紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

七曜のクッキー(6)

パチュリーは最近の自分の感情を整理してみることにした。

●はたてはとても優しい。

・一緒にいると楽しい、時に刺激され、時に癒される。

・七曜のクッキー、あんなに喜んでくれた。

・あれほど楽しい外出は初めてだった、私のために色々と準備をしてくれたからだ。

・【もっと外に出るべき】単に健康云々を言う他の連中とは違い、知識のためだと。

初めて言われた理由だ、はたては私のことを分かってくれている。

●自分ははたてが気に入っている。

・だが、恋人になりたいとは思わない。

・女性同士の恋愛は理解できるが、自分には無縁だと思う。

・と言って男性と結ばれ、家庭を持つことには興味は無い。

・はたての体に興味があるわけではない、スタイルはまあまあ。

お尻はよい形だが、全体的に細い。

・抱きしめられていた間、不思議な高揚感と安心感があった。

もっとああしていても構わなかった。

だが、あれは【つり橋効果】の一種と説明できる。……多分。

・キスしたり、その先に進んだりとかは考えてはいない。

・ただ、誰かとそういう関係にならなければ死に至る病や呪いにかかったら……

そのときははたてを選ぶ、はたてがいい、はたてじゃなければ嫌。

今は自分のことだから、はたての意思はとりあえず置いておく。

でも、そのとき、はたても自分を選んでくれたらきっと嬉しい。

……くだらない仮定だ、取り止めがなさ過ぎる。この先はナシ。

●ナズーリンデスクの話を楽しそうにするはたてを見ると気持ちがざわつく。

・これは明快な嫉妬、認めよう。間違いない。

・はたてはナズーリンを【師匠】と慕っている。大事な関係なのだろう。

・自分の前でナズーリンの話をするのはやめてと伝えれば、理解してくれるはず。

・自分にとってレミィは大事な友人、魔理沙も気になる知人。

でも、もしはたてが嫌がるなら話題にしない。

だから、はたても理解してくれる、きっと。

結論:次回、ナズーリンの話はやめてと伝える。

そして、お茶会、たまの外出、知識を広げ、友誼を深め合う。

暫定的には【大事な友達】、いずれは【特別な友達】になるかも知れない。

このセンでいくことにしよう。

お出かけの一週間後、はたてが【七曜のクッキー】三回目の組み合わせでの【物語】を話し終えたところだった。

今回は、数奇な運命に翻弄され、非業の最期を遂げた英雄の物語だった。

少し芝居がかって語るはたてを穏やかに見守っていたパチュリー。

「アナタは緻密なルポルタージュが得意のようだけど、案外フィクションライターにも向いているかも知れないわね」

「そうですかー? 実はデスクからも、連載小説を載せてみてはどうか、って言われたんですよー」

来た。

「はたて、もう、その【デスク】の話は聞きたくないわ。

今後私の前ではしないで頂戴」

予定通り。

だが、自分でも驚くほど冷淡な声だった。

ビックリしているはたて。

しばらくパチュリーを見つめていたが、やがて俯き加減で考え込んでしまった。

返答が【了承】であるのは間違いない。

パチュリーは紅茶に口を付け返事を待つ。

「分かりました。

申し訳ありませんでした。

今日を最後にここにはお邪魔しないとお約束します」

はたての返答の意味が分からない。

【分かりました。もうその話はしません】でしょ?

分かってくれたんでしょ?

ここには来ないって、なんなの?

意味が分からない!

愕然とするパチュリー。

「でも、最後にお聞きください。

ナズーリンデスクは記者としての私、私の命の灯を救ってくれました。今も厳しく優しく導いてくれる大切な師匠です。

この世で唯一、私を真剣に気にかけてくれるヒトです。

私、デスクの話は他のヒトにはほとんどしません。

大切なデスクのことです。

きちんと理解してくれるヒト以外には話したくないんです。

パチュリー館長は私の話を何でも聞いてくださるので、甘えすぎてしまいました。

ご不快な思いをされていたとは知らず、申し訳ありませんでした。

でも、パチュリー館長には私を理解して欲しかったんです。

今の私はナズーリンデスク抜きにはありえないから。

だからきっとまた、館長にデスクの話をしてしまうと思います。

そのたびにご不快な思いをさせるのは嫌です。

もう来ません。

私、ここに来るの楽しみだったんです。

楽しかったんです。

ごめんなさい。

そして今まで本当にありがとうございました」

静かに席を立ち、お辞儀をする。

扉へ向かっていく。

(待って、待ってよ。 止めなくっちゃ。 なんで声が出ないの?)

扉は閉ざされた。

少女は広い密室に一人残された。

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