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ナズーリン! 旧地獄のズバット(3)

「次は旬の果物の一番美味しい食べ方についてだけど。
……聞きたい?」

慧音先生がスケベ生徒二人に悪戯っぽく聞いた。

「あん? 果物? いきなりなんだ?」

「あっ、そう言うことか、ぜひ聞きたい!」

突然食べ物の話題になって理解できない勇儀、一方、すぐに意図を汲んだナズーリン。

「では二人に問う、果物の味とは?」

「んー、甘くてちょっと酸っぱくて、たまに苦くて渋いかな」

「複雑で奥深い甘味だね」

「その通り、それは女性の【味】そのものだ」

「ほうほう、なるほどもっともだ」

「さて、ここに大粒の苺が十個あったとする。
そして全裸の相方がいる。
諸君はこの苺をどのように食すべきかな?」

『ごくりっ』×2

教師から生徒へ出題。
苦心して回答する変態生徒二人。

※注※ サイトの規約上、詳細は記述できません。
申し訳ございませんが、妄想力で補ってください。

「ふむ、勇儀さんは65点。
ナズーリンどのは80点だな。
私ならこうする、まずは自分で苺を含み、軽く咀嚼したあと……」

※注※ サイトの規約上(以下略)

「うええええーー!!」

「恐れ入ったー!」

「二人とも、単なる技巧に走って悦にいってるようでは高みには行けない。
どうすれば相手が喜ぶのか、心地よいのか。
想像力を働かせるのだ。
相手の幸せこそが己が幸せ。
諸君の相手はそうするだけの価値のある存在だろう?」

コクコクと素直に頷く勇&ナズ。

「うむ、そうだね。
だが、大切にするとはいっても、甘やかして言いなりになれば良いと言う訳ではない。
相手をもっと高い次元の幸せに導いてやるために、そしてなにより自分が一緒に幸せになるための道を全力で探す努力を怠ってはならない。
我々の想い人、生涯を賭けると決めた想い人は、共に高め合える無二のパートナーなのだ!
そうではないか? 諸君!!」

拳を振り上げて訴える熱血教師に二人の生徒は、ちぎれるほど激しく頷く。

「ふむ、では、諸君に大事なことをもう一つ伝えよう」

厳しい顔つきの慧音先生。

『ゴクリッ』×2

まさか、いよいよ真髄が語られるのか。

「食べ物で遊ぶとバチが当たるからね?」

「……なんじゃそりゃー!」×2

一方、寅丸星、水橋パルスィ、藤原妹紅、恋する三人娘の行進。
甘味処に向かう三人を誰もが振り返る。
妍(けん)を競う娘たちが【恋して幸せ乙女の無敵モード】を発動させているので、追加のボーナス点がバンバカ入ってくる。
星を真ん中に、右にパルスィ、左に妹紅、誰もこの進軍を止められない。

暖簾をくぐった三人に引き寄せられた里の娘たちが甘味処に詰めかける。

『あの三人、もっと見ていたい!』

寅丸の対面に妹紅とパルスィが並んで座る。
二人を気遣い、話題を均等に振ろうとする毘沙門天の代理。

「妹紅さんは餡蜜ですか? 美味しいですよねー。
パルスィさんは何にします? あ、ゆっくり選んでくださいね。
うーん、私はどれにしようかしら、迷っちゃいますねー。
どれも美味しそう……
そうだ、みんな違うモノを頼んで、ちょっとずつ味見をしませんか?
いかがですか?」

寅丸の提案に二人はチラチラと相手の様子を伺っている、そして。

「私は構わないわ、んー、ところてんにしようかな?」

「甘い黒蜜もいいですし、酸っぱいのも美味しいですよね、両方いっちゃいましょうか?」

パルスィの応えを寅丸がフォローする。

「そうね、ところてんも食べてみたいね」

「それでは私は抹茶パフェにします。
すいませーん! 注文お願いしまーす」

妹紅の同意も確認し、女給を呼ぶ。

「その……パル、スィさん、は普段どんなことをしてるの?」

「えと、地獄の竪穴の監視かな、今はそんなにキチンとやっていないんだけど」

地上と地下の行き来がかなり緩くなっている最近ではフリーパス状態だったから。

寅丸星の仲立ちで少しずつ打ち解けていくモコパル。

翠玉(エメラルド)と言う綺麗な宝石を見たことがある。
だが、この橋姫の緑眼はそれよりも美しい。
ずっと見つめていたら虜にされてしまいそうだと妹紅は思った。
内在する妖しく危険な力が伝わってくる。
そして、なにやら同類の香りがする。
擦れて傷つき焼け爛れた心を持っているはずだ。
なのにその陰惨な部分をうまく制御している。
とても気になる。
もっと色々聞いてみたいが、この甘味処は人が多すぎる。
だから、あと、ひとつだけ。

「今はどうなの?」

「幸せよ」

何が、とも聞かずにパルスィは答えた。
互いに気になっていることが一致しているので多くの言葉は必要ないのだろう。

「そうか、良かったね」

「妬んでいただけで自分からは何もしなかったし……
運が良かっただけかも……」

「そうなんだ、私も拗ねていただけだった。
運か……私もたまたまだったのかな」

運と言う単語に引っ掛かりを感じた妹紅。
もし運が無かったら自分はどうなっていたんだろう。
もし慧音が自分を救ってくれなかったらどうなっていたんだろう。
急激に体温が奪われるような恐怖を感じた。

「お二人とも、辛い思いをして来られたのですよね。
でも、今は報われて良かったです」

寅丸星が優しく告げたが、素直には受け入れられない妹紅。

「でも、辛い思いをしたまま報われずに死んでいくモノもいるよ」

きっとそのほうが多いはずだ。
その無念は何処へ行くのか。
これまで、自分はどれだけの妖怪を屠っただろう。

「そうだよね」

同意して目を伏せてしまうパルスィ。
自分はどれほどの人間を手に掛けたろう、不条理に。

「そこから先は業(カルマ)のお話をすることになります」

沈み込んでしまった二人に慈雨の声がおりてきた。

「実は私、こう見えましても仏徒でして、仏神の代理でもあるんですよ?
ありがたい説法、いっちゃいましょうか?」

先ほどの『ところてん、両方いっちゃいましょうか?』と同じ口調。
あまりの軽い言い方に拍子抜けしてしまう業の深い二人。

その時ちょうど注文したスイーツが運ばれてきた。

「どんなに悩んでも過去には戻れません。
これからでございますよ、お二人とも。
おいしそー! さあ、さあ、いただきましょう!」

「でも……」

「今日はその業にご自分で気づかれたいうことで大収穫でございます。
答えをお求めになる気持ちは分かりますが、慌ててはいけません。
ゆっくり確実に歩いてまいりましょう、私もご一緒しますから……ね?」

そう言って柔らかく笑った。

「……星さん、貴方、神様みたい」

「うん、後光が見えてきた」

「え? そ、そうですか? あははははは」

ここは威厳を持って、すかさず仏の道を説く流れのはずなのに、この少し抜けた感じ。
神の代理人として良いか悪いかと問われれば、悪いのだろう。
だが、そんな駆け引きを笑い飛ばす陽光のような包容力。

釣られて笑いだす妹紅とパルスィ。

結局そのあとは他愛のない世間話に花が咲いた。

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