紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

ナズーリン! てゐ! 二人はプリポナ!(うそ)(10)

「スキマが開くとき、独特の波動があるんだ」

「あー、あの、ちょっと、ちりちりする感じのこと?」

「なんだ、分かっているんじゃないか」

「そりゃね。

たまに【覗かれている】感じがするときには、決まってあのちりちりがあるからねー」

この大年増のウサギ妖怪の感知能力は並ではない。

だが、気づいていても知らんぷり、そうやって面倒なことを避けて生き抜いてきた。

「八雲紫との対決か。

まぁ、幻想郷にいる限り避けては通れない課題だね」

「ワタシは巻き込まないでよ?」

「つれないことを言うなよ。

私の【対八雲紫作戦】ではキミはかなり重要な役どころだよ?」

「だから巻き込まないでって!」

「しかし、ご主人を狙うとはいい度胸じゃないか。

我々の力を見せつけてやろうよ、【プリポナ】の力を!」

「ちょーっと! 我々ってなによ! ワタシを巻き込まないでって言ったじゃん!

あんな怪獣とやり合うつもりなんかないよー!」

「ヤツは寅丸星に我々が付いていることを知らないんだ。

甘く見ているんだ、後悔させてやろう」

「だーかーらー、ワタシ、関係ないって!」

耳をぺたんと折りたたみ、いやいやをするウサギ妖。

「現時点での八雲紫攻略方法を聞いてくれ」

「聞きたくなーい! やだよー!」

「寅丸星が失われたら私は生きてはいられないんだ、いいから聞けよ。
なーに、運が悪けりゃ死ぬだけさ」

「う、う、なんでこうなるのー?」

「まぁ、最悪でもキミは助かる、もし私が死んだらご主人のことは頼む。

真面目な話、てーゐ、キミに託す。

【神格】を得るまで見守ってやって欲しい」

それまでてゐは、くねくね首を振りながら、ふざけ半分で応対していたが、ピタっと止まり、ゆっくりとナズーリンに向き直る。

「ナズリン、笑えないよ。

今までで一番つまらない話だわ。

そんなの絶対イヤだからね」

見たことのない険しい表情。

「今度【死んだら】って言ったら、引っ叩くからね!」

お互い少し頭を冷やした。

軽くわびたナズーリンが、改めててゐに作戦を話す。

この二人のささやきは、ちょっとした合図と目配せ、隠語を交え、かつ、消音の呪法を使っているのでこんな場でももれる心配はない。

「ナズリン、アナタの言う【もしかしたら西行寺の娘は】のところが間違っていたら、大変なことになっちゃうよ?」

「まぁ、そうだね、だが、八雲紫と仲がよいのは間違いなさそうだからね。

今日のご主人の演武で、きっかけは向こうからやってくるさ。

それから先はその時に考えるとするよ」

大胆な仮説に基づく危険な作戦。

慎重な因幡てゐにすれば、乗れる話ではない。

今までずっと、危ない橋は避けてきたのだから。

だが、親友と心に決めたネズミ妖怪が命を賭して臨もうとしている。

その時がくれば乗るしかないか。

打算と欺瞞まみれで生きてきたズルウサギは、目の前のバカネズミの悲願にとことん付き合う決意を固めた。

帽子を取って、聖白蓮に抱きつく魔理沙。

「いってくるね」

「魔理沙、頑張って」

いよいよメインイベント。

祖母とも慕う恩師に挨拶をした若い魔女が箒に乗って浮かび上がっていった。

それを見上げていたアリス・マーガトロイドに話しかける聖。

「アリスさん? あなた、アリスさんでしょ?」

問われた人形遣いは大魔法使いを認めたもののすぐに目を逸らした。

「ええ、そうだけど」

「貴方が小さかった頃、アチラで会っているんだけど、覚えていらっしゃらないかしら?」

ニコニコと話しかける聖白蓮にアリスは戸惑っている。

「そ、そうだったかしら」

「随分と大きくなられて……魔界の方は成長が早いのかしら?」

「あ、あの、私、ちょっと、用事があるから」

逃げるように去ってしまった若い魔法使いの後姿を少し惜しげに見送っていた大魔法使い。

「聖、今の話、もう少し聞かせてくれないか?」

命蓮寺の首席参謀ナズーリンがいつの間にか隣にいた。

偶々魔法使い二人の会話(かなり一方的な)を耳にしていたナズーリンは、内容に惹かれた。

聖曰く、魔界でお世話になった神様がいて、娘がたくさんいたとのこと。

そのうちの一人がアリス。

当時と今の外見の差に成長を見て取ったが、経過時間の割りに【はやい】育ちが気になったと。

自分を避けているように思えたのは、昔を知られたくないからかも、と。

そして、魔界に攻め込んできた巫女と魔法使いたちとの戦いの伝聞。

顎に手を当てて少し首をひねっていたナズーリンが、ゆっくりと頷いた。

(なるほどね……そういうことか)

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