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ナズーリン! 旧地獄のズバット(2)

「コソコソするのは性に合わないんだがな」

「お楽しみにたどり着くまでのちょっとした手間だと思いたまえよ」

勇儀は大きな麦わら帽子が煩わしそうだ。
だが、鬼の中の鬼、星熊勇儀が人里の往来に突然現れたら大騒ぎになってしまうだろう。
見間違えようのない一本角は隠すべきだ。

寺子屋に上白沢慧音を訪ねる。
今日は半ドンのはずだ。
人里に用事のあったムラサに先触れを頼んでおいたので、空振りにはならないだろう。

『パルスィさんに慧音さんを紹介したいです』

もっともな理由で寅丸星とパルスィもついてきている。

(おい、この二人はどうするんだよ!)

勇儀が小声でナズーリンに問う。
慧音と話そうとしている内容が内容だけに相方に聞かせる訳にはいかない。

(心配無用だ、任せておいて)

一方のネズミのエロ将は余裕綽々。

寺子屋では上白沢慧音と藤原妹紅が待っていた。
妹紅と慧音は半同棲状態なので意外でも何でもないが。

ナズーリンと寅丸星がそれぞれを紹介する。
そして、それぞれが互いに挨拶。
ナズーリンが、けね×もこに旧地獄の来歴や二人との経緯を説明し始めた。

その時、もんぺ娘を見つめていたパルスィが呟いたのが冒頭のコンテンツだった。

『勇儀、あの妹紅って娘、危ない……とっても危ない』

ナズーリンが本日の訪問目的を語り始める。

「勇儀どのは、今の人間が【地獄】をどのように認識しているか、そしてその認識の変遷について慧音どのの説を聞きたいのだそうだ」

鬼とは違い、こちらはごく自然に嘘をつく。

「ご主人様、この話は時間がかかると思う。
その間、パルスィどのと妹紅どのと一緒に、スゥイーツなど楽しんできてはいかがかな?」

名案でしょうと、小首をかしげて見せるネズミの従者。

「ソレは楽しそうですね。
ねえ、お二人とも、甘味処へいきませんか?
オススメのお店があるんですよ」

寅丸星の提案に妹紅とパルスィは相方に目で問いかける。

『行ってもいい?』×2

慧音も勇儀もゆっくりと頷いた。

ほぼ初対面の不死人と橋姫。
得体の知れない相手に、正直不安はある。
だが、共通の知人である寅丸星は信頼している。
この穏やかな武神代理は居るだけで場を和ませる。

「さあ、さあ、参りましょう」

白髪と金髪のマーベラスガールズの手を取り、楽しそうに歩き始めた寅丸星。

「では、いってきますね」

「いってらっしゃーい」

「これはまたあっさりと片が付いたな。
ナズーリンよ、オマエ、やるもんだな」

「ふふ、【任せて安心ナズーリン】なのさ。
このくらい造作もないね」

三人の美姫を見送ったあと、鬼のつぶやきにネズミが胸を張って答えた。

「学ぼうとするモノには常に扉を開いているつもりです。
星熊勇儀さん、地獄の話でしたね。
少し長くなりますけど、よろしいですか?」

こぢんまりとした和室に通された勇儀とナズーリンに根っからの教師、慧音は嬉しそうに語りかけた。
対外的には丁寧な対応をする上白沢慧音。
胸襟を開ける相手になら本来の男っぽい口調が出るのだが。

「慧音どの、すまない、ちょっと嘘をついた」

「うん? どういうこと?」

「実は……」

ナズーリンから本当の訪問理由を聞いて眉をひそめる人里の守護者。

「なんだ、地獄の鬼が人間に関心を持ってくれたのかと思ったのに」

「まぁ、その話はまたいずれ。
今日のところは慧音どのの先進的かつ画期的な技巧について解説をしていただきたいのだ」

「そうそう、頼むよ慧音先生」

旧地獄の顔役がニカッと笑う。

「あなた方は、まったく……
私のその方面は完全な独学ですよ?
参考になるとは思えないのですが」

「堅苦しいなあ、先生、もっとざっくばらんにいこうや」

「そう言われましても」

「アンタはこの私をまったく恐れていない。
覚悟ができているんだろ? 全てにおいての覚悟が。
肝の据わり方がハンパじゃないってことはその目を見りゃ分かるさ。
うん、気に入った、遠慮は無用としてくれよ」

