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ナズーリン! 早天の霹靂(3)

「探し物が得意なネズミがいると聞いたのよ。

オマエのことなんでしょ?」

「さあ、どうだろうかね」

冷静さは取り戻したが、この無礼な小娘にまともに付き合うつもりはないようだ。

「あら? オマエがナズーリンじゃないの?

ネズミの耳と尻尾、グレーの変なスカート、生意気で小狡そうで、性格の悪さがジュワッとにじみ出ている顔。

絶対、オマエだと思ったのに」

歯に衣を着せぬ物言いとはこれか。

眉間に皺が寄るナズーリンとは対照的に笑いをこらえているてゐ。

「参考までに教えてくれ、それは誰から聞いたんだい?」

「黒白の魔法使いの娘よ」

「きゃはははー!」

ウサギ妖怪はこらえきれずに腹を抱えて笑いだした。

霧雨魔理沙はナズーリンに恩義を感じているし、借りを返したいとも思っている。

だが、ひねくれ魔法使いは素直に気持ちを伝えることが苦手。

聞かれれば照れ隠しで悪態の一つもついてしまうのだろう。

「ふん……確かに私がナズーリンだ」

情報の出処があの魔理沙であるなら諦めるしかない。

そんな関係なのだから。

「やっぱりそうなのね? 勿体つけるんじゃないわよ、小物のクセに」

どうにもいちいち癇に触る言い回しだ。

しかし、先ほど友人に頭を冷やしてもらった賢将が感情を昂ぶらせることはない。

「その小物に何用かね? さっさと本題に入りたまえ」

「そうね、まずは私の探しているモノが何なのか、当ててみなさいよ」

腕組みし、ふんぞり返っている。

「結局は探し物かい? もう少し謙虚になれないのかね」

「妖怪のくせに口答えするの?」

「面倒な娘だな」

(妖怪、妖怪と鬱陶しい。

まだ時間はあるが、長いこと付きまとわれたら寺の催しに間に合わなくなる。

どうするかな……)

考え込んでいるナズーリンの頭の中にチーズの塊がパカッと浮かんだ。

「……よし、はたて君、ひとっ飛び、山の神社に行って巫女さんを引っ張ってきてくれ」

そばに控えていた鴉天狗に声をかける。

「私が呼んでると言ったらイヤがるだろうから、てーゐが困っていると言ってくれ。

そうしたら必ず来てくれるはずだ」

「了解しました!」

デスクの要請に迷うことなく発進態勢を取る。

ナズーリンが慌てて声をかけた。

「あ、はたて君! さっきのこと、気にする必要はないからね」

帽子のことだ。

「全然平気ですよ!

だって、デスクが私のために本気で怒ってくれたんですもの。

ちょっと感激しちゃいました!」

涼やかな笑顔を見せ、素晴らしいスピードで飛んでいった。

この師弟、事ある度に絆が深まっていく。

(まいったなあ、はたて君、キミはどんどんイイ女になっていくよ)

『ナズリンには勿体無いくらい出来たお弟子さんだね』

ついさっきまでヒーヒー笑っていたウサギ妖怪が珍しく優しげな表情で言った。

この小悪妖二人、ほとんど口を動かさず擦過音のような小声で圧縮会話ができる。

共にずば抜けた聴覚と理解力を持っているから可能なのだ。

その場のいる他者は『シュシュ、シシーシ、シュルシュル』くらいにしか聞こえない。

『羨ましいかい?』

『うん、ちょっとだけね』

『へ?』

てっきりいつものように、憎まれ口が返ってくると思ったナズーリンは拍子抜けした。

『ナズリン、あのコ、大事にしてあげなよ』

『ふふん、キミに言われるまでもないさ』

何につけ辛口な親友が姫海棠はたてを認めたようだ。

ナズーリンの気分が悪かろうはずがない

『ところでナズリン、なんで早苗ちゃんを呼ぶのさ』

『私の勘が告げているんだ、この組合せは面白くなるってね』

『ワタシを出しにして……まあいいけどね』

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