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なじゅーりん! 〜真夏の夜の夢〜(4)

でも、今夜は私がナズをビックリさせる番です。

朱鷺色の巾着、きっと喜んでくれますよ。

お夕飯の仕度の合間、懐に手を入れてみます。

あら? 無い、巾着がありません。

どこにいったのかしら?

ごそごそと体中を探してみますが見当たりません。

どこかで落としたのかしら?

「ごしゅじんたま、どーしたんです? また、なくしものですか?」

私の様子を見ていたナズーリンが聞いてきました。

いつものようにお鼻をひくひくさせ【探しものはおまかせ】モードです。

でも、今回は本当に無くしてしまったみたいなんです。

「ワッタシにおまかせくだたーい!」

あの、でも、今回はちょっとまずいんですけど。

「こんどはなんですかー?」

「え、えーと」

「言ってくれないとさがせまてんよー?」

こうなっては仕方ありません。

お願いしてみましょう。

「朱鷺色、ピンクの小さな布の袋なんです」

「わっかりましたー! なじゅーりんにおまかせです!」

ナズーリンは一生懸命探してくれています。

でも、見つかりません。

体を小さくして、色んな隙間に潜り込んで探してくれています。

小さくなるのは疲れるって言っていたのに。

「ナズ、もういいのですよ?」

「ダメです! さがしものはなじゅーりんにおまかせなんです!」

「でも、もう暗くなってきましたし……」

「ワッタシ、じゅーしゃなんです!

ごしゅじんたまのおやくにたちます! やくにたたなくちゃいけないんです!」

なんだか後がないような切迫した雰囲気です。

役に立つって、そんなこと気にしなくてもいいのに。

だって、私にとってナズはなくてはならない存在なのに。

「【おやかたさま】からごしゅじんたま、【とらまるしょう】のやくにたてって、言われているんです!!」

歯を食いしばりながら闇雲に探し回るナズ。

私、どうしたらいいんでしょう?

「おーい、これ、誰のー? 参道の隅に落ちてたよー」

ぬえがやってきました。

朱鷺色の巾着を掲げながら。

「あ、それ、それです! ぬえ! ありがとう!」

よかったー! あったー!

ぬえに感謝です、歩み寄ります、が。

正体不明の娘が見ているのは私ではありません。

彼女の視線の先を追うと、そこには泣きそうなナズーリン。

そして駆け出してしまった私のダウザー。

あ、これはいけません、まずいです、ホントまずいです!

「ワタシ、悪いことしちゃったのかな……?」

追いかけようとした私は足を止めてしまいました。

普段のふてぶてしい態度が影を潜め、落ち着かないぬえ。

もともと察しの良いこの娘さんは状況をあっという間に理解してくれました。

「あ、あの、ごめん、なのかな……?」

「アナタはなにも悪くないんです。 私のうっかりが悪いんです。

うかつでした。 私、愚か者です」

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