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ナズーリン! 早天の霹靂(6)

「今日は趣向を凝らした【流しそうめん】なんだ、たんと食べてくれたまえ。

探し物とやらも腹拵えのあとで構わないよね?」

てくてく歩く一行を振り返りながらナズーリンが説明する。

「【流しそうめん】? 何それ?」

いつの間にか早苗の隣を歩いている天子が聞いた。

彼女の興味はすでに未知の単語にシフトしているようだ。

「そうめんを知らないんですか?」

「そうめんくらい知っているわよ、うどんの細いやつでしょ」

「プスーっ、それは冷や麦ですよ」

早苗が口に手を当ててワザとらしく笑う。

明らかな嘲笑に天子が噛み付く。

「冷や麦もそうめんも同じ様なモンじゃない!」

「見た目は似ていますけど、製法が違うんですよ、知らなかったんですかあ?」

根は優しいお山の巫女さんだが、いきなり説教臭いことを言われたから面白くない。

全てを見下している天人娘に対しては最初からコンバットモードになってしまっている。

「そんな下賎な食べ物、天界には無いのよ!

地上でもまだ食べたこと無いし。

私が聞いているのは【流し】の部分よ!」

「はいはい、高貴な天人様に下々の営みをご説明しましょうかねー」

「くっ……」

『珍しいな、早苗が意地悪モードだ、これはやはりキミの影響か?』

ナズーリンがてゐにシュルルっと囁く。

『あのね、早苗ちゃんは優しい子なのにアナタがこんな妙な場面に突然引っ張り出すから混乱してるんだよ?』

『ふふ、あの娘に関しては【因業辛口厭世詐欺ウサギ】が随分と庇うじゃないか』

『その名称、もう一回言ったら蹴っ飛ばすからね?

今度は全力のマイティキックだからね?』

『まぁ、そんなに尖るなよ、この組み合わせは面白そうだろ?』

『どうでもいいけど、ワタシを巻き込まないでよ』

『そう言うなよ。

私とご主人様の幻想郷スウィーツライフを維持するためにはキミには頑張ってもらわねばならんからね』

『その労力に見合うワタシの取り分は保証してくれるの?』

『そうだね、キミの人生をオモシロおかしく愉快なモノにすべく、可能な限りのサポートするよう、私、ナズーリンは、前向きに取り組んでいくための手だてを積極果敢に模索することを行動規範の第一優先にすべきだと考えることにも吝かではないな』

『……ワタシ、帰る』

『まぁ、待てよ、あの二人、組み合わせて安定させれば、いろいろ面白いはずなんだ、多分』

『アナタの目論見、いつでもうまくいくとは限らないからね』

「縦半分に割り、節を抜いた竹を組み合わせて水路を作り、高いところから水を流すんです」

「それから?」

「その水流に乗って一口量のそうめんが流れてきます」

「なんなの? 食べ物が水に流れてくるの?

それを見ているだけ? 何が楽しいの?」

「見ているだけなわけないでしょう。

自分の前に流れてきたそうめんをタイミング良く箸で掬うんですよ」

「バカみたい、普通に食べればいいじゃないの」

根気よく説明しているつもりなのに【返し】がいちいち神経を逆なでする。

今の早苗の心境を多少ダーティに表現すると……

『優しくしてやりゃあ、チョーシん乗りやがって! ひんむくぞ!!』

となる。

「……暑い夏、涼感と遊び心を満たすための趣向です。

まー、心にゆとりがないと理解できないかもしれませんね」

「私の心にゆとりがないって言いたいの?」

「ああ良かった、言いたいことが初めて正しく伝わったみたいです」

事実上初対面の主役級美少女二人は親交を温め(ヒートアップ)ながら道を行く。

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