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ナズーリン! 幻想郷名物、ハリセンチョップ!(20)

自己嫌悪に打ちのめされているネズミの肩に手を置いたウサギがことさら陽気に話しかける。

「うかつだし、考え足らずなことも多いけど、元気出しなよ【賢将】さーん。

ワタシが認めてあげる、アナタなかなか頭いいわよおー」

「賢将なんかじゃないさ、少し考えれば早苗の心傷に気付けたのに、自説を得々と弁じるとは。

ただの馬鹿者だ」

「ありゃ? 本気で凹んでんの? もー、しっかりしてよー」

口では励ましながらも楽しそうなウサギ妖怪。

(凹んだナズリンはおいしいわね〜) 底意地の悪さ炸裂中。

「ところでナズリン、早苗のお勉強、いつまでなの?」

「あ、ああ、明日で終了だ。

慧音どのの座学が順調のようだから、こちらだけ引っ張るわけにもいかない」

「ふーん、それじゃ、明日の【実地】が勝負なのかー。どうするの? ワタシは忙しいわよー」

「魔理沙に預けようと思う」

俯いたまま力なく告げたその一言に思い切り目を剥く最長老ウサギ。

「ナ、ナズリン! アナタ本気!? ワタシの話、ちゃんと聞いていたの!?

あと一息じゃない! 最後に早苗からぶちまけさせれば道が開けるでしょ!?

友だちへの想いを口にさせるのよ! 今まで誰にも言えず、ずっと我慢していたんだから!!

それを魔理沙ですって!? あんな脳みそスパークのスケコマシに任せるって言うの!?

前言撤回だわ! ナズリン! アナタ、頭悪いわよっ!!!」

珍しく激昂してしまった因幡てゐが何も言い返してこないナズーリンの顔を覗き込む。

ネズミはニヤニヤしていた。

その顔を見て我に返る狡猾と評判のウサギ妖怪。

しまった、すっかりはめられた。

「……くっ! 分かったわよ! 明日もワタシが面倒みればいいんでしょ!?」

「てーゐ、キミはいつでも最高だ」

「うるさーーーい!!」

翌日、【特別補習講座】最終日、座学を恙無く終えた早苗は、慧音から手製の小さな修了証を受け取り、涙ぐんでいた。

(厳格ながら、こうした細やかさを併せ持つ、うーん、さすが慧音どのだ、見習わなければ)

「さて、最後の実地研修だ。最後は私が自ら手取り足取り指導に当たってあげよう」

ニターッと笑うナズーリンを不安そうに見る早苗、やがてその視線は隣にいる因幡てゐに縋りつくように移る。

(よしよし、それでいい)

【嫌われ役】に徹するナズーリン。

自分への不信感をあおり、相対的にてゐへの依存度を上げるための姑息な演技。

困っている早苗を見て、(そろそろてーゐに預けるか)と思っていたところ、

「な、ナズーリン、せ、せんせー、お願いです! 最後は【てゐ先生】、いえ【てゐさま】にご指導いただきたいんです!

お願いします!!」

びっくり。自分から申し出るとは。

「ふーん、まぁ最後だからそのわがまま聞き届けようか。 ところで【てゐさま】ってなんだね?」

「はい! 昨夜、神奈子様にてゐさまのことをお伝えしたんです。

そうしたら、『そのヒト、私の父親の大恩人らしいんだよ』っておっしゃいました!

神奈子様のお父様が大変お世話になった方なら私にとっても恩人です!

ですから【てゐさま】とお呼びいたします!」

眉間に少し皺を寄せて考えていたウサギ。

「あー、神奈子様って、そっかー、タケミナカタさまだっけ? そっかそっか」

一人納得しているてゐ。

「でも、堅苦しいのは苦手なのよね、気にしないでよ早苗さん」

「私のことは早苗っと呼び捨てにしてくださいませ!」

「うーん、困ったなー、んじゃ早苗ちゃんで」

「……ちゃん、ですか?」

「いいじゃん、かわいいし。さ、今日は中で話そっか、慧音せんせー、縁側かりるねー」

早苗の手をとって縁側に向かう太古のウサギ妖怪。

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