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ナズーリン! バカップルNo.1!(11)

縁日終了まであと四半刻(30分)、そろそろ撤収の段取りを始めるかな、と思ったナズーリンの耳にけたたましい音が届いた。

「むっきゅん! むっきゅん! むっきゅん! むっきゅん!」

四方に放っていたネズミたちに念話を試みる。

発信源は盆踊りのやぐらの近い側にあるリンゴ飴の出店あたりのようだ。

駆け出すナズーリン。

到着した時には音は止んでいた。

十六夜咲夜がパチュリー・ノーレッジを抱きかかえ、姫海棠はたてが心配そうに覗き込んでいる。

「はたて君、どうした!?」

「パ、パチュリー館長が、リンゴ飴を食べたら倒れちゃったんです!」

毒など入っているはずはない。

事前に衛生面は自分で厳しくチェックしたのだから。

それにこの出店は命蓮寺通いの妖怪が担当しているからおかしな真似はしないはずだ。

「状況を説明したまえ!」

動転していたはたては、師匠の一喝でほぼ平常に戻った。

「二人で出店を回っていたんです。

たくさん食べました。

ここのリンゴ飴、館長は『大きすぎて食べきれない』と言っていたんです。

私が買って、少しリンゴ飴を食べてから『味見なさいますか? 食べかけですけど』ってお渡ししたんです。

館長はしばらくリンゴ飴を見ながらブツブツ言っておられたんですが、やがてそっと、ちょみちょみ食べ始めたんです。

その時、私が『あっ、これって、間接キスですねー』と言ったら倒れてしまったんです!

そしたら腰のあたりから『むっきゅん! むっきゅん!』ってモノスゴい音が」

状況を理解したナズーリンがやれやれと頭をかく。

「咲夜さん! パチュリー館長、大丈夫なんでしょうか?」

「ええ、大事には至りません、倒れた拍子に【むっきゅんバズーカサイレン】のスイッチが入ってしまったのでしょう。

大丈夫ですよ。

でも、今夜はこれで連れて帰りますね」

咲夜が振り返った先は、搬送係の美鈴が人垣を掻き分けながらやってくるところだった。

「え、今夜はずっとおそばにってお約束したのに……」

「とても、そう、とても楽しかったのだと思いますよ。

ご心配なら、明日にでもお見舞いにいらしてください」

そう言って微笑んだ。

その笑顔に、はたてだけでなく、周囲の人妖が皆、顔を赤らめた。

タイミングを計っていたナズーリンが周囲に声をかける。

「皆さん、おかげさまでこちらの娘さんは大事に至らなかったようです。

さて、楽しい縁日はそろそろお開きとなります! あちらの上空をご覧ください!」

『ドオオオーーーーン!!!』

それを合図にしたかのように花火が上がった。

「パチュリーさんは大丈夫だったんですか?」

「うん、少しばかり興奮しすぎただけだよ」

「それはようございました」

あらかた片付けの終った頃、寅丸がナズーリンに聞いた。

縁日は大盛況だった。

事前の宣伝、子供たちへの出店引換券の配布、店割り、有力者たちへの根回し、出店内容の確認から材料・部材の調達、若者たちへの協力要請、妖怪たちへの牽制、大人・老人も楽しめる催し物・アトラクションの準備、そして撤収、後片づけ、協力者へのご祝儀、

全てナズーリンの差配だった。

催し物や出店、所々で聖白蓮と寅丸星が顔を出すのもナズーリンの発案。

命蓮寺の二枚看板が驚くほど至近に現れるこの企画、あちこちで歓声が上がった。

そのタイムスケジュールもナズーリンが組んだ。

命蓮寺のイメージを上げる。

楽しいことへ終始しながらも、精神的支柱としての存在感、期待感を印象付ける。

全体にわたり小さな小さな賢将が演出した。

驚くようなアイデアを捻り出すわけではない。

時間軸を整理し、細かい取り決めを行い、全体のバランスをとりながら着実にこなしていく。

やらなければならないこと実務を実直にこなす。

壮大な計画、奇抜な企画をたてるわけではない。

むしろ実施するための段取り、ヒト・モノ・カネの調達、必要な訓練、場合によっては扇動・説得・恫喝等を規模に合わせてハンドリングする。

それでいて要所では『なるほど』と唸らされる妙手を繰り出してくる。

そして必ず期日に間に合わせる。

天才ではないが単なる秀才でもない。

多忙な神々や会社組織の経営者、【上】に立つモノがノドから手が出るほど欲しい陰の実務調整者。

その最高峰の一人がナズーリンだった。

撤収完了。

「まぁ、こんなところかな」

【頭の弱いナズーリン】が涼しい顔で言った。

「ご主人、お疲れさま。今日も貴方は輝いていた」

「ナズーリンこそ本当にお疲れさまです」

「なに、このくらい大したことではないよ」

「皆さん、とても楽しそうでした、ナズーリンのおかげです」

「このくらいできなければ寅丸星のそばには居られないからね」

「ナズ! そんな言い方、止めてください!」

悲しそうな寅丸。

「私がどんなに誇らしいか、どんなに嬉しいか。

貴方はあれほどたくさんのヒトたちに幸せで楽しいひとときを与えたのですよ?

ナズーリンは素敵ですよ!」

寅丸星はナズーリンの実力を誰よりも知っている。

そしてこの従者がそれを外に向けて誇らないことも。

「私が幸せにしたいのはご主人、ただ一人だよ」

首を横に振る毘沙門天の代理。

(ねぇ、ナズ、私、とっても嬉しいのですけど、貴方はもっと、もっと認められるべきです。

ねぇ、私、私なんかが主人であるために貴方が認められないのはイヤですよー!)

「……ご主人、よもやつまらないことを考えてはいないだろうね?」

星に抱きつくナズーリン。

「私が仕える主は寅丸星だけ、私の恋人も寅丸星だけ。

頼むよ、これだけは忘れないで」

恋人の告白に思わず力を入れて抱き返す寅丸。

「ご、ご主人、ちょっと苦しいよ!」

「ナズ! ナズ! ナズ! 私のナズーリン!!!!」

「だから、苦しいってっ!!」

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此度はいろいろヤリすぎです。
小ネタを盛り込んでいますが自己満足ですな。フランとレミリア、紅魔館一行のあたりは力入れています。脳パチェは古いネタが多いです。小悪魔はこんなキャラづけで行くことにします。パッチェさんは本当はカッコいいんです。そんな話も書きます。多分。

慧音先生は、なんだか、うん、まぁ、そういうことで。

実は幼女のアリスが一見カッコよく見える、これは魔界探索編の布石です
(だから風呂敷広げるなって)。

椛は文が好き過ぎるんです、だからあんなこと言うんです、多分、うん、多分。

ナズはワリを食うことが多いですが、紅川が最も贔屓しているキャラのはずです、多分。

ご覧いただきありがとうございます。
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倍は返します、多分。

紅川寅丸

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