紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

ナズーリン! バカップルNo.1!(3)

「たまには頼ってください」

「ならば力を、元気を、充填して欲しいな」

「私にできることなら」

「では【タイガーダイレクトミルクチャージ】を希望する」

「は? なんです? それ?」

「呼称が内容を的確に表していると思うけど?」

さすがにすぐ分かった寅丸がその豊満な胸を両手で隠しながら、

「で、出やしませんよ!」

「なーに、出るまでしゃぶって吸い続けるまでさ!」

「だから出ませんて!」

「やってみなければ分からないよ!

いーからまずはボロッと、プリっと出したまえよ! うひひひー」

両手をわきわきといやらしく開閉させながら近寄ってくる変態従者。

「あー、頭の弱いナズーリンだー」

数体の妖精がきゃいきゃい言いながら近づいてきた。

『あったまのよわーいナズーーリン♪ もーっとべんきょーしなくちゃねー♪』

妖精たちが歌いながら通り過ぎていった。

ナズーリンはバカっぽい姿勢のままカタマっている。

そのいささか憐れを誘うカッコに主人が少し悲しそうに話しかける。

「ねえ、ナズ? 今のアナタ、ホントに頭が弱そうですよ?」

「……むぅ」

今日は命蓮寺の縁日。

ナズーリンプロデュースのアイスキャンディー。

去年の冬、今年の春、収穫した蜜柑と苺を氷室に蓄えておいた。

なるべく原形をとどめるよう注意しながら四角い型に入れ、氷精に凍らさせる。

ミカンバーとイチゴバーは試食係にも大好評だったが、醤油味のタケノコバー、塩味のキューカンバー、味噌味のナスバー、はダメだった。

試食係の小傘、響子、ぬえは一口目で【アウト】を宣告した。

『まぁ、これらは洒落だったがね』しれっと言ったナズーリンに文句が殺到した。

うんと甘くした麦茶を凍らせたものには合格点がついた。

紅魔館一行が命蓮寺の参道入り口に到着。

【氷菓子】【アイスキャンディー】【ミカンバー】【イチゴバー】のノボリ旗に目をとめるフランドール。

赤や橙色の四角い塊に柄がついている。

里の子供たちが群がって、美味しそうに食べている。

「お姉さま、あれなにかしら?」

レミリア・スカーレットが見たところ、果物を型にはめ、凍らせた菓子のようだった。

妹に教える。

「へー、おいしそう」

「食べてみる?」

「うん!」

出店の売り子は藤原妹紅だった。

紅魔館の当主姉妹、おつきのメイド長と門番、そして居候魔女を認めると声をかけた。

「紅魔館の娘さん方だね? 先生からあんた方にはこれを食べてもらうように申しつかっている」

別の包みから取り出したのは子供達が食べているものとは異なった氷菓子。

藤原妹紅、よほど気を許した相手でないとぶっきらぼうな物言いが常だ。

ずっと気を張って隙を見せないように生きてきたから。

レミリアが問う。

「先生って?」

「ナズーリン先生のことだ。紅魔館のお嬢さんがきたら渡せとね。

なんでも特別製だそうだ」

そう言って差し出した氷菓子は焦げ茶色、黄土色が各三本ずつ計六本。

見た目はあまりよろしくない。

だが、あのナズーリンが用意していたのなら、おかしなモノではないはず。

レミリアはナズーリンが自分たちのために【特別に用意しておいてくれた】そこに惹かれた。

通常、毒見はいろいろ頑丈な美鈴が行うが、今回は当主自ら真っ先に口にした。

焦げ茶色の氷菓子は、うんと甘くしたレモンティーを冷やし固めたアイスキャンディーだった。

なかなか美味しい。

食べてよし、の合図を家族に送る。

「お姉さま! これ! とってもおいしい!」

フランが食べているのは黄土色、おそらく中身はミルクティーなのだろう。

「咲夜の作ってくれるアイスクリームみたいに冷たくて甘いけど、シャリシャリ、キンキンで、おいしーい!」

フランドールはそこまで言ってから、はっと気づき、咲夜に向き直る。

「あ、あの、咲夜のアイスクリームもおいしいよ?

でも、そう、あれは外で食べるのには向かないと思うの。

あれは、しっとりじんわり甘いから、お部屋でゆっくり食べるべきだと思うの。

だから、これは別の食べ物だと思うの」

自分の発言が忠実な従者を傷つけたのではないか。

フォローを入れようと頑張る優しいフランドール。

フランの気持ちを察した聡明なメイド。

「フランドール様、お気遣いをいただき恐悦でございます。

ですが、どうぞお気になさらぬようお願いします。

私もこの【アイスキャンディー】が気に入りましたよ」

そう言って微笑んだ。

「そう!? そうよね! おいしいよね!」

妹が他人に気を遣っている。

レミリアは鼻の奥が熱くなり、視界が滲んできてしまった。

アイスキャンディーを持っていなかったら抱きしめていただろう。

まだ不安定な時もあるが、フランは確実に成長している。

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