紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

ナズーリン! 幻想郷名物、ハリセンチョップ!(14)

「なんだかお尻がもっこりしているな」

特別補習講座二日目、寺子屋へやって来た早苗は指導者二人に元気に挨拶したが、ナズーリンはその腰周りに目を留めながらつぶやいた。

「何枚重ねているのかな? この暑い中ご苦労なことだ」

”ギクッ”と聞こえそうなほどうろたえている新米巫女。

ハリセン対策として早苗が講じた手段はまことに拙いものだった。

厚手の冬物の下穿きをありったけ引っ張り出して、重ねて穿いてきたのだ。

(ばれちゃった……)

あたりまえである。

この娘、やはり少しピントがずれている。

「この手の不正は露見したが最後、必ず罪に問われるよ。脱ぎたまえ」

「はい……」

早苗も観念した。

「慧音先生、お部屋をお借りします、脱いできます」

「なにを言っている? ここで脱ぎたまえ」

「はい?」

「全部脱げとは言わないし、女同士だ。何も遠慮することはあるまい」

「で、でも」

「せっかくだから一枚ずつだ。キミの魅力を見せてみたまえ。

まずは恥ずかしそうに、次は誘うように、次は泣きながら、次は新妻のように嬉しそうに、そして最後は膝でストップ、そう半脱ぎだ。

さあ始めろ!」

「あ、あの、そんなの無理です……」

「なんだとぉ!? それでも女子高校生か!? 勉強不足にもほどがあるぞ」

「そんな勉強ありませんよ!」

慧音は眉をしかめていた。

いくら【汚れ役】と言ってもワルノリしすぎだ。

「ナズーリンどの! もういいだろう!」

すると変態ネズミは矛先を歴史学者に向けた。

「話にならん! 慧音先生! この未熟者を指導してやってくれ。

そそる脱ぎ方のお手本を見せてやってくれ!」

「な、なんでそんなことをせねばならないんだ?」

根が大変真面目な【お姉様】は突然のムチャ振りに対応できない。

「必要な指導だからだ、さあ、ひもパンのそそる脱ぎ方の模範演技を!」

「……まて、なぜ私の下着を知っている」

「些細なことに言及している場合ではないよ」

「いや、かなり気になる、いつ見たんだ!?」

「……ホントにひもパンなのかね?」

「え? そ、そ、それは」

自爆してしまった。

そして冷静温厚な気質を支える【包容力】タンクが恥ずかしさと言う普段あまり溜まらないファクターにより、一気に満水レベルまで溜まってしまった。

「慧音先生はひもパンなんですかー」

早苗が不思議そうな顔でつぶやくと、タンクは破裂した。

「……だって、だって、妹紅が作ってくれたんだもの!

私の下着が少なすぎるって、妹紅が作ってくれたんだもの!

普通のは作るの難しいけど、両脇をひも結わえるのなら作れるって、たくさん作ってくれたんだもの!

夜なべして作ってくれたんだもの!

なんだよ! 文句あるのか! も、妹紅が私のためにーー!」

泣き出してしまった。

「私は気に入っているんだ、満足しているんだ!

笑われようが平気だ! さあ笑えー!」

ロングスカートを勢い良くまくり上げた。

美人教師の秘密の大公開だ。

桜色の小さな三角、両脇は赤いひもで結わかれていた。

そして監視者ナズーリンの目はワンポイントの小さな刺繍をとらえる。

相合い傘で【ケネ】【モコ】と入っていた。

素敵な下着もさることながら、普段長いスカートで隠されている慧音先生の下半身はさらに素敵だった。

ひもパン以外何も身に着けていない下肢はそのフォルムの全てを晒している。

ナズーリンは本能的にいつもの観察モードに入っていた。

(胸は別物として、スレンダーな上半身に対し、ほんの少し太目の腿だが、太いというより、女性的なふくよかさと言える。

座り仕事が多いせいか、膝の間接はやや大きめで頑丈そうだ。

脛の向こうに見えるふくらはぎも発達している。

全身のバランスから見ればややがっしりした下半身だが、それは作り物めいたバランスではなく、【働く女性の健康的な下半身】だと言うことだな。

それに白い星は堂々の四つ、加えて統合すれば【活動的だが女性らしさも備えている】カラダなのだな。

先回覗き、もとい、調査したときは入浴時に数秒確認しただけだったし、どうしても胸部に集中して色々見落としてしまったようだ。

うむ、単純な比率では語りきれない生活に密着したリアルな美しさがここにある。

上白沢慧音、やはり貴方は素晴らしい)

瞬き二つの間に観察、考察を終了したナズーリンは、現状へ目を向けた。

スカートを下ろした慧音はしゃがみこんで本格的に泣きはじめてしまった。

「ううー! 妹紅とお揃いなんだー、私はそれで満足なんだー!」

(しまった、これほど豪快にブッ壊れるとは。

精神の安定度はトップクラスだと思っていたんだが、このヒト、妹紅どの絡みだと地雷が多いなー。

だが、妹紅どのがお揃いの下穿きを作っているなんて、フツー想像できんぞ。

しかし、慧音どののひもパン、結構なお手前でした、誠にありがとうございます)

心の中で手を合わせるナズーリンは、わんわん泣いている【お姉様】に、(これはこれで可愛いな)などど大変不謹慎な感想を抱いていた。

だが、このままでは収拾が付かない。

思案する時のクセで首を傾げたナズーリンの視界にオロオロしている早苗が入ってきた。

(んー、まぁ、嫌われついでだ、ここは早苗に被ってもらうか)

そのまま早苗を見つめる。

早苗もその視線に気づき、縋るように見返してきた。

「早苗、笑いすぎだ。早いところ謝っておいた方がいいぞ」

「はえ!? え、え、私、笑っていませんよう!?」

「今ならまだ間に合うぞ」

「なんでそうなるんですか!? 私、なにもしてませんよ!」

「慧音どの、まぁ、早苗も反省していることだし、勘弁してやってくれないか?」

「ちょっとーー! 私がワルモノですか!?

そもそもひもパンの話を始めたのはナズーリンさんじゃないですか!」

「早苗、きちんと謝りなさい」

「ぜ、全然納得できませーん!! 私、悪くないもの!」

「ふー、自分の非を素直に認められないとは。ありがちな特質ではあるが、始末におえんね」

慧音は涙でぐしゃぐしゃになった顔で早苗を睨みつける、かなり怖い。

「あぎゃー!! ま、待ってください!!」

「なぜ素直に謝れないのかなー、事態はどんどん悪化していくぞ?

しかたない、慧音どの、ここは私の顔に免じて怒りを収めて欲しいのだが」

そう言って慧音の肩に手を置く。

やがてのろのろと立ち上がったベソかき先生は『頭を冷やしてくる』と言い残し、水場へふらふらと歩いていった。

「やれやれ、大変なことだったなー」

ニヤニヤしながら振り返ると憤怒の形相の山の巫女がいた。

「ナズーリン、せ、せんせ、い、今は指導中ですか?」

「んー? まぁ休憩中かな? 普通にして構わんよ」

「なら、言わせてもらいます!!」

「はい、どーぞ」

「ア、アナタって最低です!! 友だちいないでしょ!? ええ、絶対いませんよーー!!」

そのまま水場の方へ駆け出していってしまった。

(まぁ、いいか、しかし、また【友だち】が出てきたな、もう少し揺さぶってみるか)

ナズーリンは次の仕込みのために飛び立った。

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