紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

ナズーリンユウギ(1)

こんにちは、寅丸星です。

皆様いかがお過ごしですか? 命蓮寺はおかげさまで賑わっています。

日に日に寺に訪れる人や妖が増え、うれしい忙しさです。

真剣に朝課に臨まれている方、遊山がてらの方、朝餉がお目当ての方、様々いらっしゃいます。

ご縁をいただくきっかけは色々あって良いのです。

まずはお越しくださるところから始まりますしね。

参詣に来られる大勢の中には、熱があるのに無理していらっしゃる方や、急な腹痛を訴える方もあります。

聖の発案で置き薬を備えようということになりました。

今はその申し込みにナズーリンと二人、永遠亭に向かうところです。

せっかくですから、途中、慧音さんのところにご挨拶に寄ることにしました。

一輪が寺の裏庭で作った京ニンジンが手土産です。

京ニンジンと言っていますが、この幻想郷が【閉じた】頃の日本では、ニンジンはこちらがほとんどだったはずなんですけど、
ここでは橙色の西洋ニンジンの方が多く出回っているのが不思議です。

日本で西洋ニンジンを頻繁に見るようになったのは、爆弾がたくさん落ちたきた大戦(おおいくさ)の後、
数年してからだったと記憶しているんですけど、私の記憶ですからあまり当てになりませんね。

西洋ニンジンは作りやすいからでしょうか、今、ニンジンと言えば、これのようです。

京ニンジンは細長くて折れやすいからあまり作られないのでしょうか?

煮ると甘味がグンと増すので私は好きなんですけどね。

慧音さんに気を遣わせたくありませんから、お昼時を外してうかがいました。

妹紅さんと二人で寺子屋のお掃除をなさっていました。

二人ともお元気そうでなによりです。

妹紅さん、普段はぶっきらぼうな口調だそうですが、私は聞いたことがありません。

私たちの前ではいつも穏やかで優しい言葉遣いです。

今日の妹紅さんは以前にも増して表情が柔らかいですね。

可愛さと凛々しさがいい感じで両立していて、とっても素敵な雰囲気。

こんな感じのヒト、ナズーリン以外では初めてです。

可愛いと言えば、ナズーリンは可愛いと言われることを嫌がっているんです。

イメージが大切だ、とのことですが、可愛いっていけないんでしょうか?

感情を面にしないように気を張り、わざと皮肉な物言いをし、誰に対しても常に一線を引いて接しています。

隙を見せてはいけないのだとむっつり顔で言いますが、私は知っているんです。

普段は無表情を装っていますが実はとても豊かです。

ぼんやりと遠くを眺めているときは、眉が上がって下顎は突き出し気味になって、オモシロカワイイ顔です。

珍しい植物を見つけたときは、にいーっと口が広がって、プクプクのほっぺがいっそう強調されます。

道具の手入れをしているときは真剣な眼差しなんですが、でも、ちょっとおちょぼ口になるんです。

こんな表情を知っているのは私だけですよね。

他のヒトには見せませんし。

でもナズーリン、いつもそんな風に他人を遠ざけていると、お友達、出来ませんよ?

あ、そう言えばナズって、お友達いるんでしょうか?

最近、はたてさんと仲良しですが、お友達って関係より、親しい師弟って感じですよね。

そう言えば私、長いこと一緒に過ごしていますが、心当たりがありません。

彼女の付き合いの範囲はとても広くて、お知り合いはたくさんいるんですが、
友達と言えるのはどなたなんでしょう?

んー、少し気になります。

脱線してすみません。

慧音さんは相変わらず、きりっとしておいでですが、お顔がとってもつやつやです。

何か特別な美容法をなさっているんでしょうか?

ナズーリンは慧音さんに呼ばれ、【ちょっとだけ】とお部屋にあがっていきました。

きっとまた難しい話ですね。

私は妹紅さんとお話をしました。

近況報告から、自然とお互いの恋人のことに話題が移ります。

かなり際どい話も聞いちゃいましたよ。

妹紅さんたち、あの、その、ええ、ススんでいます、はぁ。

永遠亭までの道案内を申し出てくれましたが、丁重にお断りしました。

私の太陽が道に迷うはずありませんし、二人で散歩を楽しみたいですし。

ナズーリンは京ニンジンを一本、持っています。

【魔除けに一本持っていく】と言って、手土産から引き抜いたんです。

普段、荷物は私が持ちます。

昔は【荷物は従者が】と気にしていたナズですが、何かあったとき、彼女の手が空いている方が良いんです。

それに私、力持ちですし。

星熊勇儀さんから【能力抜きなら私と互角】って言われましたし。

私の槍、ホントの重さはナズーリン20人分くらいあります。

地面にめり込まないように呪術で浮かせてありますが、槍を振るうときは私も本来の体重に戻すんです。

そうしないと、うまく捌けませんから。

本来の体重ですか?

内緒です! 聖100人分より重いなんて内緒です!

あ、あ、だって、武神の代理なんですよ!

いざっていうときは、戦わなくちゃいけないんですよ!

戦うなら負けられないんですよ!

頑丈なんです、重いんです、力持ちなんです!

石ころ握れば粉にできますよ、足場を固めればバオバブの木だって引っ込抜けます。

でも、そんなの誰にも見せたくありません。

聖とナズだけが知っています。

知った上で触れないでいてくれる大事なヒトたちです。

迷いの竹林の入り口が見えてきたあたりで妹紅さんからうかがった、ちょっと際どい話をしました。

以前、耳にした符丁についてなんですが、ナズーリンがスゴい喰いつきを見せました。

「噂に聞いた【に】の3番とか【と】の4番とかの話か!

どうやらお楽しみの符丁のようだけど、どんなものなの!?」

「妹紅さん、顔を真っ赤にして、もじもじしながら少しだけ教えてくれました。

彼女の恥ずかしそうな仕草、とても可愛いですよねー」

賛同を求めてナズーリンを見ました。

あら? なんだかイライラしています。

立ち止まっちゃいました。

「妹紅どのが可愛いのはわかったから、符丁の意味を教えておくれよ!」

なにを焦っているんですか?

「えーと、初めの【いろは】は、お遊びの種類だそうです。

次の数字は、1・3・5の奇数は慧音さんがリードで、偶数の時は妹紅さんです。

数字が大きいほど激しさが増すんだそうです。

【い】は、服を着たままだそうです。脱がしちゃいけないんです。

【ろ】は、数字の9とか6とか言ってました。

【は】は、お風呂でアワアワですって。

【ほ】は、なんでも蜂蜜をたくさん使うんだそうです。

例えば【ほ】の3番ですと、蜂蜜を使って慧音さん主導でそこそこ激しく、ということになりましょうか?

あとはまだ内緒だそうです」

思い出しながらそこまで話して、ナズーリンの様子をうかがって見ます。

なんでそんな怖い顔をしているんです?

[小説TOP]  [↑]  [→]

PAGETOP
Copyright © 2011 東鼠回顧録 All Rights Reserved.