紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

ナズーリン! てゐ! 二人はプリポナ!(うそ)(3)

魔理沙は手首につけた新アイテムと、首に掛かったペンダントを交互に見る。

首飾りの名は【八広華月柱】(やこうかげっちゅう)。

パチュリー・ノーレッジ作、月の精霊魔法を入念に封じた正八面体の薄紫色をした結晶。

パワーアップの手段のもう一つ、新しい魔道具の開発。

『八卦炉と同じくらい強力なアイテムが欲しいけど、無理だよなぁ』

パチュリーに魔道具の相談した折、つい、口に出た一言。

『なぜ無理と決め付けるの?』と珍しくいきり立ったインドア魔女。

『アナタが驚くような魔道具を作ってあげるわ』

しばらくして呼び出された朝、長袖、長ズボン、外出着のパチュリーが差し出したペンダント。

【八広華月柱】(やこうかげっちゅう)と名づけたらしい。

なんだかそわそわしているパチュリーが早口で言う。

『私、これからとても大事な用事があるの。手短に説明するけど、一回で覚えて』

今まで魔理沙が意識しなかった守備、防御。

月が司る【守り】を具現化したアイテム。

通常時に発動させれば、一瞬で自分の周囲をたくさんの三日月が覆う。

敵意ある攻撃に対しては、最も近くにある三日月がアクティヴアーマーのように弾け、かつ、破片が光弾となって反撃する。

光弾、実弾、呪法を問わず、不意打ちに対し問答無用で反撃する。

危険地帯をあちらこちらと浮き草のようにうろつき回る魔理沙にとっては、この上もなく頼もしい用心棒。

パワーチャージは月の光、一晩月の光に晒しておけば元通り。

その他、使い勝手の良さそうな特性をまくし立てるパチュリー。

何度も確認する魔理沙に動かない大図書館は癇癪を起こした。

『ああ、もう! サンドウィッチ作る時間が無くなっちゃう!』

泣き出しそうなパチュリーに魔理沙は怯んだ。

何をそんなに慌てているのか。

命名の由来を聞く隙もない。

『わ、わかった、大体わかったから』

『うー、もう間に合わない』

ぎりっと歯を鳴らし、魔理沙を睨みつけるパチュリー。

『この【八広華月柱】(やこうかげっちゅう)、使いこなしなさいよ! 絶対役に立つから!

ナリは小さいけれど、私の最高傑作の一つなんだから!』

『あっああ、わかったぜ、大事にするよ』

なんだかエラい剣幕で渡されたパチュリーの自信作。

(ワタシが悪いのか?)

と思いつつも、自宅に持ち帰り色々と試してみる。

守備的アイテムとしては秀逸、スゴい代物だ。

スペカを編むのには少し手間取ったが、強力なモノができた。

月影符:【サテライトインターセプター】

たくさんの細長い三日月がゆっくりと多方向から飛んでくる【横線】の弾幕。

じっとしていればすぐに囲まれてしまう。

対戦相手はこの三日月を攻撃しなければならない。

攻撃を受けた三日月は壊れはしないが、方向を変える。

右端を撃てば右に曲がり、左を撃てば左に。

真ん中を正確に撃ち続ければ、その場で止まっている。

三日月の向きを見定め、撃ち続け、安地を自分で作らなければならない。

相手の集中力をごっそり削り取る耐久弾幕だった。

新たに手に入れた二つの魔道具は期待以上の優れモノ。

友人たちの思いに応えるには結果が必要だ。

博麗霊夢に勝つのだ。

聖白蓮の厳しい指導を受け、身につけた身体強化魔法【天馬壱式】によって、戦闘時の機動力は飛躍的に向上した。

そして、マスタースパークの広角ヴァリエーション、恋想:【ランダムスパーク】もほぼ完成した。

そして終盤の切り札、輪操:【赤い靴のヨコハマドール】

アリス・マーガトロイドと一緒に作ったスペカ。

実はまだ使いこなせていない。

操作が繊細すぎるのだ。

霊夢との【弾幕ごっこ】にのぞむにあたり、投入するスペカの順番を組み立てた。

天才巫女の集中力を根気よく丹念に削いでいく。

そして最後はパワーで一気に押し切る。

この【赤い靴のヨコハマドール】は終盤のダメ押しに絶対に必要な札だった。

だが、難しすぎた。

人形が撃ち出す光弾の精度も、人形同士の連携もどうにもうまくいかない。

十回やって、一回うまくいくかどうかの精度ではとても実戦では使えない。

魔理沙は不器用ではない。

人間としてはかなり器用で勘も良い。

アリスが特別すぎるのだ。

次の対戦、勝算はある、かなりある。

これだけ準備した、これだけ努力した、そして、これだけたくさんの応援があるのだ。

だが唯一の不安要素はこの切り札を使いこなせない自分自身の未熟さだった。

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