紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

ナズーリン「私はバカじゃないと思うんだが」(14)

「パルスィどのの元気を取り戻す方法がわかった」

客間を訪ねたナズーリンは二人にそう、切り出した。

パルスィは布団の中だったが、起きてはいた。

勇儀はその枕元に座っている。

「ホンとか!?」

「ああ、だがその前に約束して欲しい。

絶対にあきらめずに取り組むと」

「おい、まさか」

勇儀の顔が不安に歪む。

八意永琳、守矢の二柱に言われた対処方法が頭をよぎった。

どちらの方法もパルスィの心を激しく傷つけるものだったので、それに類することだとすれば、簡単には肯けない。

「心配はいらないよ。

どちらか一方が負担をする方法ではない。

二人で負担するんだ」

「そうか、パルスィと二人なら、どんなことでもやってみせる!

ナズーリン、言ってみてくれ」

「私も勇儀となら頑張れる」

布団から身を起こしたパルスィも応えた。

「二人とも後悔しないね!?」

「おう!」「はい!」

「よし! では説明するぞ!」

「おう!」「はい!」

「パルスィどの、星熊勇儀の子を産みたまえ!」

「お…?」「は…?」

「返事はどうしたー!」

キョトンとしている地底のバカップル。

「何をそんなに驚く?

愛するヒトの子供を産みたい、女性ならそう望んでもおかしくはないだろう?」

「あ、あのー、ナズーリン? 勇儀は女なのよ、これでも」

「そんなこと分かっている。

黙っていれば十分に美人だし、体は超弩級悩殺爆弾だ。

男には見えない」

「そ、それでね、私も女なのよ?」

「なんだねパルスィどの、まどろっこしいな!

キミは理想の女性像モデルの永久欠番所持者だ!

三千大千世界の男共が渇望し、女共が羨望する【超イイオンナ】だ!

間違えるバカがいるものかよ!」

そんな番号もらった記憶はないが、どえらく評価されていることはなんとなく理解した。

「なあ、ナズーリン? 聞き間違いがあってはマズいから、整理させてもらうよ?」

異様なテンションのネズミ妖怪に思わず下手に出てしまった勇儀。

相手は【よかろう】とばかりに顎で先を促した。

「えー、私は女、パルスィも女。

ここまではいいよな?

そしてパルスィが私の子を産む、そうするとパルスィは元気になる、ってことなのかい?」

「そうだ、わかっているじゃないか」

「しかしだなー」

「なんだね、キミはパルスィどのに自分の子を産んで欲しくないのか?

それとも、キミが産みたいのか? パルスィどのの子を」

「いや、もちろん産んで欲しいさ。

かなうならな。

あっ……もしかしてその方法があるっていうのか!?

教えてくれるのか!?」

今度は勇儀がいきり立つ。

「そんなもん知らんよ」

にべもない。

「ナズーリン!! おまっ! おまえっ! ふざけるのもいい加減にしろよ!」

「私! 産みます!」

掴みかからんばかりの鬼を止めたのは橋姫の元気いっぱいの声だった。

ビックリしている勇儀と、してやったりのナズーリン。

「言われて考えたの。

私、今とっても幸せ。

でも、もっともっと幸せになりたい。

勇儀との子ができたらきっとたくさん幸せだと思うから」

ナズーリンは、今回のことをじっくり話すことも考えたが、所詮、突拍子も無い話なのだから、勢いで納得させてしまおうと、わざと芝居がかった雰囲気にもっていったのだ。

生きる力、目的、それが愛する勇儀との延長線上にあるものなら、【新たな力】として申し分ないはず。

妖怪の存在理由が変化するのなら、支えている力の源が変化したっていいはずと考えた。

猶予がなかったので、奇天烈な提案になってはしまったが、今のパルスィの活力は、ナズーリンでも感じ取れるほど漲っている。

「パ、パルスィ? 私もオマエとの子は欲しいさ、ああ、ホントに欲しい。

でもな、どうやって『私が最初に言ったことを思い出してくれ!』

ちょっと弱気な勇儀の言をナズーリンが遮った。

「絶対にあきらめずに取り組むと、約束させただろう?

そもそも異なる種族の妖怪、しかも同性、子を生せるかどうかは分からない。

だが、探そう。

調べよう。

試してみよう。

いつ答えが見つかるかは分からないけどね?

私も手伝うが、キミらがあきらめずに求め続けなければならないよ? どうだね?」

考え込んでいる星熊勇儀をパルスィが心配そうに見つめる。

ややあって愛しい妻に微笑みかける。

「正直、無茶苦茶な話だと思う。

しかし、【絶対無理】【できっこない】ってのは嫌いな言葉だな」

パルスィを抱き寄せ頑張ろうと囁く。

そしてナズーリンに向かい大きな声で、

「今夜は宴会だ! 頼むぞ! ナズーリン!」

[←]  [小説TOP]  [↑]  [→]

PAGETOP
Copyright © 2011 東鼠回顧録 All Rights Reserved.