紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

ナズーリン! バカップルNo.1!(7)

パチュリーとはたての少しずれた、こそばゆいやり取りを見ていた紅魔館の面々は目線を交わしあう。

こういった場合、アイコンタクトの司令塔は意外なことに紅美鈴だったりする。

(皆さん、ここはパチュリーさまをバックアップです!

二人っきりにしてあげましょう!)

(そうね、仕方ないわね)

(UN! オーエンしよう!)

(合点承知ノ介でござんすわ)

不器用カップルに対し、援護射撃の敢行を確認する。

パチュリーも気づいた。

頼りになる身内が、自分のためになにやらお膳立てをしてくれるようだと。

(みんな……ありがとう)

レミリアとは昔から阿吽の呼吸だし、フランも実は察しがよい。

気の良い美鈴はいつでも【家族】のために陰働きをする。

その心根は咲夜にも引けを取らない。

この三人は期待して大丈夫。

そして十六夜咲夜、百のうち九十九は期待通り、場合によっては期待以上の素敵な結果を示してくれる。

が、残る一つ、微妙にとんでもなく、予想外のファンタスティックな反応をしてくれる。

控えめで、素敵で優しく賢く、文句無しなのだが、たまに全世界をズッコケさせるほどのエクサトン級のボケをかましてくれる。

パチュリーは今回がその残る一つでないことを祈った。

「パチェの歩くペースにあわせていたら回りきれないわ。

悪いけど置いていくわよ」

(Good よ! レミィ! さすが親友!)

「そうですねー、仕方ありませんよねー、パチュリーさまー、もーし訳ございませーん。

失礼いたしまーす」

(Gooder ね! 美鈴! アナタここ一番ではホント頼りになるわ!)

「パチュリー、また後でねー」

(Goodest だわ! フラン! イイコね、申し分のないフォローだわ!)

戦艦【紅魔】の兵装が次々に火を噴き、ぶきっちょ魔女のもたもたした進軍を援護する。

そして、満を持して最大の破壊力を誇る十六連装対艦ミサイルランチャーが発射された。

「パチュリー様、具合が悪くなったらこの【緊急警報機:むっきゅんバズーカサイレン】のスイッチを入れてください」

咲夜がパチュリーの手に握らせたのは七曜の魔女の顔を思い切りデフォルメした饅頭ほどの物体。

そのほとんどを占める口の部分はどうやらスピーカーであり、どろんとした目のパチュリーが真ん丸く大口を開けたなんともマヌケなデザインだった。

「河童の工房で特別に作らせたパチュリー様専用の品でございます」

自信に満ちた顔で凛々しく説明する幻想郷最高のパーペキメイドさん。

「やる気のなさそうな、どろんとした目は【バッテリー】の残量です。

減っていくとだんだんと眠そうな目になっていき、完全に閉じるとゼロです。

今は満タンの状態です。

すでに眠そうですが、これが標準、正常な状態ですからご安心ください。

そして、この、あるかないかハッキリしないちんまい鼻のあたりにスイッチがございます。

ここをメリメリっと押し込めば『むっきゅん! むっきゅん!』と一体何が言いたいのか理解不能の得体の知れない号声が一里四方に轟き渡ります。

そうしましたら、どこにおいでであろうとも私が即座に駆けつけます!

ですからどうぞご心配なく、ゆっくりとお楽しみくださいね」

そう言ってとびきりの笑顔を見せた。

(咲夜……アナタってば、ホントここ一番で微妙よね)

どうにもいちいち含みがありそうで、引っかかるが、とりあえず致命的なボケではなかった。

パチュリーは【むっきゅんバズーカサイレン】と咲夜を交互に見ながら思う。

(私のことを気遣ってくれる優しさにはいつも感謝しているわ。

素直に言えないけど。

でも、その気遣いのベクトルがホンの少しだけずれているのよね。

おおよその向きは間違ってはいないのだけど、少しずれたところでもの凄いエネルギーを使ってしまっているから、なんとももったいないというか、残念なのよね。

でも私、アナタが大好きなのよ? あ、家族としてよ? ごめんなさい。

いつかアナタが本当に困ったとき、本当に苦しいときがきたら、必ず助けてあげるから。

私の力のすべてをかけてでも必ず助けてあげるから)

咲夜への感謝の気持ちはとりあえず横に置いておいて、せっかくの好意ではあるが、例え死ぬほど具合が悪くなってもスイッチは入れまいと誓うパチュリーだった。

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