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紅魔の騎士ナズーリン!(7)

「フラン……無事でいて」

「水の精霊も風の精霊もこの状態では制御できない!
力が足りないのよ! 私、こんな時に何も出来ないなんて!」

吸血鬼の姉と魔法使いは大木の下、魔法障壁でとりあえず雨風を凌いでいる。
それぞれに今の思いを口にする。

そのクールドライな言動に隠れているがパチュリー・ノーレッジは【家族】に深い愛情を持っている。
親友の妹の危機に無力な自分を激しく責め立てていた。
そんな彼女にいち早く気づいた姫海棠はたては捜索隊に加わるより、この場でのフォローを選択した。

「パチュリー館長、落ち着きましょう」

ぎゅっと抱きしめるはたて。
少しだけ落ち着いたパチュリーが疑問を口にした。

「……はたては、その、な、ナズーリンが心配じゃないの?」

実はしたくはなかった質問。
しかし、とても気になったので聞いてしまった。

「もちろん心配です、でも今、私が出来ることはありません。
何かあれば私が一番早く飛べますからここにいるべきだと思います」

魔法で出現させた机の上には三つの魔石がある。
捜索班には対になる魔石をそれぞれに持たせてある。
強く握って念ずれば片方の魔石が光りだす仕組みだ。
その時に緊急発進するのがはたての役割である。

「それにナズーリンデスクが無策のはずがありません。
あの方は知恵と勇気の具現ですから」

はたては賢将に心酔しているため、ある意味ナズーリンの【強さ】しか目にしていない。
ほとんどすべてを理解している寅丸より楽観的になるのも仕方のないことであった。

そんなはたてにちょっとだけ口を尖らせる図書館魔女。

「パチェ、あれは使えないの?」

レミリアがパチュリーに向かってボールを掴むようなジェスチャーをしている。

「あれって? 水晶球のこと?」

水晶球。
魔女が所有する検索アイテム。
昔、万が一フランが外に出てしまったときに備え、マーキングをしてあった。
そのことを今ではすっかり忘れていたのだ。

「あれはとても広域探査なのよ、ここで役に立つかどうか……」

色々と自信を失いかけているパチュリーが弱々しく答える。

「館長! 今はそれでも必要だと思います! きっと役に立ちますよ!」

「パチェ、お願いよ……」

はたてが力強く後押しし、レミリアが懇願する。

「でも、水晶球は紅魔館、私の部屋の隠し箱の中よ。
分かりにくい場所なの。
私か小悪魔でないと見つけられないわ。
いくらアナタでも行って持って帰ってくるには相当の時間が……」

そう言いながら紅魔館の方角へ顔を向けたパチュリーの目が見開かれる。
雨の中、小悪魔が小走りでこちらに向かってきていた。

ずぶ濡れの小悪魔が息を切らせながら到着する。

「丁度いいわ! はたてと一緒に紅魔館に、私の部屋へ行って!
水晶球を持ってきて!」

珍しく大声で命令するパチュリー。
これで少しは時間が短縮できる。

「パチュリーさま、ここに」

小悪魔が手提げカバンから取り出したのは当にその水晶球であった。

パチ、はた、レミはあんぐり。

「妖精メイドさんから状況を聞きました。
もしかしたら必要になるかもと思いまして」

息を整えながらも努めて平静に答えた。

「無断で持ち出しましたこと、お叱りは後ほど如何様にでも。
ですが、これが必要なら一刻も早くお使いください」

そして恭しく魔法の珠を差し出した。

「……スペカは無しにしてあげるわ」

「は?」

パチュリーは水晶球の前で集中を始めた。

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