君はメモの束を持ってやってきた。

仕事が速いな、頼りになる、今日は縦のランダムストライプだし。

メモを確認し、礼を言う。

「はたて君、ありがとう。朝まで頑張ってくれたんだな、ホントにありがとう」

「そ、そんなことないです。ちょっと寝坊しただけです」

「何日キミと一緒に徹夜したと思っているんだ? 顔色を見れば分かるさ」

「あ、そうでしたよね、デスクはごまかせませんね」

そう言って、クスッと笑う。

疲れ気味なのにとても素敵な笑顔だ。

「あと少しで昼ご飯だ、一緒に食べよう」

「はい!」

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