紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

七曜のクッキー(5)

咲夜に作ってもらったサンドウィッチを二人でつまむ。

はたては【美味しい、美味しい】とご機嫌。

先ほどまでの妙に重苦しい雰囲気が払拭されてやれやれのパチュリー。

「アナタ、いつもはお昼ご飯どうしているの?」

「取材をかねて食事処を利用することが多いですね。

それ以外のときは寅丸さんにお弁当を作ってもらっています」

「寅丸って、命蓮寺の?」

「そうです、ナズーリンデスクのご主人様の寅丸星さんです。

美味しいおにぎりなんですよー、ナズーリンデスクとお揃いなんです」

嬉しそうに言うはたて。

「この間のことなんですが、寅丸さんが私とデスクのお弁当間違っちゃったんです。

中身は同じなんですが、デスクのおにぎりは、私のより一回り小さいんですよ。

なんだか可笑しいやら嬉しいやらで」

「そう、良かったわね」

ぞっとするほど冷たい声。

「あ、あの、パチュリー館長? なにかお気に触りましたか?」

「え? い、いえ、ちょっと考え事していたの。

この後どうするのかなって」

自分でも驚いていた、なんて素っ気ない返事だったのか。

そしてまた誤魔化した。

パチュリーをちらっと見たはたては無理矢理笑顔を作る。

「えーとですねー。

この後は姫海棠はたてのオススメスポット巡りでーす!」

はたてに連れられ、空からでないと見つけにくい不思議ポイントを巡る。

断崖絶壁に彫られた解読不能の文字列。

丘の草並が風に煽られるたびに描く意味ありげな紋様。

妖怪の山の大滝の飛沫と日光が作り上げる虹、それが完全な円形で見えるポイント。

好奇心を刺激され、都度自分なりの考察を述べまくり、すっかり絶好調になったパチュリー。

はたてはびっくりし、感心し、賞賛する。

有頂天一歩手前で大興奮の大図書館。

楽しい時間はあっという間。

日がかたむき始めていた。

帰宅の途につく二人。

ようやく興奮が治まってきたパチュリーにはたてが話しかける。

「あそこに大きな気流の乱れがあります」

進行方向を指差すはたて。

パチュリーには分からないが、鴉天狗が言うのだから間違いないのだろう。

「迂回していてはかなりの遠回りになってしましますので、突っ切りたいと思います。

パチュリー館長、クッションと傘を畳んでください」

言われたとおり、空中でクッションを畳み、もらった日傘も魔法のポシェットにしまう。

「それでは失礼しまーす」

パチュリーの胴に手を回し抱きかかえる。

「!!」

「少しの間、ご辛抱を。

しっかりつかまっていてくださいね。

行きますよー!」

そう言うや否や急発進、今まで以上のスピードで進んでいく。

風をまともに受け始め、眼も開けられず、はたてに力いっぱいしがみつく。

ぐおっ! ごわっ! 怒号とともに揺さぶられる。

魔理沙の背にしがみついた時のことを思い出す。

怖い、でも、不安じゃない。

怖い、でも、きっと大丈夫。

怖い、でも、はたてだから平気。

「はーい、なんとか抜けられましたー。

紅魔館が見えてまいりましたよー」

そう言って抱擁を解くはたてだが、パチュリーはしがみついたまま。

「パチュリー館長? 大丈夫ですか?」

(あっ、えっ、もうお終い? そ、そうよね、お終いよね、うん)

ようやくはたてを解放する。

「パチュリー館長、本日はお疲れ様でしたー!

それでは失礼いたしまーす!」

パチュリーを美鈴に委ね、飛び立つはたて。

綺麗な曲線を描きながら紅魔館上空を一周し、素晴らしい速度で山へ飛んでいった。

感嘆するパチュリー。

あれが彼女本来の【飛翔】なのだ。

あの美優の翼が今日一日、自分だけの羽になってくれたのだ。

「パチュリー様、今日はいかがでしたか?」

「……楽しかったわ……ええ、本当に楽しかった……」

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