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ナズーリン! 幻想郷名物、ハリセンチョップ!(3)

翌朝、寝不足のナズーリンに寅丸が陽気に挨拶する。

「ナズーリン、おはようございます、今日も良いお天気ですね!」

その顔を見たナズーリンは確信した。

このヒト、昨夜のことをまったく覚えていない。

(くそっ! この能天気ご主人め! 私がどんな思いで一夜を明かしたか! 納得ずくのこととはいえ腹が立つ!)

なんだかムシャクシャして寅丸の尻を抓りあげた。

「いたっ! な、なんですか!?」

「乙女の純情をもてあそんだ罰と知りたまえ」

「なんですか!? わけわかりませんよ! こら! ナズーリン! 私もお返ししますよ!」

「断る。ご主人の力で抓られたら私の尻はちぎれてしまう」

「それなら噛みつきます!」

「それも断る。ご主人に思い切り噛みつかれたら尻が半分になってしまう」

「そ、そんな、本気で噛みつきませんよ! ほんのちょっと跡がつくくらいで加減します」

その一言でナズーリンの妄想劇場が緊急開演した。

(ナズ、かわいいお尻ですね)

(あ、あまりじっくり見ないで欲しいな)

(つるつるでぷにぷにですよー、ここも、そして、こ・こ・も)

(ああぅ! ダ、ダメェ、そ、そんなとこまで、さ、触って良いとは言っていないのにぃ)

(うふふ、それじゃ噛みますよ、 かぷっ)

「……よし、私の部屋に行こう! 今すぐ!! 舐め回すのも、跡がつくほど吸いつくのも、それ以上も許可するから!」

さあさあと寅丸の手を引いて歩き出した先に人影があった。

雲居一輪がいた。

片方の眉をつり上げ、冷めた視線を二人に送っている。

「話は全部聞かせてもらったわ」

某いぶし銀刑事、ヤマさんばりに言う。

そして寅丸星をビシッと指差す。

「従者のナマ尻に噛みつき、舐り、吸いたおす好色な主人!

そして唾液でデロデロになった小さなお尻に突然の平手打ち!

一発、二発、三発と。

逆らうことのできない従者が泣きながら許しを請うているのに、薄ら笑いを浮かべ、なおも叩き続ける!

そして真っ赤になった小さなお尻を満足そうに眺め、鷲掴み、再び噛み、舐め、吸う!

従者の悲鳴がだんだんと細くなっていく……

……どーにもその性嗜好には賛同できないね。

姐さんが知ったらなんと思うか……はぁ」

そう言って大げさにため息をつく。

「あ、あの、一輪? 私、そんなことまでは言ってませんよ!?」

慌てる星、蔑む一輪。

「アァナタの心の声がぁ、聞ぃこえたのよぉぉ!」

ことさらに低音を震わせる入道使い。

「それ間違ってますから! 絶対、私の声じゃありませんから!」

必死モードの寅丸に対し、委員長モードの一輪。

「知ってるでしょ? 私は寺の中でおきた【異常】を姐さんに伝える義務があるのよ。

極めて限定的で特殊な【異常】だけど、これは間違いなく【異常】だわ。

だから姐さんに報告します!」

一輪は登場面のボス特性である【相手の言動を思い込みの混じった深読みによって一方的に理解して次の展開を半強制的に示唆する】能力に長けていた。

「待ってください一輪! 誤解です! ナズーリンも何とか言ってください!」

頼みの従者であり導師でもある無二の恋人に縋る。

「そう言えば私は出かける予定があるんだった。もう行かなければ」

「えええっ!? 待って! 私を見捨てるのですか!? 待ちなさいナズーリン!」

従者の肩をつかもうとして手を伸ばすも俊敏なネズミ妖怪は、しゅるっと脇を抜けて駆け出していく。

その後姿に半泣きで呼びかける。

「行かないでーー! おねがーい!」

「さらばだ、ご主人、武運を祈る!」

基本的に愛する主人の懇願を無視しないナズーリンだが、今回は別だ。

少し痛い目にあってもらわねば腹の虫が収まらないし、用事があるのは本当だった。

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