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ナズーリン! 旧地獄のズバット(10)

「さーて、古明地どの、本題に移るとしようか」

「さっきもそう言ったじゃないの」

「いや、失敬、先ほどのはおまけ、うん、でも、結果的には本題に近かったな、満足したしね。
だが、これからが本題、超本題だ」

息を整えたナズーリンは仕切り直すらしい。
明らかに脱線し、トンでもないことになってしまっているが。

「キミの妹のことなんだが」

「え?」

「さとりさまー、こいしさまがお帰りですよー」

ノックも無しに扉が勢い良く開いた。
顔を出したのは地獄鴉の霊烏路 空、通称お空。

「お空? ……こいしが戻ってきているの?」

「お姉ちゃああーーん!」

扉の陰からパタパタと駆け寄ってきたのは紛れもなく古明地こいしだった。

「どーーん!」

ぐわらっしょい!

飛びかかるような勢いで抱きついたこいし、椅子に座ったままのさとりもろとも派手にひっくり返った。

(おやまあ、なんとも激しい愛情表現だね。
うん、やはり薄紫か、可愛いな)

倒れた拍子にさとりのスカートは捲れ上がってしまっていた。
あらかじめ子ネズミに確認させていた通りの色だった。

「う、うう……」

頭を押さえ呻いている。
結構強く打ち付けたようだ。

「さとりさまー! 大丈夫ですか!?」

お空が二人を抱き起こす。

「お姉ちゃん、ただいまー!」

同じようにひっくり返ったのに、こいしは all in one piece(まったくの無傷)だった。

「こいし……あなた……
お客様もいるのよ……いたた」

痛みを堪えながら、ちょっと恨めしそうな目で妹を見つめるその顔は、そのテの趣味が無くとも【煽られる】

(ほおう、それだ! 予想通り良い表情だ、これはタマらないな。)

いつものように場に関係なく不謹慎な感想を抱くエロ将。

「あれ? ナズーリン? どうしたの?」

「キミの姉上を誘惑したところだ」

顔を赤らめ息づかいの荒い姉を見て慌てるこいし。

「お姉ちゃんをイジメたらダメだよ。
ねえ、お姉ちゃん、ナズーリンはとってもエッチなんだよ、気をつけて!」

「……その忠告、もう少し早めに欲しかったわね」

「ええー! もしかして!」

「ああ、そうだ、キミの姉上は私がイタダいたよ」

その場を面白くしようとするナズーリンは悪ノリした。

「うううー、お姉ちゃんの初めてはワタシのモノだったのにー!」

とても悔しそうなこいし。

「ふふん、モタモタしているからいけないのさ」

「で、どうだったの? 良かった?」

「最高だ、久しぶりに満足させてもらった」

「くやしーー!」

「……ねえ、ちょっと。
冗談に決まっているでしょう?
私を抜きでいい加減な話を広げないで」

さとりがうんざり気味で割って入った。
変態ネズミはともかく、同じレベルでかけ合う妹が少し心配だ。

世の中に絶望し、自ら目を閉じた頃からは随分と変わってきた。
異変以降、明るく活発になってきたのは確かだった。

「こいし、おかえりなさい」

「はい、ただいま!」

「なんだ、思っていたよりずっと仲が良いんだね」

ナズーリンは当てが外れたように聞いた。
もっとギクシャクしているものだと思っていたから。

「そうかしら?」

(こいしは気持ちが前に出過ぎだな、制御できていないくらいだ。
さとりどのは逆に引き過ぎだ、頭で考えすぎる嫌いがあるからか。
もっと色々な場面で触れ合って話し合えば良いんだ。
地霊殿のこの部屋だけの交流ではあまり進展がないだろう。
うん、もっと二人で外へ行けば良いんだろうな)

ナズーリンの分析は終了し、改善への方策も出た。

「お姉ちゃんは外に出たがらないんだよ」

「こいし、キミ、私の心を読んだのか?」

「え? まさかー、ワタシ、第三の目、閉じてるんだよ?」

(偶然か? それとも……まぁ、今はいいか。
外出の段取りを手伝ってやるかね)

「さとりどの、少し妹と外へ遊びに行きたまえ」

「……無理を言わないで。
私がこの地霊殿を空けるわけにはいかないわ」

「それだけが理由なの?」

「……そうよ」

嘘だった。
能力のせいで誰からも嫌われ拒絶されてきたさとりは外が【怖い】。

「こいしと一緒なら大丈夫だよ」

「そうだよ、外ならワタシがお姉ちゃんを守ってあげるよ」

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