紅川寅丸とTeam東方不敗の作品やご案内

紅魔の騎士ナズーリン!(9)

パチュリーが叫んでからは早かった。
二人はそれほどの時を置かずに救助された。

「レディ、ご心配をおかけしました。
もちろん妹御には傷一つございませんのでご安心ください」

こんなになっても小芝居を続けようとするネズミ妖怪。
自分は支えが無ければ立てないほどの傷を負っているくせに。

「よ、良くやってくれたわ」

レミリアは本当は抱きついて感謝したいが、こう言われれば意地を張っているネズミに付き合うしかない。

毛布に包まれたフランを美鈴がしっかりと抱きかかえている。

「騎士さま、ありがとうございました」

そう言うフランの声は安堵と疲労で小さい。

「皆も、本当にありがとう。
いずれ必ずお礼をさせていただくから」

レミリアは、はたて、寅丸、そしてムラサに向けてほんの少しだけ頭を下げた。
そして改めてナズーリンを見る。

「【紅魔の騎士 ナズーリン】このたびのこと、まことに大儀でした」

紅魔の騎士はゆっくり片膝をついて応えた。

「ありがたきしあわせにございます」

「良かった」

「ご主人、心配をかけたね」

紅魔館組が引き上げた後、寅丸星はナズーリンを抱きしめていた。

「良かった」

「ごめんね」

「良かったぁ」

「うん(いつまでこのままなのかな……)」

「あのさー、早く手当をした方がいいんじゃない?」

キャプテンがたまらず口を挟んだ。
はっとした寅丸がムラサに首を向ける。

「む、ムラサ、手間をかけさせてしまいましたね」

「いやー、私が見つけたんじゃなくて良かった。
大事にならないで良かったよー」

「ナズーリンのために、ホント、ありがとうございました」

「なーに言ってんだよ! 水臭い!
あら? それこそ今のワタシは【水臭い】ってかー!?」

カラカラと笑った。

はたては今回の騒動のあらましを頭の中で整理しようとしていた。
だが、デスクから『私がメインになった事件は記事にするな』と日頃から言われているので諦めた。

(残念ですが、デスクの武勇伝は私の心の事件簿にだけ記録しますかね……えへへへ)

「お嬢様、あの方、ナズーリンさんは泳ぎが苦手なのにあの状況で飛び込んだそうです」

「咲夜、それ誰から聞いたの? もしそうだとしたら全く無謀、蛮勇だわ」

「え? そんな仰りようはヒドイと思います。
フランドール様を助けるために飛び込んだんですよ?」

「そうね、あの知恵者が無策のはずはなかったと思うけど、なかなか出来ることではないわね」

「お嬢様……」

「分かっているわよ、分かっているって! そんな顔しないで!
私はもう認めているし今度お礼もキチンと言うわよ!」

「もう少し素直になられてもよろしいかと」

「さっきは仕方ないでしょ! 【騎士さま】と【レディ】だったんだから」

「あの方が【紅魔の騎士】なのですね」

「そうよ、最初は冗談半分の【ごっこ遊び】だったけど、しょうがないじゃない本物の勇者なんだもの」

「しょうがないって、これもまたヒドイですね」

「だから! あの時ちゃんと任じたじゃない【紅魔の騎士ナズーリン】って!」

「あの、それ、とても……カッコいいです」

[←]  [小説TOP]  [↑]  [→]

PAGETOP
Copyright © 2011 東鼠回顧録 All Rights Reserved.