鬼の四天王の一角は、人里に隠れていた女傑を大いに認めたようだ。

「まー、私も性技には自信があるがね。
星熊セイギと名乗っても良いくらいだな」

「なるほど、確かにパルスィさんを見ればその言は間違いないと分かります。
勇儀さんに夢中でとても満たされ、輝いていますね。
あれほど艶やかな女性は滅多にいません」

「そ、そうなのかい?」

「女性としての理想の姿の一つでしょう。
恐れ入っています」

「そうか……なんだか照れるなぁ」

冗談混じりに言ったつもりなのに、パルスィを引き合いに出され、縮こまってしまった鬼の御大将。

「前に私も言っただろ?
パルスィどのは、どんな世界にいても最上級と言われるんだよ」

「オマエの言うことはどうにもな……
だが、慧音先生のお墨付きをもらったのなら話は別だ」

「おい、随分と失礼じゃないか?」

ネズミ妖怪が鬼の大将に突っかかる。

「ところで、貴方のその長く鋭い爪が気になりますね」

慧音が勇儀の手先を指さす。

「これか? 鬼の爪だからな、すぐ伸びてしまうんだよ。
大事な時にはそれなりに気を使っているがね」

「だが、それでは先には進めないでしょう。
……面倒でも毎日手入れすべきだ。
愛するものを傷つけたくはないだろう?」

調子が出てきた慧音は本来の口調になってきた。

「ん、まあ、そうだが」

「勇儀さんは、指をしゃぶらせないのか?」

慧音が勇儀を見据えた。

「指を? どういうことだ?」

「指には神経が集まっているからとても敏感だ。
そして指先で口腔内を蹂躙するのは、支配感の極点の一つだ」

「パルスィの口に指を突っ込み、舌を、歯を、いじり回すのか……
たしかに指先が気持ちよさそうだ」

「そしてこの行為は攻守の逆転が容易だ」

「なるほど! パルスィの細くしなやかな指が私の口の中で怪しく蠢くのか……
う、うわっ! ……ぞくっとしたぁ」

「つまり鋭い爪は邪魔なのだ、分かるね?」

「了解だ! 理解した!」

やがて興が乗ってきたのか身振り手振りが激しくなる慧音。
はじめのうちは『ほうほう、なるほど』と聞いていた鬼とネズミの二人だが、徐々に顔が赤らんでいく。
この絶倫教師、色々とレベルが高い。

慧音の指が軟体動物の触手のように妖しく動く。

「このくらいは動かせるだろう?」

「え!? アンタ、関節あるのか?
なんだ、その動きは?」

「こんなもの訓練次第だよ。
例題を参照してもらうのが早いかな、ナズーリンさん、ちょっとこっちへ来て」

請われるままに慧音の脇に移動したナズーリン。
少しだけ緊張している。

「慧音どの、お、お手柔らかに頼むね」

「アナタにこんなことをするのは初めてだよね?
もちろん、加減はするから大丈夫」

そう言ってナズーリンを抱き寄せる慧音先生。
ネズミ妖の耳元に熱い息を吹きかけ、何やら囁きながら顔や首筋を撫で回す。
そしてその手は服の中に潜り込んでいった。

「あ、あふ、け、慧音どの、そ、そこは……」

もぞりもぞり、と怪しげな手の動き。

「大丈夫、大事なところには決して触らないからね……
この可愛い体に秘められ、隠された本当の宝物……
私にだけ見せておくれ…… なぁ、いいだろう?……」

口づけするほどに顔を近づけ、ねっっとり、と話す。
そしてその手指はリズミカルに小さな体を弄りまくっていた。

「あ、あん、ふぐっ、はあん……そこ違うの……
け、けーね、どの、そのさき、もっとぉ」

目を潤ませたナズーリンが切なそうな喘ぎ声で続きをせがむ。

「それはダメだね、寅丸さんの信頼を裏切るわけにはいかない」

「そんなぁ……どうして……」

ナズーリンは今にも泣きそう。

「う、上には上がいるのか……
スゴい! 格が違う!」

変態ネズミをいとも容易く陥落させた性豪の技に勇儀が驚嘆する。

その後も上白沢慧音の特別講義は続いた。

『そんなほじくり方、やりすぎだ!』
『そこまでしたらいくらなんでも気が狂う!』
『自分から言うまで【おあずけ】なんて耐えられない!』
『妹紅という娘、あんなかわいい顔して、そんなことやこんなことを施されているのか!』
『うううーー! 私は未熟だー!』

星熊勇儀の精神は倒壊点に近づきつつあった。

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