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ナズーリン! 早天の霹靂(12)

支度を終え庭に戻った早苗はナズ&てゐを見つけ戸惑っていた。

「あの、お二人とも、どうなさったんですか?」

「早苗、天界はとっても高いところにあるんだよ。

ただ空を飛べるからってだけで簡単に行けるところじゃない。

今のオマエじゃ無理だよ」

答えたのは諏訪子だった。

「それじゃ、どうやって行ったら……」

「このナズーリンに手立てがあるらしいよ。

頼んでみれば?」

「うええええ〜〜」

反射的に超歪曲顔面になった風祝。

「早苗、その顔やめなさい、ヒドいよ」

【親】が嘆くほどの変顔だった。

「さあ、私と共に行こうか〜?」

ワザとらしくニヘラ〜、と笑うイタズラネズミ。

「ううう……」

唇を噛みしめ、泣きそう。

そんなに嫌なのか。

「早苗ちゃん、ワタシも一緒に行くからさ」

「てゐさまが? ありがとうございます!

それならなんとか我慢できそうです」

今度はパアーっと華やいだ表情。

『私、エラく嫌われたもんだね』

『自業自得だって何度も言ってるじゃん』

シュルルルっと。

「諏訪子さま、それでは行ってきます」

「うん、しっかりやっておいで。

ホントに欲しいモノは力ずくでモギ取ってくるんだよ」

物騒なエールだが、洩矢諏訪子は元々かなり荒っぽい神様なのだ。

「早苗どの、比那名居天子の居場所なんだが」

「天界なんですよね?」

「そうだね、でも天界は広い、どこだか分からない」

「はあ? 手立てがあるって言ったじゃないですか?

まったく、いっつもいい加減なんですから!」

「ヒドいなぁ、まだ話は終わっていないだろう?

居場所を知っているヒトとコネがあるんだよ。

早苗どのも会ったろ? 永江衣玖どのだ」

早苗も思い出したようだ。

「そして天界に行くためにナイスガイの協力を仰ぐつもりだ」

「もしかして雲のオジサマですか?」

「その通り、彼ならかなりの高度でも難なく飛べるからね」

「シブくてカッコいいですよね!」

「おっ? キミの好みなのかい?」

「厳密にはそうではありませんが、素敵だなーと思っていました。

あの遠くを見る眼差しは、厳しくも優しい孤高の狩人です。

きっと、気の遠くなるような長い時間、遙か彼方にいる獲物の隙を辛抱強く待ち続けているんです」

「厨二病の発作かね?」

「……どーしていちいち茶化すんですか!?」

「あ、すまん、つい、ね。

だが、キミの男を見る目は確かだよ。

雲山は滅多にいない【本物の漢】だからね」

命蓮寺方面へふよふよ飛んでいるナズ&てゐと早苗。

「早苗ちゃん、大丈夫?」

それまで黙っていた因幡てゐが早苗の手を握りながら問うた。

「てゐさま、お気遣いありがとうございます。

……ホントはよく分からないんです」

この若い娘の心が大きく揺らいでいるのは確かだ。

それでも行動を起こした。

【保護者】に半ば強制されたとは言え、自分で動いたのだ。

不安定な新米現人神をネズミもウサギもそれぞれのやり方でリラックスさせようとしていた。

命蓮寺では守り守られし大輪が出迎えてくれた。

「雲山が珍しくずっとお寺のそばにいるんだよ。

聞いても『なんとなくだ』としか言わないしさ。

もしかしてアンタ達を待っていたのかな?」

雲居一輪は珍しく楽しそう。

「雲山、またお願いしたいんだ、実は」

ナズーリンの台詞はグオグオと遮られた。

「彼は『みなまで言わなくて良い』と言っている」

「今度はちょっと遠出になりそうなんだけど、いいのかい?」

グオウムム

「……ふむふむ

『友を助けたいと願うモノが私の力を必要としている。

理由としては十分すぎる』と言っている」

かっけー! それに察しの良さがハンパない。

「と、友達なんかじゃありません!

便宜上の措置で友達の振りをするだけですよ!」

早苗がわたわたと言い訳をする。

ググムム

「『それもまた良し!』だってさ」

雲山に乗った三人は程なく永江衣玖と合流した。

きっと、このお目付役も状況を読んで近い空域にいたのだろう。

「早苗さん、この度は申し訳ございません。

そして、ありがとうございます」

風祝がやって来た理由を聞かされたリュウグウノツカイは深々と頭を下げた。

「自分勝手ではた迷惑な娘ですが、根は優しくて淋しがりなのです。

何とぞよろしくお願いいたします」

もう一度頭を下げた。

早苗は自分の行動の是非も分からないままなので返事のしようもない。

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