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七曜のクッキー(8)

「咲夜どの、久しいね。元気かい?」

ナズーリンが話しかけると咲夜はほんの少し首を傾げ、にぱっと笑った。

『うえええええええーーーーー!!?? かっ! かわいいいいいいいーーーー!!!』

それまで怜悧な雰囲気を醸し出していた超絶美人が、突然、あどけない少女のように明るく笑った。

このギャップコンボはなんだ、ガード不可にして、いきなりファイナルベント。

世界の九割九分九厘が【とにかく許すっ!!!!】と言うこと間違いなし。

これに反応しないのは土中の石ころくらいだろう。

命蓮寺’sはもちろん、参道の石仏や、木々さえも眼を剥いている(ウソ)。

「こんにちはナズーリンさん、お忙しいところ恐縮です。

相談なんです、実は……」

パチュリーのこと、はたてのこと、覚えている限りのことを説明する。

主の友人の手助けをしたい。個人的にも世話になっているし、放っておけないヒトなのだと。

ざっと状況を聞いたナズーリンがいくつか質問する。

ナズーリンは既に攻略ルートを見切っていた。

咲夜に簡単な策を与える。

あとは自分のやるべきことをやるだけだ。

今回の件で咲夜がナズーリンに申し出た報酬は自分の小遣いの約三か月分。

咲夜の個人的な依頼なのでこれが限界だとすまなそうに言う。

【家族】のためにひっそりと腐心する心優しい娘。

外見の美しさや各種の技能、能力ばかりが評価されるが、十六夜咲夜の美しさ、気高さの真髄はここにある。

ナズーリンは以前に戯れで評価した【いい女指標】:黒い星五つを彼女に与えたことが誤りでなかったことを実感していた。

ナズーリンにしてみればはたて絡みのことでもあるし、咲夜の心意気も受け取ったので無報酬のつもりだった。

しかし、咲夜から欲しかったモノがあったのでそれを交換条件として示した。

話はついた。

だが、以前、紅魔館で捜し物の依頼を受けた際の報酬を巡り、咲夜の思い込みでどっさり冷や汗をかいたことがあった。

一抹の不安を感じたナズーリンは念のためスーパーメイドに聞く。

「咲夜どの、今回の報酬の件、ご理解いただけたとは思うが、確認して欲しい」

「私の下着を差し上げればよろしいのですね?」

「……確認しておいて良かった……違う、違う、違うよ!

咲夜どのの下着【の入手経路】を【教えて】いただきたい、と言ったのだ!

【咲夜どのの下着をいただきたい】ではない! 肝心なところが抜けているよ!」

「ですが、レミリアお嬢様に許可をいただきませんと、差し上げられません」

「ちょっと待って、それは【教えて差し上げられない】でいいんだよね?

ご主人への贈り物にしたいんだよ。

里では手には入らないからね。

特別なルートを持っているはずだ、それを知りたいだけなのだ。

あのね、私が咲夜どのの下着を欲しがっているって伝わったら、大変なことになってしまうんだ。

ねえ、ここ間違うとホ・ン・ト大変なことになるんだ。

いやホント頼むよ!?」

情けない顔で縋るように訴える。

「洗わなくてよろしいのですか?」

「だっ! かっ! らーー! 違うんだよー! 私をからかっているんじゃないのかい!?」

「世の中にはそういった類の嗜好が存在すると聞き及びます」

「脱ぎたて下着はご主人のモノ以外、全く興味がないんだよ!」

「よく覚えておきます」

「あ、あー、覚えてくれなくて結構だ、いや、ホントに結構だ!

念のためだが、この話はご主人の前ではしないで欲しい。

サプライズプレゼントとしての側面だけでなく、なんだかとてつもなく面倒な伝わり方をしそうだ。

とにかく【下着】に関わる話は一切しないと約束して欲しい!」

ナズーリンをじっと見つめる咲夜。

「わかりました。

【寅丸さんには下着に関する話は一切しない】これでよろしいのですね?」

「……うん……そういうことなんだけれど、不安だなぁ……何か見落としているような気がする……

なぜなんだろう? なぜこんなに不安なんだろう?……」

後日、この不安は、当然のように的中する。

飛び去る咲夜をしばらく見送っていたナズーリン。

「ちぃっ、見えなかったか……残念だ」

「なにが見えなかったんですか?」

「外出時の咲夜どのはファッショナブルでデンジャラスな下着を召されると聞いてね……って!

ご、ご主人!?」

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