紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

ナズーリン! 幻想郷名物、ハリセンチョップ!(17)

「あやや、この気配は…… いいでしょう、今日のところはこの辺で引き上げます。

しかし、後日、詳しく聞かせてもらいますからね!!」

そう言ってびゅわっと飛んで行った。

飛んで行く先をぽかんとして見上げていた早苗だが、霊夢のため息で引き戻された。

「まったく、はた迷惑な鴉だわ。邪魔が入っちゃったけど、続きを話しましょうか。

どこまで話したっけ?」

「まだなにも」

「んー、そうだったわね、それじゃ改めて―――」

言いかけた霊夢が鳥居の方へ顔を向けた。

なにかぼんやりしながらも大きな気配が近づいてくる。

早苗にも分かった。

「おーい、れーむー」

人間の子供ほどの背丈に、不つり合いなほど大きな二本角。

伊吹萃香だった。

よたよたふらふらと近づいてくる。

毎度のことながら、酔っ払っているのか。

「れーむー、たすけてー」

地面にぺたんと座り込んでしまった。

いつもと様子が違う萃香に歩み寄る博麗の巫女。

「萃香、どうしたの? 酔っ払ってるの?」

いつにも増して呂律が回っていない萃香は、それでもなんとか説明しようとしていた。

同じことを繰り返し、内容が前後し、それも休み休みなので理解するのにえらく時間がかかった。

妖精たちがくるくる回って踊っているのを見ていたと。

聞くと【厄神ダンス】と言うらしい。

たくさん回っていられた方が勝ちなんだそうだ。

面白そうなので自分も回ってみたと。

朝からずっと回っていたら頭が痛くなってきたと。

お酒で頭がふらふらするのとは別の感じでとても気持ちが悪いと。

「なんとかしてくれー」

「もー、バカをやるにもほどがあるわよ。どっちに回ってたの?」

「うん、えっと」

ふらつきながら立ち上がった鬼は右回りにくるっとしてそのまま倒れてしまった。

霊夢は手を引っ張って立ち上がらせる

「それじゃ今度は反対側に回って、支えててあげるから。

あ、もう、角、危ないわねー。

そうそう、そんな感じ、 くるくるくるーっと。

はい、止まってー、 どう?」

「お? すこし楽になったぞ?」

「今日はもう寝ていなさい」

「うー、そーするー」

まだふらふらしている萃香の手をとりながら早苗に向き直る。

「早苗、ちょっと待ってて。このコ寝かしてくるから」

半ば抱きかかえるようにして母屋に入っていった。

一人残された早苗は手持ち無沙汰。

冷たくなったお茶をすするが、おいしくない。

陽もすっかり落ちてしまい、無駄に流れた時間がもったいなく感じられた。

(こんなことしていて良いのかなぁ)

「お待たせー、あら、暗くなっちゃったわねー。

中に入りましょう、もうすぐお夕飯だし。 ん?」

あっけらかんと言い放った霊夢が、何かに気づいたように夜空を見上げる。

釣られて見上げる早苗。

「よっ! ご両人!」

箒に乗ってふわふわ降りてきたのは霧雨魔理沙だった。

「このお稲荷さん、うまいんだよなー」

なぜか夕飯は三人前用意されていた。

上機嫌で稲荷寿司をぱくつき、蕎麦を啜る魔法使い。

はじめこそ文句を言っていた家主の巫女だが、やがていつものような会話になった。

早苗にも話題が振られるが、生返事しかできなかった。

(授業中、なのよね?)との戸惑い、それに【カツアゲ巫女】の話が出て喧嘩になるのではとヒヤヒヤしていたせいで変に緊張してしまい、話に入っていけなかった。

「それじゃ私はこれで帰るぜ、いろいろと忙しいからな」

食べ終わったあともしばらくしゃべっていた魔理沙が腰を上げた。

「ヒトん家で夕飯をたかる暇はあるのね」

「作る暇がないってことさ、用意されているのを食べるので精一杯だぜ」

「なによ、それ」

少し怖い顔をした霊夢にひらひらと手を振って帰ってしまった。

「えーと、どこまで……って、まだ全然話してなかったわね?」

ようやく早苗に意識を向けた先輩巫女。

だが、

(なんだか今夜はいろいろダメな気がします)すっかりあきらめモードの後輩巫女。

早苗の予想通り、その後もダメだった。

忍び込もうとしていた三体の妖精を叩き出したり、元気になった萃香が騒ぎ出したりして話はできなかった。

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